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EnergySenseとは?マラソンのペース配分に役立つ見方・活用方法

EnergySenseとは?マラソンのペース配分に役立つ見方・活用方法

フルマラソンでは、序盤に余裕があっても、後半になって急にペースを維持できなくなることがあります。難しいのは、走っている最中に「今どれくらい力を使っているのか」「最後まで走り切る余力が残っているのか」を判断することです。 Suunto Run 2に新搭載された「EnergySense(エナジーセンス)」は、現在の運動負荷と残りの余力の目安をリアルタイムに表示し、マラソンやロングランのペース配分をサポートします。 この記事では、EnergySenseで分かることや画面の見方、設定方法、ランニング中の活用方法について詳しく解説します。 目次 EnergySenseとは? マラソンのペース配分が難しい理由 EnergySenseの設定方法 EnergySenseの表示の見方 EnergySenseをどう使う? Marathon Timeとの組み合わせ EnergySenseとZoneSenseの違い 利用時に知っておきたいこと まとめ EnergySenseとは? EnergySenseは、Suunto Run 2に搭載された、ランニング中のスタミナ配分を支える機能です。現在の運動状況をもとに、身体への負荷と残りの余力の目安をリアルタイムに表示します。 利用に心拍ベルトは必要ありません。対応するウォッチのみで使えるため、日々のロングランやレースで、特別なアクセサリーを追加せずに活用できます。 ペースや心拍数だけでは、「このままの強度で最後まで走れるか」を判断しにくいことがあります。EnergySenseは、走っている最中の状態を別の視点から可視化し、次のような判断をサポートします。 現在のペースを維持する 余力を残すためにペースを抑える まだ余裕があると判断し、ペースを上げる 感覚を置き換えるものではなく、自分の呼吸や脚の状態と照らし合わせながら使える、もう一つの判断材料です。 マラソンのペース配分が難しい理由 レース序盤は周囲のランナーにつられたり、身体が軽く感じられたりして、予定より速いペースになりがちです。しかし、前半に作ったタイムの「貯金」が、後半には体力の消耗として表れることもあります。 さらに、同じペースでも身体への負担は一定ではありません。気温や湿度、アップダウン、向かい風、その日の体調などによって、実際の運動負荷は変化します。そのため、1kmあたりのペースだけを見ていると、身体の状態とのずれに気づきにくい場合があります。 EnergySenseで残りの余力の目安を確認すれば、「予定どおりのペースだから走り続ける」だけでなく、「今日は負荷が高そうなので早めに調整する」といった判断につなげやすくなります。 EnergySenseの設定方法 EnergySenseを利用するときは、スポーツモードの「マラソン」で目標距離を設定し、EnergySenseをオンにします。 スポーツモードから「マラソン」を選択する レースやトレーニングの目標距離を設定する 画面を下へスクロールし、「EnergySense(Beta)」をオンにする 目標距離の選択画面から、そのままEnergySenseを有効にすることもできます。画面名や設定手順は、ソフトウェアのバージョンによって変更される場合があります。 EnergySenseでより適切なペース配分を予測するには、事前に屋外で一定のペースのランニングを少なくとも3回行う必要があります。これらのランニングデータをもとに、ユーザーの持久力や走力を推定します。初めて使用する場合は、あらかじめ数回ランニングを記録してから活用しましょう。 EnergySenseの表示の見方 EnergySenseの画面では、現在のペースと心拍数に加えて、現在の体力で走行できると予測される距離、残りの持久力、目標地点までの残り距離などを確認できます。 現在のペース:現在走っているペース 現在の心拍数:運動中に計測されている心拍数 走行可能な推定距離:現在のペースと体力から予測される、走り続けられる距離の目安 残りの持久力:現在のスタミナの目安をパーセントで表示 目標地点までの残り距離:設定した目標距離まで、あとどれくらいあるかを表示 グリーン表示 現在の体力で走行できると予測された距離が、レースの残り距離を上回っている状態です。現在のペースを維持できる可能性があることを示します。 オレンジ表示 現在の体力で走行できると予測された距離が、レースの残り距離を下回っている状態です。ペースを抑える、給水やエネルギー補給を行うなど、早めの調整を検討する目安になります。 表示色は、完走やペース維持を保証するものではありません。コース、天候、補給状況や体調も踏まえて判断してください。 EnergySenseをどう使う? EnergySenseは、レース本番だけでなく、ロングランやレースペース走でも活用できます。事前のトレーニングで表示の変化と自分の体感を照らし合わせておくと、本番で判断材料として使いやすくなります。 序盤:オーバーペースを避ける スタート直後は、ペースが上がっていても疲労を感じにくい時間帯です。予定よりも余力の減りが早い場合は、混雑が落ち着いた段階でペースを見直します。 中盤:維持できる強度かを確認する 中盤では、現在の負荷と残り距離のバランスを確認します。数値の一時的な変化だけで判断せず、一定区間の傾向、自分の呼吸、脚の感覚と合わせて見るのがポイントです。 終盤:余力を使うタイミングを判断する 終盤に余力が残っていれば、残り距離やコース状況を見ながらペースアップを検討できます。反対に余力が少ない場合は、無理にペースを上げず、フォームや補給を立て直す判断にもつながります。 Marathon Timeとの組み合わせ Suunto Run 2には、現在のペースなどから予想完走タイムを算出し、走行中も更新する「Marathon Time(マラソンタイム)」も搭載されています。 EnergySenseが「身体にどのくらい余力が残っているか」の目安を示すのに対し、Marathon Timeは「現在の走りを続けると、どのくらいのタイムでフィニッシュする見込みか」を示します。2つを組み合わせることで、目標タイムだけを追って無理をするのではなく、現在の負荷とのバランスを見ながらペースを調整できます。 EnergySenseとZoneSenseの違い 名前は似ていますが、EnergySenseとSuunto ZoneSenseは、目的だけでなく利用に必要な機器も異なります。 機能 必要な機器 主に分かること 活用シーン EnergySense 対応するSuuntoウォッチ(現時点ではSuunto Run 2) 現在の運動負荷と残りの余力の目安 マラソンやロングランのスタミナ・ペース配分 ZoneSense 対応するSuuntoウォッチ+心拍ベルト HRV(心拍変動)に基づく、その日の身体の反応に応じた運動強度 有酸素・無酸素・VO₂max領域を確認しながら行う強度管理 簡単にいえば、EnergySenseは「ゴールまで力をどう配分するか」、ZoneSenseは「今どの強度領域で運動しているか」を判断するための機能です。 EnergySenseは対応するウォッチのみで利用できますが、ZoneSenseは一拍ごとのR-R間隔データを取得するため、対応する心拍ベルトの装着が必要です。目的と必要な機器を理解して使い分けることで、レース戦略と日々のトレーニング強度の両方を管理しやすくなります。 利用時に知っておきたいこと EnergySenseが示す負荷や余力は、ペース判断を助けるための目安です。実際のパフォーマンスは、天候、コースの高低差、給水・補給、睡眠、体調などにも左右されます。数値だけに頼らず、呼吸の乱れ、痛み、めまいなど身体からのサインを優先してください。体調に異変を感じた場合は、運動を中止してください。 また、EnergySenseはベータ版として提供されます。表示されるデータが安定しない場合があるため、数値は参考情報として扱ってください。提供時期、対応機種、表示内容や機能は、今後変更される場合があります。使用前にSuuntoアプリとウォッチのソフトウェアを最新の状態にし、実際の画面表示を確認してください。 まとめ マラソンのペース配分では、目標ペースを守ることと同じくらい、その日の身体の状態に合わせて調整することが重要です。EnergySenseは、現在の運動負荷と残りの余力の目安をリアルタイムに表示し、「維持する・抑える・上げる」というレース中の判断をサポートします。 35gの軽量ボディにEnergySenseやMarathon Timeを搭載したSuunto Run 2なら、日々のトレーニングからマラソン本番まで、一つの流れとして走りを管理できます。 レース中の判断を、手元でもっと明確に EnergySenseとMarathon Timeを搭載した、35gの軽量ランニングウォッチ。 Suunto Run 2を見る
September 18 2026
Running Heart Rate: What’s Normal and How to Use It

ランニング中の心拍数が高いのはなぜ?目安・原因・下げる方法を解説

ランニング中にウォッチを見て、「心拍数が160、170まで上がっているけれど大丈夫?」「ほかの人より心拍数が高いのはなぜ?」と気になったことはありませんか。 ランニング中の心拍数には、すべての人に共通する「正常値」はありません。年齢、最大心拍数、走力、ペース、気温、疲労、睡眠、トレーニング経験などによって大きく変わります。 大切なのは、単純に「心拍数が高い・低い」と判断するのではなく、その日のトレーニング目的に対して適切な運動強度になっているかを見ることです。 この記事では、ランニング中の心拍数の目安、高くなる原因、心拍数を下げる方法、心拍ゾーンや心拍ベルトを使ったトレーニングへの活用方法を解説します。 目次 ランニング中の心拍数の目安は? 心拍数160〜170bpmは高すぎる? 最大心拍数を基準に考える ランニングの目的によって適正心拍数は変わる 数字だけでなく呼吸と体感を見る ほかの人ではなく自分の過去データと比べる ランニング中の心拍数が高くなる原因 手首心拍の数値が高く表示されることもある 心拍ゾーンをランニングに活用する ランニング中の心拍数を下げる方法 長期的に同じペースを低い心拍数で走るには? Suuntoでランニング中の心拍数を活用する 手首心拍と心拍ベルトをどう使い分ける? 心拍数だけでは分からない強度をZoneSenseで見る 心拍数が高いときに無理をしない方がよいケース まとめ 関連記事 ランニングの心拍数をSuuntoで記録する ランニング中の心拍数の目安は? ランニング中の心拍数に、すべての人へ当てはまるひとつの正常値はありません。 例えば同じ150bpmで走っていても、最大心拍数が190bpmの人と170bpmの人では、身体にとっての運動強度が異なります。 ランニング中の心拍数を見るときは、主に、 最大心拍数 年齢 トレーニング経験 現在の走力 その日のトレーニング目的 気温や湿度 疲労・睡眠・体調 などを合わせて考える必要があります。 「何bpmなら正常か」ではなく、「自分にとってその心拍数がどの程度の運動強度なのか」を見ることが基本です。 心拍数160〜170bpmは高すぎる? 「走るとすぐ160bpmになる」「170bpmまで上がる」という人もいます。 しかし、160〜170bpmという数字だけで高すぎるとは判断できません。 例えば最大心拍数が200bpmのランナーにとって170bpmは最大心拍数の85%ですが、最大心拍数が175bpmなら約97%です。 同じ170bpmでも意味が大きく異なります。 さらに、インターバルトレーニングで170bpmまで上がることと、会話できる程度のイージーランのつもりなのに170bpmになっていることも同じではありません。 心拍数は、その日の運動目的とセットで判断しましょう。 最大心拍数を基準に考える 心拍数から運動強度を判断するときの基本となるのが最大心拍数です。 簡易的な推定式としてよく知られているのが、 最大心拍数 ≒ 220 − 年齢 という計算方法です。 例えば40歳なら、 220 − 40 = 180bpm が推定最大心拍数になります。 ただし、これはあくまで年齢から算出した目安です。 実際の最大心拍数には大きな個人差があり、「220−年齢」が自分の正確な最大心拍数になるとは限りません。 最大心拍数の設定が実態より低ければ、ウォッチ上では簡単に高い心拍ゾーンへ入ってしまいます。 逆に最大心拍数を高く設定しすぎていれば、実際には高強度なのに低いゾーンとして表示されることがあります。 ランニングの目的によって適正心拍数は変わる すべてのランニングを同じ心拍数で走る必要はありません。 トレーニングにはそれぞれ目的があります。 トレーニング 心拍数の傾向 主な目的 リカバリーラン 低い 回復・軽い有酸素運動 イージーラン・Zone 2 低〜中程度 有酸素能力の土台づくり テンポ走 中〜高い 高めの強度を持続する能力 閾値トレーニング 高い 乳酸閾値付近の能力 インターバル 非常に高い VO2max・高強度能力 イージーランの日に心拍数が高いならペースを見直す必要があるかもしれませんが、高強度インターバルなら心拍数が大きく上がること自体は自然です。 「心拍数を低くすること」自体がランニングの目的ではありません。 目的に合った強度で走れているかを見るために心拍数を使います。 数字だけでなく呼吸と体感を見る ランニングの強度は、ウォッチに表示される心拍数だけで判断する必要はありません。 簡単に使えるのがトークテストです。 走りながら比較的楽に会話を続けられるなら、低い運動強度である可能性があります。 一方、短い言葉しか話せないほど呼吸が激しくなっているなら、かなり高い運動強度になっています。 例えばウォッチでは低い心拍ゾーンになっているのに、呼吸が非常に苦しく、長時間続けられない場合は、最大心拍数や心拍ゾーンの設定が自分に合っているか確認してみましょう。 逆に、ウォッチでは高いゾーンになっているのに体感として非常に楽なら、測定値や設定を確認する価値があります。 ほかの人ではなく自分の過去データと比べる ランナー同士で心拍数を比べても、それほど意味がないことがあります。 最大心拍数や安静時心拍数には個人差があるからです。 比較するなら、過去の自分と比べましょう。 例えば同じルートを同じような気候条件で走ったとき、 同じペースを以前より低い心拍数で走れる 同じ心拍数でも以前より速く走れる ようになっていれば、有酸素能力やランニング効率が向上している可能性があります。 1回の最高心拍数よりも、数週間〜数か月にわたるペースと心拍数の関係を見る方がトレーニングの変化を理解しやすくなります。 ランニング中の心拍数が高くなる原因 「いつものペースなのに、今日は心拍数が高い」ということもあります。 心拍数は走る速さだけで決まるものではありません。 1. イージーペースが今の自分には速すぎる 多くのランナーが「いつものジョギングペース」をイージーペースだと考えます。 しかし、イージーランはペースではなく運動強度で考える必要があります。 現在の有酸素能力に対してペースが速すぎれば、自分ではゆっくり走っているつもりでも心拍数が高くなります。 特にランニングを始めたばかりの時期は、ジョギングでも心拍数が上がりやすいことがあります。 2. 有酸素能力の土台がまだ発達途中 ランニング経験が少ない場合、同じペースでも身体が多くのエネルギーを必要とし、心拍数が上がりやすくなることがあります。 低強度ランニングを継続すると、身体は少しずつ持久運動へ適応していきます。 やがて同じペースを、以前より低い心拍数で走れるようになることがあります。 3. 暑さ・湿度 暑い環境では身体が熱を逃がすために皮膚への血流を増やすため、同じペースでも心拍数が高くなることがあります。 湿度が高い場合も、汗による体温調節が難しくなり、生理的負荷が大きくなります。 暑い日は普段のペースにこだわらず、心拍数や体感に合わせて強度を下げることも大切です。 4. 脱水 長時間のランニングで水分が失われると、同じ運動強度でも心拍数が徐々に上昇することがあります。 特に暑い環境やロングランでは、気温や運動時間に合わせて水分補給を考えましょう。 5. 睡眠不足・疲労 十分に回復できていない日は、いつものペースでも身体への負荷が高く感じられることがあります。 心拍数だけでなく、睡眠、HRV、脚の重さ、主観的な疲労感なども合わせて確認しましょう。 6. 坂道や荒れた路面 登り坂ではペースが遅くても運動強度は高くなります。 トレイルや砂地など走りにくい路面でも、平坦な舗装路よりエネルギーを使うため、同じペースでも心拍数が高くなることがあります。 7. カフェインや心理的ストレス カフェインの摂取量や緊張、心理的なストレスなども心拍数に影響する場合があります。 心拍数がいつもと違うときは、ランニングそのものだけでなく、その日の環境や生活も振り返ってみましょう。 手首心拍の数値が高く表示されることもある 身体の状態だけでなく、測定方法によって心拍数の表示が変わることもあります。 スポーツウォッチの手首式光学心拍計は、皮膚を通して血流の変化を読み取り、心拍数を推定します。 手軽に使える一方で、 ウォッチの装着位置 ストラップの締め具合 腕の動き 気温 肌との接触状態 急激なペース変化 などの影響を受ける場合があります。 体感では楽なのに心拍数だけ急に大きく跳ね上がるなど、数値に違和感がある場合は、まずウォッチの装着状態を確認してみましょう。 より安定した心拍記録を取りたい場合は、胸部心拍ベルトと比較する方法もあります。 特にテンポ走やインターバルのように強度が大きく変化するトレーニングでは、胸部心拍ベルトが役立ちます。 心拍ゾーンをランニングに活用する 心拍数をトレーニングへ活用するときに便利なのが心拍ゾーンです。 一般的な5ゾーンモデルでは、低強度のゾーン1から最大に近いゾーン5まで、運動強度を段階的に分けます。 例えば、 Zone 1〜2:リカバリー、イージーラン、ロングランなど Zone 3〜4:テンポ走や閾値トレーニングなど Zone 5:高強度インターバルなど といった使い分けができます。 ただし、心拍ゾーンの計算方法には最大心拍数、心拍予備量(HRR)、乳酸閾値心拍数(LTHR)など複数の方法があります。 そのためこの記事ではゾーン1〜5の詳細な説明は行わず、専用記事で詳しく解説しています。 ▶︎ 心拍ゾーンとは?ゾーン1〜5の意味・計算方法・トレーニングへの使い方 ランニング中の心拍数を下げる方法 イージーランやZone 2のつもりなのに心拍数が高い場合、まずできるのは運動強度を下げることです。 ペースを落とす 現在のペースにこだわらず、呼吸と心拍数が落ち着くまでペースを下げてみましょう。 低強度トレーニングでは、「1km○分で走る」ことより、狙った運動強度に収めることを優先します。 ラン&ウォークを使う ゆっくり走っても心拍数が高い場合は、短いウォーキングを挟んでも構いません。 ランニング初心者や、暑い日の低強度トレーニングにも使える方法です。 十分にウォームアップする スタート直後からペースを上げず、身体が温まるまでゆっくり走ります。 その後、トレーニング目的に合った強度へ徐々に上げていきます。 その日のコンディションに合わせる 暑さ、湿度、睡眠不足、疲労がある日は、普段より心拍数が高くなることがあります。 そのような日に普段と同じペースを維持する必要はありません。 ペースではなく運動強度を揃えると考えると、トレーニングを調整しやすくなります。 長期的に同じペースを低い心拍数で走るには? 「もっと低い心拍数で速く走れるようになりたい」なら、1回のランニングで心拍数を無理に抑えるよりも、長期的なトレーニングを考えましょう。 低強度ランニングを継続する Zone 2を中心とした低強度トレーニングは、有酸素能力の土台づくりに使われます。 長期的にトレーニングを続けることで、同じペースをより低い心拍数で維持できるようになる可能性があります。 ▶︎ ゾーン2ランニングとは?心拍数の目安・効果・やり方を初心者向けに解説 トレーニング負荷を少しずつ増やす 急に走行距離や高強度トレーニングを増やすのではなく、身体が適応できる範囲で段階的に負荷を高めます。 長期的なトレーニング負荷を見る指標としてCTLを利用する方法もあります。 ▶︎ CTLとは?トレーニング負荷の見方と上げ方|ATL・TSBとの違いも解説 低強度だけでなく強度に変化をつける 有酸素能力の土台ができてきたら、目的に応じてテンポ走やインターバルなどを取り入れます。 例えばテンポ走では、イージーランより高い「ややきつい」強度を一定時間維持し、比較的高いペースを持続する能力を鍛えます。 ▶︎ テンポ走とは?ペース・心拍数・効果・練習メニューを初心者向けに解説 回復をトレーニングの一部として考える 高強度トレーニングを重ねても、十分に回復できなければパフォーマンスは上がりにくくなります。 睡眠、HRV、疲労感、安静時心拍数などを確認し、必要に応じてトレーニング強度を調整しましょう。 Suuntoでランニング中の心拍数を活用する Suuntoスポーツウォッチを使うと、ランニング中に現在の心拍数や心拍ゾーンを確認できます。 しかし、心拍数の本当の価値はランニング中の数字を見ることだけではありません。 Suuntoアプリでは、ランニング後に、 心拍数 心拍ゾーン ペース ケイデンス トレーニング負荷 長期的な変化 などを組み合わせて振り返ることができます。 例えば、同じランニングコースを定期的に走っているなら、 「同じ心拍数でどれくらい速く走れるようになったか」 あるいは、 「同じペースをどれくらい低い心拍数で走れるようになったか」 を比較できます。 1回の最高心拍数だけを見るよりも、こうした長期的な変化を見る方がトレーニングの進歩を把握しやすくなります。 Suunto Runでは手首心拍アルゴリズムもアップデート Suuntoでは、ランニング時の心拍計測精度の改善も継続しています。 2026年8月にはSuunto Run向けに、Suuntoが独自開発した新しい手首心拍アルゴリズムを公開しました。 Suunto社内の比較テストでは、基準となる心拍計測デバイスに対して5bpmを超える誤差が発生したデータポイントが、従来アルゴリズムと比べて約45%減少しています。 なお、これはSuuntoによる社内テストの結果であり、実際の測定精度はユーザー、運動、装着状態、環境などによって異なります。 手首心拍を利用するときは、ウォッチが運動中に動かない程度に安定して肌へ密着するよう装着することも重要です。 手首心拍と心拍ベルトをどう使い分ける? 普段のランニングなら、手首心拍は非常に手軽です。 ウォッチひとつで走り始められ、そのまま心拍ゾーンやトレーニング負荷を記録できます。 一方、胸部心拍ベルトは心臓の電気信号を検出して心拍数を測定します。 特に、 インターバルトレーニング テンポ走 急な登りを含むトレイルランニング 心拍数の急な変化を細かく確認したいとき ZoneSenseを利用するとき には、胸部心拍ベルトを組み合わせるメリットがあります。 普段のランニングは手首心拍、より詳しく強度を分析したい日は心拍ベルトという使い分けでも構いません。 心拍数だけでは分からない強度をZoneSenseで見る 心拍数はランニング強度を判断する便利な指標ですが、同じ心拍数なら身体の負荷も常に同じとは限りません。 例えば、疲労がある日、暑い日、長時間走った後では、同じ150bpmでも身体内部の反応が異なる場合があります。 Suunto ZoneSenseは、対応する胸部心拍ベルトから得られる一拍ごとのR-R間隔データを解析し、運動中の身体の反応から強度を捉える機能です。 ZoneSenseでは運動強度を主に、 有酸素領域 無酸素領域 VO2max領域 として確認できます。 つまり、通常の心拍ゾーンが「設定した心拍数の範囲に今どこまで入っているか」を見るのに対して、ZoneSenseでは「身体が実際にどの強度で反応しているか」を見ることができます。 通常の心拍ゾーンとZoneSenseは競合するものではなく、組み合わせて利用できます。 ▶︎ 心拍ベルトで運動強度がわかる?Suunto ZoneSenseの仕組みと使い方 ▶︎ Suunto ZoneSenseと心拍ベルトの使い方|対応機種・仕組み・よくある質問 心拍数が高いときに無理をしない方がよいケース ランニング中に心拍数が高くなること自体は、運動強度や環境によって起こります。 ただし、数値だけでなく身体の状態にも注意してください。 普段とは明らかに違う動悸や、胸の痛み、失神・失神しそうな感覚、強い息苦しさなどがある場合は、トレーニングを続けることを優先せず、必要に応じて医療機関へ相談してください。 スポーツウォッチの心拍計測はトレーニングをサポートするための機能であり、医療機器による診断を置き換えるものではありません。 まとめ|心拍数は「高い・低い」より、その意味を見る ランニング中の心拍数には、誰にでも共通する正常値はありません。 160bpmや170bpmという数字だけを見て、高すぎる・低すぎると判断することはできません。 心拍数を見るときは、 自分の最大心拍数 心拍ゾーン その日のトレーニング目的 ペース 呼吸・体感強度 暑さや湿度 睡眠や疲労 長期的な心拍数とペースの変化 を組み合わせて考えることが大切です。 イージーランで心拍数が高すぎるなら、まずペースを落とす。必要なら歩く。疲れているならトレーニング自体を調整する。 そして長期的には、低強度トレーニングを継続しながら、目的に応じてテンポ走や高強度トレーニングを組み合わせます。 心拍数は「低くすること」が目的ではなく、自分の身体がランニングにどう反応しているかを理解するための指標です。 Suuntoウォッチや心拍ベルトで記録を積み重ね、自分自身の過去データと比較しながらトレーニングに活かしていきましょう。 関連記事 心拍ゾーンとは?|ゾーン1〜5の意味・計算方法・トレーニングへの使い方 ゾーン2ランニングとは?|心拍数の目安・効果・やり方を初心者向けに解説 テンポ走とは?|ペース・心拍数・効果・練習メニューを解説 CTLとは?|トレーニング負荷の見方とATL・TSBとの違い 心拍ベルトで運動強度がわかる?|Suunto ZoneSenseの仕組みと使い方 Suunto ZoneSenseと心拍ベルトの使い方|対応機種・仕組み・FAQ ランニングの心拍数をSuuntoで記録する ランニング中の心拍数をトレーニングに活かすには、1回の数値だけを見るのではなく、ペースや心拍ゾーンと一緒に継続して記録することが重要です。 ランニングを軽快に記録するならSuunto Run 2 Suunto Run 2は、日々のランニングやトレーニングデータを記録したいランナー向けの軽量スポーツウォッチです。 ランニング中の心拍数やペースを確認し、終了後はSuuntoアプリでトレーニングの変化を振り返ることができます。 Suunto Run 2を見る 心拍データをさらに詳しく取りたいなら心拍ベルト テンポ走やインターバルのような強度変化の大きいトレーニングで、より安定した心拍データを取りたい場合は、胸部心拍ベルトを組み合わせる方法があります。 また、Suunto ZoneSenseを利用する場合にも、対応する胸部心拍ベルトが必要です。 Suuntoの心拍ベルトを見る
September 10 2026
How Yao Miao Adapted Her Way Back to the CCC Podium

UTMB CCCで3位|Yao MiaoがSuunto Race 2で実践したトレーニングとレース戦略

UTMB World Series Finalsの主要レース「CCC」で、SuuntoアスリートのYao Miaoが3位に入りました。8年ぶりとなるCCCへの復帰。しかもレース3週間前には膝の古傷が再発し、トレーニング計画を大きく変更しての表彰台でした。 このレースで注目したいのは、3位という結果だけではありません。 6週間で878km・累積標高31,234mを積み上げたトレーニング。膝の痛みが出てからの負荷調整。そしてレース中には、心拍、ペース、パワーなどのデータと身体の状態を見ながら戦略そのものを変更しました。 トップトレイルランナーは、Suuntoのデータをどうトレーニングやレース判断に活用しているのでしょうか。 UTMB CCCでのYao Miaoの走りを、SuuntoウォッチとSuuntoアプリに記録されたデータとともに振り返ります。 目次 UTMB CCCとは? Yao Miaoとは? Yao MiaoとSuunto|データを判断に使う 8年ぶりのCCCで3位 6週間で878km・累積標高31,234m レース3週間前、膝の古傷が再発 CTL・ATL・TSBを見ながら負荷を調整 心拍ゾーンからトレーニング内容を見る CCC本番|序盤の登りから攻める 下りで膝が悪化、レース戦略を変更 心拍・ペース・パワーでレースを見る 終盤に抜かれても崩れなかった理由 Yao MiaoのSuunto活用法から学べること 吉住友里選手もRace 2でレースを組み立てる まとめ|データは判断するために使う UTMB・トレイルランニング関連記事 トレイルレースをSuunto Race 2で管理する UTMB CCCとは? CCCは、フランス・シャモニーを中心に開催されるUTMB World Series Finalsの主要レースのひとつです。 UTMB Mont-Blancのレースウィークには複数のカテゴリーがあり、CCCはクールマイユールからシャモニーを目指す100kmクラスの山岳トレイルレースです。 世界各地のUTMB World Seriesを勝ち上がったトップアスリートも集まり、距離だけでなく、長い登り下り、標高、変化する天候などへの対応力が求められます。 2026年大会では悪天候に伴う緊急のコース変更が行われ、予定されていた約101kmから107.8km・累積標高6,198mへと延長されました。 激しい雨によってトレイルは滑りやすい泥道となり、過去6年間のCCC歴代優勝者3人がそろう女子レースは非常にハイレベルな戦いになりました。 SuuntoはUTMB World Seriesの公式GPSウォッチおよびテクニカルパートナーとして、世界各地のトレイルランナーをサポートしています。 ▶︎ Suunto × UTMB World Series|アスリート・レース・トレイルランニング情報を見る Yao Miaoとは? Yao Miaoは、中国を代表するトレイルランナーのひとりであり、Suuntoアスリートです。 中国・雲南省麗江を拠点に、標高2,400mを超える高地環境でトレーニングを続けています。 シャモニーでの実績も長く、今回のCCCを含め、UTMB Finalsの舞台で何度も表彰台に立ってきました。 ただし、現在のYaoの強さは走る才能だけで作られたものではありません。 以前は感覚や経験を頼りにすることも多かったトレーニングを、現在では、 心拍 トレーニング負荷 登坂量 筋力 テクニカルな下り 栄養 回復 まで含めた、より体系的なアプローチへ変えています。 Yaoが普段どのようにトレイルランニングを鍛えているかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。 ▶︎ トレイルランニングで速くなるには?トップアスリートYao Miaoの心拍・筋力・登り・下りを鍛えるトレーニング Yao MiaoとSuunto|データを判断に使う Yaoのトレーニングで重要になっているのが、SuuntoウォッチとSuuntoアプリに蓄積されるデータです。 トレイルランニングでは、ロードのように1kmあたりのペースだけで運動強度を判断することが難しくなります。 急な登りではペースが遅くても心拍は高くなり、長い下りではペースが速くても、心肺より脚へ大きな負荷がかかることがあります。 そのためYaoは、 心拍数 心拍ゾーン ペース ランニングパワー 距離 累積標高 トレーニング負荷 回復状態 などを組み合わせてトレーニングを振り返っています。 データがレースを走るわけではありません。 データを判断材料にして、最後にどう走るかを決めるのはアスリート自身です。 今回のCCCは、その使い方がよく見えるレースになりました。 8年ぶりのCCCで3位 YaoにとってCCCへの出場は8年ぶりでした。 107.8kmのコースを12時間15分41秒で走り、女子3位でシャモニーへフィニッシュ。 シャモニーで表彰台に立つのはこれで5回目です。 長年トップレベルで走り続けられる理由を聞かれたYaoの答えは、非常にシンプルでした。 「努力あるのみ。」 しかし今回のレースでは、単純に努力量を増やせばよかったわけではありません。 むしろ重要だったのは、努力することと、負荷を下げるべきタイミングを判断することでした。 6週間で878km・累積標高31,234m CCCまでの6週間、Suuntoアプリに記録されたYaoのトレーニング量は、 トレーニング時間:98時間34分 走行距離:878km 累積標高:31,234m でした。 SuuntoアプリのTraining Zoneに記録された6週間のトレーニング量。98時間34分、878km。 6週間の累積標高は31,234m。トレイルレースでは距離だけでなく、どれだけ登ったかも重要なトレーニング指標です。 平均すると週16時間以上のトレーニングと、5,000mを超える累積標高です。 標高2,400mを超える麗江での生活とトレーニングに加え、レース約1か月前にはシャモニーへ入り、アルプスの環境へ身体を適応させました。 CCCへ向けた有酸素能力と登坂持久力の土台は十分にできていました。 しかし、レース3週間前に計画が崩れます。 レース3週間前、膝の古傷が再発 8月8日、ゴールデントレイル・ワールドシリーズのスイス大会で、Yaoは膝の古傷を悪化させました。 ここで彼女が選んだのは、予定していたトレーニングを何とか続けることではありません。 負荷を大きく下げることでした。 翌週の累積標高は約5,000mから約1,300mへ減少。70%以上減らし、トレーニングの多くをリハビリとアクティブリカバリーへ切り替えました。 レース直前になると、「ここまで練習してきたのだから、もう少し積んでおきたい」と考えがちです。 しかし、痛みがある状態で負荷を追加すれば、スタートラインに立てなくなる可能性もあります。 Yaoは不足したトレーニングを取り戻すのではなく、すでに作ったフィットネスを活かせる状態へ戻すことを優先しました。 CTL・ATL・TSBを見ながら負荷を調整 その変化はSuuntoアプリのTraining Zoneにも表れています。 山での高負荷セッションが続いた時期には、長期的なトレーニング負荷に対して短期的な疲労が大きくなっていました。 そこから負荷を減らしたことで、レース前の最終週には、 Fitness(CTL):117 Fatigue(ATL):68 Form(TSB):+40 となりました。 レース前のTraining Zone。CTL 117、ATL 68、TSB +40。 CTLはわずかに下がりましたが、ATLはそれ以上の速さで低下しました。 つまり、フィットネスを完全に維持しようとするより、疲労を抜いてレースを走れる状態へ戻すことを優先したわけです。 CTL・ATL・TSBの意味はこちらの記事で詳しく解説しています。 ▶︎ CTLとは?トレーニング負荷の見方と上げ方|ATL・TSBとの違いも解説 心拍ゾーンからトレーニング内容を見る Yaoはトレーニング量だけでなく、どの強度でトレーニングしたかも確認しています。 6週間で心拍ゾーンに記録されたトレーニング時間は約91時間。 そのうち、 ゾーン2:約31時間3分 ゾーン3:約25時間30分 と、低〜中強度の有酸素トレーニングに多くの時間を使っていました。 膝を痛めてからは、最大に近いゾーン5の時間を減らしながら、よりレース強度に近い持続的な運動へ重点を移しました。 「予定していたメニューを守ること」より、「今の身体でCCCを走るために必要な刺激を選ぶこと」が優先されています。 心拍ゾーンについて詳しく知りたい場合はこちら。 ▶︎ 心拍ゾーンとは?ゾーン1〜5の意味・計算方法・トレーニングへの使い方 CCC本番|序盤の登りから攻める そしてレース当日。 CCCの序盤から大きな登りが待っていました。 最初の約9.4kmで、Tête de la Troncheまで約1,400mを登ります。最大勾配は35%。 Yaoはここを抑えて入るのではなく、積極的に進みました。 最初の10kmは平均心拍数約169bpm。女子トップで最初のチェックポイントへ到着しています。 CCC序盤10kmのSuuntoデータ。急な登りではペースだけでなく、標高変化と心拍を合わせて見ることが重要です。 トレイルランニングでは、登りになると1kmあたりのペースは大きく低下します。 ロードランの感覚で「遅い」と判断することはできません。 だからこそ、心拍、標高、パワー、体感などを組み合わせて運動強度を判断することが重要になります。 下りで膝が悪化、レース戦略を変更 序盤の登りを終えると、今度は約20kmにわたる長い下りが待っていました。 Yaoは30〜40km区間を4:50/km、40〜50km区間を4:32/kmまでペースアップ。 しかし、長い下りによって膝の痛みが悪化します。 ここでYaoは、スタート前に考えていたレース戦略を変更しました。 当初は、 登りでエネルギーを温存する 下りは通常どおり走る 平坦区間で攻める というプランでした。 ところが、下りで膝の痛みが強くなったことで、 痛みの少ない登りでペースを上げる 下りと平坦区間では無理をしない という戦略へ切り替えました。 レースプランは、スタート前に作れば終わりではありません。 天候、身体、ライバル、コース状況に合わせて更新していくものです。 心拍・ペース・パワーでレースを見る Suuntoアプリに残ったデータを見ると、Yaoが地形に合わせて走り方を変えていることが分かります。 10kmごとのペース、登下降、平均心拍数。トレイルではペースだけでなく地形との関係を見ることが重要です。 70〜80km区間では累積標高1,155mを登り、平均ペース9:24/km、平均心拍156bpm、ランニングパワー約145W。 急な登りでペースだけを見ると遅く感じますが、心拍やパワーを見ると高い運動強度を安定して維持していることが分かります。 トレイルでは、 速い=頑張っている とは限りません。 登りではペースが遅くても高強度になり、下りでは速いペースでも心肺とは別に脚へ大きな負担がかかります。 Yaoのデータは、トレイルランニングで複数の指標を見る意味をよく表しています。 終盤に抜かれても崩れなかった理由 終盤には、疲労、雨で滑りやすくなったトレイル、そして膝の痛みが重なりました。 Yngvild KaspersenとToni McCannに抜かれ、Yaoは3位へ。 それでもレースそのものは崩れませんでした。 地形によってペースを落としながらも、心拍数はおおむね145〜150bpmを維持。 最後の登りを越えたあと、ラスト6.1kmは平均6:11/kmまで再びペースを上げています。 レース順位を守るために無理をしてすべての区間を同じ強度で走ったのではありません。 使える場所で力を使い、リスクの高い場所では抑える。 その調整によって、最後まで走れる状態を維持しました。 Yao MiaoのSuunto活用法から学べること 今回のCCCは、Suuntoのデータをトップアスリートがどう使っているかを見るケーススタディでもあります。 1. トレーニング量を距離だけで見ない Yaoは距離だけでなく、トレーニング時間と累積標高を確認しています。 トレイルでは、平坦な20kmと累積標高2,000mを含む20kmでは負荷が大きく異なります。 2. CTLだけでなくATLとTSBを見る レース前に負荷を落とすとCTLが少し下がることがあります。 しかし、疲労を表すATLがより早く下がれば、レースへ向けた状態は改善することがあります。 「フィットネスの数字を下げたくない」ために無理に練習するのではなく、レースで走れる状態を作ることが目的です。 3. 心拍ゾーンでトレーニングの中身を見る 何時間走ったかだけでなく、どの心拍ゾーンで何時間トレーニングしたかを見ることで、低強度・中強度・高強度のバランスを確認できます。 4. レース中はペースだけを見ない アップダウンの大きいCCCでは、ペースだけでは強度を判断できません。 心拍、ランニングパワー、高度変化、そして自分の感覚を合わせて判断します。 5. データより身体を優先する 最も重要なのはここです。 Suuntoのデータが「今日は走るべき」と命令するわけではありません。 膝の痛みが出たYaoはトレーニング量を70%以上減らしました。 データは身体から得られる情報と組み合わせて、次の判断を考えるために使います。 吉住友里選手もRace 2でレースを組み立てる Suuntoを使ったトレイルレースの組み立て方は、Yao Miaoだけのものではありません。 日本のSuuntoブランドアンバサダー吉住友里選手も、UTMB World Seriesの一戦「Kaga Spa Trail Endurance 100 by UTMB®」のKAGASPA 50Kで、Suunto Race 2を活用しています。 吉住選手はレース前の試走から、 ルートナビゲーション 登り・下りの位置 ラップ ペース 心拍数 累積標高 などを確認。 試走データと自分の感覚を組み合わせてタイムチャートを作り、本番後にはSuuntoアプリで心拍やラップを振り返っています。 Yao MiaoがCCCで見せた「データを使って状況に適応する走り」と、吉住選手がKaga Spaで実践する「データを使って事前にレースを組み立てる方法」。 2人の記事を合わせて読むと、Suuntoをトレイルレースでどう活用できるかがより具体的に見えてきます。 ▶︎ KAGASPA 50K優勝・吉住友里選手が語る、Suunto Race 2でレースを組み立てる方法 まとめ|データは判断するために使う Yao Miaoの2026年CCCは、完璧な準備から始まったレースではありませんでした。 膝を痛め、トレーニング量を大きく減らし、レース当日は雨によるコース変更、長い下り、痛み、さらにレース途中の予想外の中断にも対応する必要がありました。 それでも3位でフィニッシュできた背景には、6週間で積み上げてきた大きなトレーニングベースと、その後の状況に合わせて計画を変更できる柔軟性がありました。 そしてSuuntoのデータは、 どれだけトレーニングしたか どの強度で走ったか どれくらい疲労しているか レース中にどの強度で進んでいるか どの区間でペースや心拍が変化したか を振り返るための材料になっています。 数字に従って走るのではなく、数字を使って自分の状態を理解し、必要なら計画を変える。 それが、Yao MiaoのCCCから学べるSuuntoの活用法です。 UTMB・トレイルランニング関連記事 Toni McCann、再びUTMB CCCへ|シャモニーで見つめ直した「走る理由」 トレイルランニングで速くなるには?|Yao Miaoの心拍・筋力・登り・下りのトレーニング KAGASPA 50K優勝・吉住友里選手インタビュー|Race 2でレースを組み立てる方法 CTLとは?|トレーニング負荷の見方とATL・TSBとの違い 心拍ゾーンとは?|ゾーン1〜5の意味とトレーニングへの使い方 Suunto × UTMB World Series|アスリート・レース情報を見る トレイルレースをSuunto Race 2で管理する トレイルランニングでは、距離やペースだけではレース全体を把握できません。 心拍、標高、ルート、トレーニング負荷、回復までを継続して記録することで、レース前・レース中・レース後をひとつの流れとして振り返ることができます。 Suunto Race 2は、トレーニングとレースを継続して記録したいトレイルランナー向けのGPSスポーツウォッチです。 オフラインマップやルートナビゲーションを使ったコース確認に加え、心拍、ラップ、標高、トレーニング負荷などを記録し、Suuntoアプリで長期的な変化を確認できます。 トップアスリートと同じ数字を目指す必要はありません。 自分自身のデータを積み重ね、次のトレーニングやレース判断へつなげることが重要です。 Suunto Race 2を見る
September 02 2026
What Is a Tempo Run? Intensity, Workouts and Tips

テンポ走とは?ペース・心拍数・効果・練習メニューを初心者向けに解説

一見すると、テンポ走はシンプルです。イージーペースより少し速く走るだけ。しかし実際に問われるのは、強度をコントロールする力です。確かなトレーニング刺激が得られるだけの強度を保ちながら、回復に何日も要する全力走は避ける。その絶妙なバランスが欠かせません。トレーニングプランの適切な位置に組み込めば、テンポ走は日々のランニングとレース本番をつなぐ架け橋となり、負荷が高まっても呼吸、フォーム、ペースを崩さず保つ力を養えます。 要点 テンポ走は、「ややきつい」強度を一定時間維持するトレーニングです。 テンポ走の強度は、ペース、自覚的運動強度(RPE)、心拍数を組み合わせて判断します。 走力によって、テンポトレーニングへの適切なアプローチは異なります。 全体的なトレーニング負荷と回復を考慮して、テンポ走を計画しましょう。 Suuntoは、テンポトレーニングの計画、記録、長期的な分析をサポートします。 目次 テンポ走とは? テンポ走を取り入れるべき理由 テンポ走に適した強度の見つけ方 レベル別:テンポ走のワークアウト例 Suuntoでテンポ走を記録し、レベルアップする方法 FAQ テンポ走とは? テンポ走は、「ややきつい」強度を一定時間維持するトレーニングです。イージーランよりも速く、心拍数も高くなります。一方、インターバルトレーニングほど強度は高くなく、短い反復ではなく連続して走ります。 1回の連続した走行として行うことも、複数の長いテンポ区間に分け、その間に短いイージーランを挟むこともできます。テンポ走を決めるのは、特定のペースや時間ではなく、一定した高い負荷を維持することです。 一般的な目安: 強度:乳酸閾値に近い強度 時間:走力に応じて約20~60分 自覚的運動強度(RPE):10段階中7~8 簡単に言えば、テンポ走は「きついが、無理なく維持できる」強度が目安です。明らかなきつさは感じるものの、限界近くまで追い込むことなく、安定したペースと良好なランニングフォームを維持できる程度です。 テンポ走を取り入れるべき理由 テンポ走の最大のメリットは、強度が高い状態でも一定の負荷を維持する力を養えることです。 1. 乳酸閾値の向上 テンポ走は乳酸閾値トレーニングの中心となるメニューで、閾値そのものと、高い強度を持続する能力を高める最も効果的な方法のひとつです。 乳酸閾値とは、運動強度の上昇に伴い、血中乳酸濃度が急激に増え始める強度を指します。テンポトレーニングを継続すると、体が乳酸を処理する能力が向上し、より速いペースで一定の負荷を維持できるようになります。 2. ランニングエコノミーの向上 テンポ走は、一定のペースでどれだけ効率よくエネルギーを使えるかを示すランニングエコノミーの向上にも役立ちます。定期的に高強度で走ることで、体がより速いスピードに適応し、疲労が出てからも効率のよいフォームと安定したペースを保ちやすくなります。 3. レースに必要な持久力の向上 テンポ走を取り入れることで、レースで求められる強度とペースに慣れることができます。ハーフマラソンやマラソンなどの長距離レースに向けて、高い強度を持続するための体づくりができ、疲れてからもペースと負荷を維持する力が身につきます。トレーニングプランによってはレースペース走と組み合わせることもできますが、両者は同じものではありません。 4. メンタルの強化 テンポ走で鍛えられるのは脚だけではありません。疲労や不快感に耐える力も高められます。高い強度を長時間維持するには、疲労が徐々に蓄積するなかでも、ペースと負荷をコントロールし続ける必要があります。 テンポ走に適した強度の見つけ方 適切な強度設定こそが、テンポ走の効果を左右します。楽すぎると、体の適応を促すのに十分な刺激を得られません。反対に、強度が高すぎるとインターバルトレーニングになり、それに伴って疲労や回復の負担も大きくなります。 強度を判断する一般的な3つの指標は、ペース、自覚的運動強度(RPE)、心拍ゾーンです。どれかひとつだけに頼らず、組み合わせて活用しましょう。 1. ペース ペースはテンポ走中のスピード管理に役立ちますが、すべてのランナーに当てはまる単一のテンポペースはありません。 適切なテンポペースは、走力、レース実績、地形、天候、その日のコンディションによって変わります。ランナーが違えばペースも異なり、同じランナーでも条件によって調整が必要です。 ペースは運動の出力を示す外的な指標として捉え、RPEや心拍数とあわせて確認し、狙った強度でトレーニングできているかを判断しましょう。 2. 自覚的運動強度(RPE) RPEは、運動をどの程度きつく感じるかによって強度を判断する指標です。 一般的な0~10のスケールでは、次のように表します。 0:まったく負荷を感じない 1~2:非常に楽で、ほとんど負担を感じない 3~4:楽で、無理なく会話ができる 5~6:中程度の負荷で、トレーニングのきつさをはっきり感じる 7~8:きつく、ペースを維持するには集中が必要 9:非常にきつく、最大努力に近い 10:最大努力で、長時間の維持は不可能 テンポ走の目安は、通常10段階中RPE 7~8です。この強度では呼吸が明らかに速くなります。普通に会話するのは難しいものの、短い言葉なら交わせる程度です。 3. 心拍ゾーン 心拍数は、ペースだけを見るよりも、体にかかっている負荷を直接把握しやすいため、テンポ走中の有効な指標になります。 トレーニング理論によっては、テンポ走の強度を最大心拍数の約85~90%としていますが、正確な範囲は理論や個人によって異なります。ゾーンモデルごとに境界の設定が異なるため、テンポ走を単に ゾーン3またはゾーン4と定義するのは適切ではありません。 最大心拍数に対する割合は、あくまで一般的な目安です。ゾーンモデルが異なれば、設定されるトレーニングゾーンも変わります。Suuntoでは、自分のデータに基づいて心拍ゾーンを設定できるため、テンポ走中のリアルタイム心拍数から強度を判断できます。 レベル別:テンポ走のワークアウト例 以下はワークアウトの一例です。実際のテンポ走の強度は、自分のペース、RPE、目標心拍ゾーンに基づいて設定してください。 1. 初級:短いテンポインターバル テンポトレーニングを初めて行うランナーは、短いテンポ区間の間にイージーランを挟むメニューから始めるのがおすすめです。 例: イージーラン5分でウォームアップ テンポ走3分の後にイージーラン1分。これを2回繰り返す イージーラン5~10分でクールダウン この構成なら、初級者でもテンポ走の強度感覚をつかみやすくなります。体が慣れてきたら、反復回数を徐々に増やしていきましょう。 2. 中級:より長いテンポ区間 短いテンポ区間を無理なくこなせるようになったら、各区間の時間を延ばします。 例: イージーラン15~20分でウォームアップ テンポ走15~30分 イージーラン10~15分でクールダウン 短いインターバルと比べて、一定の強度をより長く保つ必要があるため、持続力の向上に重点を置いたメニューです。 3. 上級:連続テンポ走 十分な持久力の土台があり、テンポトレーニングの経験を積んだランナーは、ひとつの長い連続区間を通して一定の負荷を維持することに取り組みましょう。 例: イージーラン15分でウォームアップ 連続テンポ走30~40分 イージーラン10~15分でクールダウン ハーフマラソンやマラソンのトレーニングでは、長めのテンポ走は、高い強度を持続するための準備となるレース特化型のセッションです。McMillanも、ハーフマラソンのトレーニングガイドで、15~40分の連続テンポ走を乳酸閾値トレーニングのひとつとして紹介しています。 ヒント:テンポ走の負荷は段階的に高めていきましょう。余裕を持ってこなせるようになったら、テンポ区間を延ばす、インターバル間のリカバリーを短くする、より長い連続走へ移行する、といった方法があります。目標強度を維持するのが難しい場合や、後半にペースが明らかに落ちる場合は、テンポ区間を短くするか、リカバリーを長くしてから次の段階へ進みましょう。 Suuntoでテンポ走を記録し、レベルアップする方法 Suuntoスポーツウォッチは、ワークアウトの計画からランニング中のガイド、終了後の振り返りまで、テンポトレーニングを一貫してサポートします。 1. ランニング前 ワークアウトを作成し、目標ゾーンを設定 構造化ワークアウトに対応するSuuntoウォッチでは、Suuntoアプリでセッションを作成し、ウォッチに同期できます。一部のモデルでは、ウォッチ上でシンプルな構造化ワークアウトを作成することもできます。たとえば、次のように設定します。 15分間のウォームアップ 目標心拍ゾーンを設定した30分間のテンポ走 必要に応じて反復回数とワークアウトのステップを設定 10分間のクールダウン セッション中は、ウォッチが各ステップを案内し、目標強度の維持をサポートします。 2. ランニング中 テンポ走中、Suuntoはトレーニングデータをリアルタイムで記録します。 心拍数 目標トレーニングゾーンを維持できているか確認しましょう。十分なトレーニング刺激を得られる強度を保ちながら、インターバルトレーニングの領域まで上がりすぎないようコントロールできます。 ペースと距離 セッションの目的に沿って、ペースを一定に保てているか確認します。テンポ走の基本は、安定した負荷を維持することです。そのため、ペースを整えることが重要になります。疲労によって途中で切り上げるのではなく、計画どおりにワークアウトを終えることを目指しましょう。 3. ランニング後 ランニング後は、Suuntoで以下の項目を振り返ることができます。 トレーニング負荷 テンポ走が全体のトレーニング負荷にどのような影響を与えたかを確認できます。効果的な刺激を保ちながら、今後のセッションに影響する前に負荷の急増を把握できます。 長期的な進捗 CTL、ATL、TSB、VO₂ maxを記録することで、トレーニング負荷、トレーニングステータス、有酸素能力が時間とともにどう変化しているかを把握できます。 Suuntoアプリと対応するウォッチでは、トレーニング履歴や傾向を含む長期的なトレーニングデータを確認できます。 必要なリカバリー テンポ走後に必要なリカバリーは、睡眠、HRV、トレーニングによる疲労、その日のコンディションによって変わります。Suuntoアプリとウォッチはリカバリー状態の把握に役立ちます。次のセッションを予定どおり行うか、強度を下げて回復時間を増やすかを判断できます。 リカバリーについて詳しくはこちら。 適切な強度を見つけ、走力の変化に合わせてトレーニング量を調整することが、テンポ走を長期的な目標につなげる鍵です。トレーニング強度、体からのフィードバック、長期的なデータを組み合わせて読み解けば、テンポ走は単なる速めのランニングではなくなります。目的が明確で、変化に対応できるトレーニングプランの一部になるのです。 FAQ 5km向けのテンポ走とは? 5kmランナーの場合、テンポペースは通常、5kmのレースペースより遅く、かつ十分なトレーニング刺激を得られる強度に設定し、一般的に20~40分間維持します。正確なペースは自分の走力に基づいて決め、心拍数や体感とあわせて10段階中RPE 7~8を目安にしましょう。 20分間のテンポ走でも効果はある? はい。 20分間のテンポ走は、定番のワークアウト形式です。初級者にとっては、20分でも十分に効果的なトレーニング刺激が得られます。より上級のランナーは30~40分に延ばすか、長めのテンポインターバルに移行できます。 3:2:1テンポ走とは? 3:2:1テンポ走とは、通常3分、2分、1分と長さの異なる区間で構成し、区間ごとに強度を上げていくビルドアップ型のテンポワークアウトです。ペースコントロールを身につけ、疲労が蓄積するなかでも高い負荷を維持するための効果的な練習になります。 テンポ走でVO₂ maxは向上する? テンポ走はVO₂ maxの向上にも貢献しますが、最大酸素摂取量を高めるための中心的なトレーニングではありません。VO₂ maxの向上には、主に高強度インターバルトレーニングや、VO₂ maxに近い強度での反復走が有効です。 テンポ走の主な効果は、乳酸閾値、有酸素持久力、高い強度を持続する能力の向上です。
September 01 2026
What Is CTL? A Guide to Long-Term Training Fitness

CTLとは?トレーニング負荷・疲労・回復をどう見るか|ATL・TSBも解説

CTLとは、数週間にわたって積み重ねてきたトレーニング負荷を表す指標です。ランニングやサイクリング、トライアスロンなどの持久系スポーツでは、1回の練習だけでなく、「最近どれくらい継続してトレーニングできているか」を見ることが重要です。 Suuntoでは、CTL(Chronic Training Load:慢性トレーニング負荷)を使って、長期的なトレーニング負荷の変化を確認できます。 ただし、CTLは高ければ高いほど良い数字ではありません。 大切なのは、自分が回復できる範囲で負荷を積み重ね、その傾向をATLやTSB、HRV、睡眠、体感などと一緒に見ることです。 この記事では、CTLとは何か、TSS・ATL・TSBとの違い、CTLが上がる・下がる意味、トレーニングでの活用方法をわかりやすく解説します。 目次 CTLとは? CTLは「体力そのもの」ではない TSS・CTL・ATL・TSBの違い CTLはどう計算される? TSBを見ると疲労とのバランスがわかる CTLが上がる・横ばい・下がる意味 CTLはいくつなら高い?適正値はある? CTLを安全に高めるには? Ramp Rateとは? 回復週やテーパリングでCTLが下がってもいい? SuuntoでCTLを確認する方法 CTLをトレーニング判断にどう使う? CTLだけで判断しない まとめ|CTLは高さより「推移」を見る 関連記事 CTL・トレーニング負荷をSuuntoで管理する CTLとは? CTLは「Chronic Training Load」の略で、日本語では慢性トレーニング負荷と呼ばれます。 簡単に言えば、数週間にわたって積み重ねてきたトレーニング負荷を見るための指標です。 例えば、1回だけ強度の高いランニングをしても、CTLは急激には上がりません。 一方で、適切な負荷のトレーニングを何週間も継続すると、CTLは徐々に上昇していきます。 そのためCTLを見ると、 最近トレーニングを継続できているか 長期的な負荷が増えているか トレーニング量が減っているか 負荷を急に増やしすぎていないか といった傾向を把握しやすくなります。 CTLは「体力そのもの」ではない CTLはSuuntoのトレーニング分析ではフィットネスの傾向を理解するために使われますが、ここで注意したいことがあります。 CTLそのものが、走力や体力を直接測定しているわけではありません。 CTLが表しているのは、これまでに蓄積してきたトレーニング負荷です。 例えば2人のランナーが同じCTLだったとしても、同じマラソンタイムで走れるとは限りません。 トレーニング内容、競技歴、年齢、体質、回復能力、ランニング効率などは人によって異なるからです。 CTLは「自分がどれだけ強いかを他人と比べる数字」ではなく、自分自身のトレーニングが数週間〜数か月でどう変化しているかを見る数字として使うと理解しやすくなります。 TSS・CTL・ATL・TSBの違い CTLを理解するには、TSS・ATL・TSBとの関係を知っておくと分かりやすくなります。 指標 意味 見るポイント TSS 1回のトレーニング負荷 今日の運動がどれくらい負荷になったか CTL 長期的なトレーニング負荷 数週間にわたって負荷を積み上げられているか ATL 短期的なトレーニング負荷 最近どれくらい疲労が蓄積しているか TSB CTLとATLのバランス 長期的な負荷に対して最近の疲労がどの程度あるか イメージすると、 TSS=今日の負荷 ATL=最近の疲労 CTL=長期的な積み上げ TSB=積み上げと最近の疲労のバランス という関係です。 トレーニング負荷全体の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 ▶︎ トレーニング負荷とは?フィットネス・疲労・フォームで見る負荷管理の基本 CTLはどう計算される? Suuntoでは、CTLを過去42日間のTSSをもとにした加重平均として扱います。 単純に42日分を足して42で割る平均ではなく、最近のトレーニングほど影響が大きくなるように計算されます。 TSS(Training Stress Score)は、運動時間と強度などをもとに、1回のトレーニングで身体にかかった負荷を数値化する考え方です。 例えば、 長時間の低強度ランニング 短時間の高強度インターバル はまったく違うトレーニングですが、結果として近いTSSになる場合があります。 そのTSSを日々積み重ねた長期的な傾向を見るのがCTLです。 42日という長い期間を見るため、1回だけ非常にきついトレーニングをしてもCTLはそれほど大きく変わりません。 逆に言えば、CTLを高めるには継続的なトレーニングが必要です。 TSBを見ると疲労とのバランスがわかる CTLだけを見ていると、「長期的にどれくらい負荷を積んできたか」は分かっても、最近の疲労がどの程度あるかは分かりません。 そこで一緒に見たいのがATLとTSBです。 ATLは、Suuntoでは過去7日間のTSSをもとにした加重平均で、最近のトレーニング負荷や疲労の傾向を表します。 そしてTSBは、 TSB = CTL − ATL という関係で表されます。 TSB 大まかな見方 マイナス 最近の負荷が長期的な負荷より高く、疲労が蓄積している可能性がある 0付近 長期的な負荷と最近の負荷が比較的近い プラス 最近の負荷が低く、疲労が比較的抜けている可能性がある ただし、TSBがプラスなら良く、マイナスなら悪いという意味ではありません。 トレーニングを積んでいる期間にはATLが高まり、TSBがマイナスになることがあります。 逆にレース前のテーパリングではATLが下がり、TSBが上昇することがあります。 重要なのは、数字単体ではなくトレーニングの目的とタイミングを合わせて見ることです。 CTLが上がる・横ばい・下がる意味 CTLで最も重要なのは、現在の数字そのものよりもどの方向へ変化しているかです。 CTLがゆっくり上がっている 長期的なトレーニング負荷が徐々に増えていることを表します。 回復やパフォーマンスに問題がなく、予定通りトレーニングできているなら、トレーニングの土台を積み上げられている可能性があります。 CTLが横ばいになっている 現在のトレーニング負荷をほぼ維持している状態です。 CTLが上がっていないからといって、必ずしもトレーニングが失敗しているわけではありません。 維持期、レース期、調整期などでは意図的にCTLが横ばいになることもあります。 CTLがゆっくり下がっている 最近のトレーニング負荷が以前より少なくなっています。 ただし、CTLが下がる=すぐに体力が落ちるという意味ではありません。 回復週やテーパリングでは、疲労を抜くために意図的にトレーニング負荷を下げます。 その場合はCTLが一時的に下がっても問題ありません。 CTLが急激に上がっている 最近のトレーニング負荷が急速に増えている状態です。 十分に回復できていれば問題にならない場合もありますが、負荷の増加が回復能力を上回ると、 疲労が抜けにくい トレーニングの質が下がる 高強度メニューをこなせなくなる パフォーマンスが低下する といった変化が起こる可能性があります。 CTLでは現在の数字だけでなく、トレーニング負荷がどのように変化しているかを見ることが重要です。 CTLはいくつなら高い?適正値はある? CTLを見ると、「CTLはいくつあれば十分?」「100を目指した方がいい?」と考えたくなるかもしれません。 しかし、すべての人に共通する理想的なCTLはありません。 適切なCTLは、 競技種目 トレーニング経験 目標とする大会 週間トレーニング量 回復能力 生活や仕事によるストレス などによって変わります。 例えば長距離サイクリストと5kmランナーでは、必要となるトレーニング時間も負荷の積み上げ方も大きく異なります。 そのため、他人のCTLを見て「自分も同じ数字まで上げなければ」と考える必要はありません。 見るべきなのは、 「今のCTLを自分は継続できているか?」 「その負荷でパフォーマンスは向上しているか?」 「十分に回復できているか?」 という点です。 CTLを安全に高めるには? CTLを上げるために必要なのは、1回だけ非常にきついトレーニングをすることではありません。 負荷を少しずつ増やしながら、継続することです。 基本的には、 トレーニング量や強度を急激に増やさない 低強度と高強度を目的に合わせて組み合わせる 継続できる週間トレーニング量をつくる 回復日・回復週を入れる 疲労が強い場合は計画を調整する ことが重要です。 CTLの数字だけを上げようとすると、必要以上にトレーニング時間や強度を増やしてしまうことがあります。 CTLは目標ではなく、トレーニングの結果として変化する指標と考えた方がよいでしょう。 Ramp Rateとは? CTLと一緒に覚えておきたい指標がRamp Rateです。 Ramp Rateは、CTLが一定期間でどのくらいの速度で増減しているかを見るための指標です。 例えばCTLが徐々に上がっている場合でも、Ramp Rateを見ることで、負荷がゆっくり増えているのか、急激に増えているのかを確認しやすくなります。 トレーニング計画では「1週間でCTLを何ポイント増やす」といった目安が使われることもありますが、すべてのアスリートに共通する安全なRamp Rateはありません。 トレーニング経験、現在のCTL、睡眠、生活ストレス、過去のケガ、回復状態などによって、無理なく適応できる負荷の増え方は異なります。 Ramp Rateも「高いほど良い数字」ではなく、負荷を急に増やしすぎていないか確認するための補助指標として使いましょう。 回復週やテーパリングでCTLが下がってもいい? はい。CTLが下がること自体は悪いことではありません。 例えばレース前にトレーニング量を減らすテーパリングでは、ATLは比較的早く下がります。 CTLは長期間の負荷を見るため、ATLよりゆっくり変化します。 その結果、疲労を減らしながら、これまで積み上げてきたトレーニングベースをある程度維持した状態でレースへ向かうことができます。 回復週でも同様です。 CTLを下げたくないという理由だけで予定外のトレーニングを追加すると、本来必要だった回復を妨げる可能性があります。 レースで結果を出すことが目的なら、CTLのグラフを右肩上がりに保つこと自体を目的にしないことが重要です。 SuuntoでCTLを確認する方法 対応するSuuntoウォッチとSuuntoアプリでは、CTLを含むトレーニング負荷の推移を確認できます。 動画で見る|Suuntoでトレーニング負荷を確認する方法 CTL・ATL・TSBなど、Suuntoでトレーニング負荷をどのように確認するのかは、動画で見ると画面の流れを理解しやすくなります。 Suuntoアプリで確認する Suuntoアプリでは、ダッシュボードやTraining Zoneの進捗画面から、トレーニング負荷や長期的な傾向を確認できます。 アプリのバージョンによって表示やメニュー名称が変わる場合がありますが、CTLだけでなくATLやTSBと合わせてグラフを見ることで、負荷と疲労の変化を把握しやすくなります。 Suuntoアプリでは、長期的なトレーニング負荷と最近の疲労、フォームの変化を一緒に確認できます。 Suuntoウォッチで確認する 対応するSuuntoウォッチでは、トレーニングや進捗関連のウィジェットから負荷の状態を確認できます。 表示できる項目はモデルによって異なるため、使用しているウォッチのトレーニングウィジェットやユーザーガイドを確認してください。 Suuntoアプリとウォッチを組み合わせると、運動中はウォッチで記録し、長期的なトレーニング傾向はアプリで振り返るという使い方ができます。 Suuntoでトレーニングの進捗を見る具体的な方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。 ▶︎ ランニングのトレーニング負荷を管理する方法|Suuntoアプリとウォッチで疲労・進歩をチェック CTLをトレーニング判断にどう使う? CTLは、数字を記録するだけではなく、次のトレーニングを考えるために使うと役立ちます。 CTLがゆっくり上がり、回復も良い 現在のトレーニング負荷に身体が対応できている可能性があります。 予定しているトレーニングを継続しながら、必要に応じて少しずつ負荷を増やしていきます。 CTLが急上昇し、ATLも高く、TSBが大きく下がっている 最近の負荷が急激に増えている可能性があります。 さらに睡眠の質が落ちている、脚が重い、予定していたペースを維持できないといった変化があれば、トレーニング量や強度を調整する判断材料になります。 CTLが少し下がっているが、身体が軽くなっている 回復週やテーパリングでは自然な変化です。 CTLを維持するためだけに負荷を追加する必要はありません。 CTLだけで判断しない CTLは長期的なトレーニング負荷を見るのに便利ですが、CTLだけでは身体が本当に回復できているかまでは分かりません。 例えば同じCTLでも、睡眠不足が続いている人と十分に休めている人では、トレーニングへの反応が異なる可能性があります。 そのため、CTLと一緒に、 ATL・TSB HRV(心拍変動) 睡眠 安静時心拍数 筋肉痛や脚の重さ 主観的な疲労感 実際のトレーニングパフォーマンス なども確認しましょう。 データはひとつの数字で結論を出すより、複数の指標を組み合わせて「今の自分」を見る方が役立ちます。 回復状態の見方はこちらの記事で詳しく紹介しています。 ▶︎ トレーニング後の回復を確認する4つの方法|HRV・睡眠・負荷・感覚をSuuntoでチェック まとめ|CTLは高さより「推移」を見る CTLは、1回のトレーニング結果ではなく、数週間にわたって積み重ねてきたトレーニング負荷を見るための指標です。 Suuntoでは、過去42日間のTSSをもとにCTLを算出し、長期的なトレーニング負荷の傾向を確認できます。 一方、ATLは直近7日間の負荷を見る指標で、CTLとの差からTSBを確認できます。 覚えておきたいのは、 CTLが高ければ高いほど良いわけではない 理想的なCTLは人によって違う CTLは1回の高負荷トレーニングでは大きく変わらない 急激なCTL上昇には注意する 回復週やテーパリングではCTLが下がっても問題ない ATL・TSB・HRV・睡眠・体感と合わせて見る という点です。 「CTLをどこまで上げるか」ではなく、「自分が回復しながら継続できる負荷はどのくらいか」を見つけること。 それが、CTLをトレーニングに活かすための基本です。 関連記事 トレーニング負荷とは?|フィットネス・疲労・フォームで見る負荷管理の基本 ランニングのトレーニング負荷を管理する方法|Suuntoアプリとウォッチで疲労・進歩をチェック トレーニング後の回復を確認する4つの方法|HRV・睡眠・負荷・感覚をチェック 心拍ゾーンとは?|ゾーン1〜5の意味・計算方法・トレーニングへの使い方 CTL・トレーニング負荷をSuuntoで管理する トレーニングを継続していると、「今日は頑張れたか」だけではなく、数週間にわたって負荷を積み上げられているか、疲労とのバランスが取れているかを見ることが重要になります。 SuuntoのスポーツウォッチとSuuntoアプリを組み合わせれば、日々のトレーニングを記録しながら、CTL・ATL・TSBなどを使って長期的なトレーニング傾向を確認できます。 レースとトレーニングを本格的に管理するならSuunto Race 2 Suunto Race 2は、ランニング、トレイルランニング、サイクリング、トライアスロンなど、継続的にトレーニングするアスリート向けのスポーツウォッチです。 日々の運動記録だけでなく、トレーニング負荷や回復の変化をSuuntoアプリと組み合わせて振り返ることで、次のトレーニングを考えるためのデータとして活用できます。 Suunto Race 2を見る
August 31 2026
Heart Rate Zones: How to Calculate and Train With Them

ランニングの心拍ゾーンとは?ゾーン1〜5の目安・計算方法・使い方

心拍ゾーンとは、心拍数をもとに運動強度をゾーン1〜5などの段階に分けたものです。ランニングやサイクリングでは、「今日は楽な強度で走る」「今日は閾値付近まで負荷を上げる」といったトレーニングの目的に合わせて、心拍ゾーンを使い分けることができます。 ただし、心拍ゾーンは誰にでも同じ数値が当てはまるわけではありません。最大心拍数、安静時心拍数、乳酸閾値心拍数など、どの数値を基準に計算するかによってもゾーンは変わります。 この記事では、心拍ゾーン1〜5の意味、計算方法、自分の心拍ゾーンが合っているか確認する方法をわかりやすく解説します。さらに、手首心拍と心拍ベルトの違いや、Suunto ZoneSenseを使った運動強度の見方についても紹介します。 目次 心拍ゾーンとは? 心拍ゾーン1〜5の意味 ゾーン1|回復・低強度 ゾーン2|有酸素持久力 ゾーン3|テンポ・中強度 ゾーン4|乳酸閾値付近の高強度 ゾーン5|VO2max・高強度 心拍ゾーンの計算方法 最大心拍数を基準に計算する 心拍予備量(HRR)から計算する 乳酸閾値心拍数(LTHR)から設定する デバイスによって心拍ゾーンが違うのはなぜ? 自分の心拍ゾーンが合っているか確認する方法 手首心拍と心拍ベルトはどう使い分ける? 心拍ゾーンとSuunto ZoneSenseの違い まとめ|心拍ゾーンは定期的に見直そう 関連記事 心拍ゾーンとは? 心拍ゾーンとは、1分間の心拍数(bpm)をもとに運動強度をいくつかの範囲へ分けたものです。 持久系スポーツでは、運動強度が低いゾーン1から、最大に近い強度となるゾーン5までの5ゾーンモデルが広く使われています。 運動強度が上がるにつれて、心拍数だけでなく呼吸の速さや身体への負荷も高まっていきます。 そのため心拍ゾーンを見ると、単に「心拍数が150bpmだった」と確認するだけでなく、その日のトレーニング目的に合った強度で運動できているかを判断しやすくなります。 例えばイージーランの日に心拍ゾーン4まで上がっていれば、予定より頑張りすぎている可能性があります。 逆に閾値トレーニングなのにゾーン2のままであれば、狙った負荷まで上げられていない可能性もあります。 心拍ゾーン1〜5の意味 5ゾーンモデルでは、運動強度をゾーン1〜5に分けます。 大まかな特徴を整理すると次のようになります。 心拍ゾーン 強度の目安 主な目的 体感 ゾーン1 とても低い 回復・ウォームアップ 非常に楽 ゾーン2 低い 有酸素持久力 楽に続けられる ゾーン3 中程度 持続的なテンポ走 少しきつい ゾーン4 高い 閾値トレーニング かなりきつい ゾーン5 非常に高い VO2max・高強度インターバル 長時間維持できない 心拍ゾーンを使うと、トレーニング時間を強度別に確認できます。 ゾーン1|回復・低強度 ゾーン1は、ウォームアップ、クールダウン、リカバリーセッションなどで使われる低い運動強度です。 呼吸はとても楽で、身体への負担も比較的小さく、長時間動き続けやすい強度です。 例えば高強度インターバルの翌日に軽く身体を動かしたい場合や、ハードなセッション前後のウォームアップ・クールダウンなどに利用できます。 すべてのトレーニングを「頑張る時間」にする必要はありません。負荷を抑えて身体を動かす時間も、トレーニング全体を組み立てるうえで重要です。 ゾーン2|有酸素持久力 ゾーン2は、ランニングやサイクリングなどの持久系スポーツでよく使われる低強度のトレーニングゾーンです。 呼吸は安定していて、比較的楽に長時間続けられる強度が目安になります。 イージーラン、ロングラン、有酸素ベースをつくるトレーニングなどで利用されます。 継続して取り入れることで、長時間の有酸素運動へ適応するための土台をつくっていきます。 ただし、「ゾーン2なら必ずこの心拍数」という共通の数字があるわけではありません。最大心拍数や安静時心拍数などによって、一人ひとりの範囲は異なります。 ゾーン2だけを詳しく知りたい場合は、こちらの記事で心拍数の目安やトレーニング方法を解説しています。 ▶︎ ゾーン2ランニングとは?心拍数の目安・効果・やり方を初心者向けに解説 ゾーン3|テンポ・中強度 ゾーン3は、ゾーン2よりも明らかに運動強度が高くなる領域です。 呼吸も速くなりますが、一定時間であれば安定したペースを維持できます。 持続走や中強度のランニング、一部のテンポ走などで利用されます。 ランナーにとっては、楽なジョギングより速いペースを一定時間維持する能力を養うトレーニングに使えます。 一方で、毎日のランニングが無意識にこの強度へ入り続けると、「楽な日としては強すぎるけれど、高強度トレーニングとしては十分ではない」という状態になりやすいこともあります。 トレーニングでは、速さだけでなくその日の目的に合った強度になっているかを見ることが大切です。 ゾーン4|乳酸閾値付近の高強度 ゾーン4は、高い運動強度にあたる領域です。 ゾーンモデルによって境界は異なりますが、乳酸閾値付近の強度を含むことがあります。 呼吸はかなり苦しくなり、ゾーン2のように長時間楽に維持することはできません。 主に、 閾値走 高強度のテンポ走 長めのインターバル などで使われます。 この強度のトレーニングでは、高い運動強度を維持する能力を鍛えることが目的になります。 ゾーン5|VO2max・高強度 ゾーン5は、最大心拍数に近い非常に高い運動強度です。 呼吸は非常に激しくなり、長時間維持することは難しくなります。 VO2maxを刺激するインターバルトレーニングや、短い高強度の反復などで使われます。 高いトレーニング刺激を得られる一方で、身体への負荷も大きいため、低強度トレーニングや休養と組み合わせることが重要です。 また、心拍数は運動強度の変化に対して瞬時には反応しません。 非常に短いインターバルでは、すでに全力に近い強度で走っていても、心拍数がゾーン5へ到達する前にインターバルが終わる場合があります。 そのため短時間の高強度トレーニングでは、心拍数だけでなくペース、パワー、体感強度も合わせて判断しましょう。 心拍ゾーンの計算方法 心拍ゾーンの計算方法はひとつではありません。 代表的なのは、次の3つです。 最大心拍数(Max HR)を基準にする 心拍予備量(HRR)を基準にする 乳酸閾値心拍数(LTHR)を基準にする 同じ人でも計算方法が変われば、ゾーンの境界となる心拍数は変わります。 「別のウォッチやアプリに変えたらゾーンが違った」ということがあるのも、このためです。 最大心拍数を基準に計算する もっともシンプルなのが、最大心拍数に対する割合で心拍ゾーンを設定する方法です。 一般的な5ゾーンモデルでは、次のような割合が目安として使われます。 心拍ゾーン 最大心拍数に対する割合の目安 ゾーン1 約50〜60% ゾーン2 約60〜70% ゾーン3 約70〜80% ゾーン4 約80〜90% ゾーン5 約90〜100% 最大心拍数の簡易的な推定方法として、よく知られているのが、 最大心拍数 ≒ 220 − 年齢 という式です。 例えば40歳なら、 220 − 40 = 180bpm となります。 ただし、これはあくまで年齢から推定する簡易式です。 実際の最大心拍数には大きな個人差があり、「220−年齢」が自分の本当の最大心拍数になるとは限りません。 より正確に設定したい場合は、適切なフィールドテストや運動負荷試験などで最大心拍数を確認する方法があります。 心拍予備量(HRR)から計算する 心拍予備量(HRR:Heart Rate Reserve)は、最大心拍数だけでなく安静時心拍数も考慮する方法です。 まず、最大心拍数から安静時心拍数を引きます。 心拍予備量 = 最大心拍数 − 安静時心拍数 例えば、 最大心拍数:190bpm 安静時心拍数:50bpm なら、 190 − 50 = 140bpm が心拍予備量です。 この心拍予備量を使うカルボーネン法では、目標心拍数を次のように計算します。 目標心拍数 = 安静時心拍数 +(運動強度 × 心拍予備量) 例えば70%の運動強度なら、 50 +(0.7 × 140)= 148bpm となります。 最大心拍数だけを使う方法よりも、その人の安静時心拍数を考慮できるのが特徴です。 ただし、最大心拍数や安静時心拍数の設定そのものが実態と大きくずれていれば、そこから計算されるゾーンもずれてしまいます。 乳酸閾値心拍数(LTHR)から設定する もうひとつの方法が、乳酸閾値心拍数(LTHR:Lactate Threshold Heart Rate)を基準に心拍ゾーンを設定する方法です。 乳酸閾値は、運動強度を上げていったときに、血中乳酸の蓄積がそれまでより速く増え始めるポイントのひとつです。 この付近での心拍数を基準にすることで、自分の持続的な高強度運動能力に合わせてゾーンを設定できます。 より厳密に測定するには、運動強度を段階的に上げながら血中乳酸を測定するラボテストなどが利用されます。 フィールドテストから推定する方法もありますが、使用するテストやトレーニングシステムによって計算方法やゾーン境界が異なります。 そのため、最大心拍数方式、HRR方式、LTHR方式の数値を単純に比較して「どれが正しい」と考えるのではなく、どの基準で設定されたゾーンなのかを理解して使うことが大切です。 デバイスによって心拍ゾーンが違うのはなぜ? ウォッチ、アプリ、トレーニングサービスを比較したときに、「同じ自分のデータなのに心拍ゾーンが違う」と感じることがあります。 これは、必ずしもどちらかが間違っているという意味ではありません。 主な理由は3つあります。 1. 心拍ゾーンの計算方法が違う 最大心拍数を基準にするシステムもあれば、HRRや乳酸閾値心拍数を基準にするシステムもあります。 また、同じ5ゾーン方式でも境界となる割合が異なる場合があります。 3ゾーンや4ゾーンなど、そもそも異なるゾーンモデルを使う場合もあります。 2. 最大心拍数・安静時心拍数などの設定が違う 最大心拍数が実際より低く設定されていれば、すべてのゾーンが低い方向へずれます。 逆に最大心拍数が高すぎれば、ゾーンも高い方向へずれます。 HRR方式では、安静時心拍数の設定もゾーン計算へ影響します。 3. 心拍数の測定方法が違う 手首の光学式心拍計と胸に装着する心拍ベルトでは、心拍を測定する仕組みが異なります。 強度が急に変化する場面などでは、測定値の反応速度や安定性に違いが出ることがあります。 つまり、ゾーンの境界が違う場合と、そのゾーンへ当てはめる心拍測定値が違う場合の両方があるということです。 自分の心拍ゾーンが合っているか確認する方法 心拍ゾーンが自分に合っているかどうかは、ウォッチに表示される数字だけでは判断できません。 呼吸、体感強度、継続できる時間、ペースなども一緒に確認することが大切です。 呼吸と体感強度を確認する 例えばウォッチではゾーン2なのに、息が大きく乱れて長時間続けられないのであれば、設定しているゾーンが実際の強度と合っているか確認する価値があります。 逆に、高強度のゾーン4と表示されているにもかかわらず、最初から最後まで非常に楽に運動できる場合も、最大心拍数などの設定を見直してみましょう。 心拍ゾーンは数字だけでなく、「その強度を自分がどう感じているか」とセットで考えると理解しやすくなります。 どれくらいの時間維持できるかを見る ゾーン1やゾーン2のような低強度は、一般的に長時間続けやすい領域です。 一方、ゾーン4やゾーン5になるほど、長時間維持することは難しくなります。 表示されているゾーンと、実際にその強度を維持できる時間が大きく食い違っている状態が続くなら、最大心拍数やゾーン設定を確認してみましょう。 心拍数とペースの変化を見る 心拍数だけでなく、ペースやパワーとの関係を長期的に見ることも役立ちます。 例えば、以前と同じペースをより低い心拍数で走れるようになったり、同じ心拍数でより速く走れるようになったりすれば、有酸素能力が向上している可能性があります。 1回のワークアウトだけで判断するのではなく、トレーニング履歴を継続して見ることがポイントです。 手首心拍と心拍ベルトはどう使い分ける? 多くのSuuntoスポーツウォッチには、手首で心拍数を測定する光学式心拍計が搭載されています。 日常のトレーニングではウォッチだけで心拍数を確認できるため、手軽に心拍ゾーンを利用できます。 一方、胸に装着する心拍ベルトは、心臓の電気信号を検出して心拍を測定します。 特に、 インターバルトレーニングなど強度変化が大きい運動 より安定した心拍データを取りたいとき ZoneSenseを使いたいとき には、心拍ベルトを利用するメリットがあります。 どちらか一方だけが正解ということではありません。 普段のランニングでは手首心拍、より詳しく強度を分析したい日は心拍ベルトというように、目的に応じて使い分けられます。 心拍ゾーンとSuunto ZoneSenseの違い ここで知っておきたいのが、通常の心拍ゾーンとSuunto ZoneSenseの違いです。 心拍ゾーンは、最大心拍数、安静時心拍数、乳酸閾値心拍数などを基準として、あらかじめ設定した心拍数の範囲に現在の心拍数を当てはめます。 言い換えると、心拍ゾーンは「設定した基準に対して、今の心拍数がどこにあるかを見る方法」です。 一方、Suunto ZoneSenseは、心拍ベルトから取得した一拍ごとのR-R間隔を解析し、運動中の身体の反応から強度の変化を捉えます。 例えば同じ150bpmで走っていても、身体の状態が毎日まったく同じとは限りません。 暑い日、疲労が残っている日、長時間運動した後などでは、同じ心拍数でも身体が受けている内部負荷が変化することがあります。 ZoneSenseでは、心拍ベルトから取得したデータをもとに、運動強度を主に次の3つの領域で確認します。 有酸素領域 無酸素領域 VO2max領域 通常の心拍ゾーンとZoneSenseは、どちらか一方を選ぶものではありません。 まず心拍ゾーンを使ってトレーニングの基本的な強度を管理し、さらにその日の身体が実際にどのように反応しているか知りたい場合にZoneSenseを組み合わせる、と考えると分かりやすいでしょう。 ZoneSenseを利用するには、運動中の一拍ごとの心拍間隔を取得できる対応する胸部心拍ベルトが必要です。 詳しい仕組みや使い方はこちらの記事で解説しています。 ▶︎ 心拍ベルトで運動強度がわかる?Suunto ZoneSenseの仕組みと使い方 ▶︎ Suunto ZoneSenseと心拍ベルトの使い方|対応機種・仕組み・よくある質問 まとめ|心拍ゾーンは定期的に見直そう 心拍ゾーンを使うと、ウォッチに表示される心拍数を単なる数字ではなく、トレーニングの目的に合わせて使える運動強度の指標として活用できます。 基本となる5ゾーンモデルでは、 ゾーン1:回復・低強度 ゾーン2:有酸素持久力 ゾーン3:テンポ・中強度 ゾーン4:乳酸閾値付近の高強度 ゾーン5:VO2max・最大に近い高強度 というように、それぞれ異なる役割があります。 ただし、心拍ゾーンは固定された絶対値ではありません。 最大心拍数、安静時心拍数、乳酸閾値、体力レベルなどによって変わり、設定方法によっても境界は異なります。 さらにトレーニングを続けて体力や身体の状態が変化すれば、以前設定したゾーンが今の自分に合わなくなることもあります。 心拍数だけを見るのではなく、呼吸、体感強度、ペース、パワー、トレーニング履歴などと合わせて確認しながら、必要に応じて心拍ゾーンを見直していきましょう。 そして、心拍数という数字だけでは捉えにくい「その日の身体の反応」まで知りたい場合は、心拍ベルトとSuunto ZoneSenseを組み合わせることで、運動強度をさらに深く分析できます。 ç 心拍ゾーンをもっと活用するならSuuntoの心拍計測デバイス 心拍ゾーンをトレーニングに活かすには、まず自分の心拍数を継続して記録することが大切です。 日常のランニングやサイクリングでは、対応するSuuntoウォッチの手首心拍で手軽に強度を確認できます。 さらに、インターバルトレーニングなど強度変化が大きい運動や、より安定した心拍データを取りたいとき、Suunto ZoneSenseを使いたいときは、胸部心拍ベルトを組み合わせるのがおすすめです。 ZoneSenseを使うなら心拍ベルト Suunto ZoneSenseは、一拍ごとのR-R間隔データをもとに運動強度を分析するため、対応する胸部心拍ベルトが必要です。 通常の心拍ゾーンだけでなく、その日の身体が実際にどの強度で動いているかまで確認したい人に向いています。 Suuntoの心拍ベルトを見る 手首心拍でトレーニングを管理するならSuuntoウォッチ 普段のランニングやサイクリングで、心拍ゾーン、トレーニング負荷、回復などをまとめて管理したい場合は、Suuntoのスポーツウォッチが便利です。 ランニング中心ならSuunto Run、トレーニングやレースまで幅広く使いたいならSuunto Race 2など、目的に合わせて選べます。 Suuntoのスポーツウォッチを見る
August 31 2026