バックカントリースキーやスノーボードでルートを計画するときは、距離や標高だけでなく「どんな斜度の地形を通るのか」を確認することが重要です。Suuntoアプリでは、Avalanche terrain(雪崩地形)レイヤーを表示し、斜面の傾斜を地図上で確認しながらルートを計画できます。
多くの雪崩は30〜45度程度の斜面で発生します。しかし、現在地が30度未満の緩斜面だからといって、安全とは限りません。
上部の急斜面から雪崩が流れ込む可能性や、離れた場所から雪崩を誘発する可能性も考える必要があります。
この記事では、Suuntoアプリで雪崩地形マップを確認する方法と、バックカントリーのルート計画でどう活用するかを紹介します。
雪崩地形マップとは?
Avalanche terrain(雪崩地形)マップは、Suuntoアプリのマップで利用できる地図レイヤーのひとつです。
斜面の傾斜を色で可視化することで、バックカントリーのルートを計画するときに、急斜面がどこにあるのかを把握しやすくします。
雪の状態は日々変化しますが、山の地形そのものは変わりません。
そこで、出発前に地形を確認し、できるだけ雪崩地形への露出を減らすルートを考えるための情報として活用できます。

SuuntoアプリのAvalanche terrainレイヤーでは、斜面の傾斜を色で確認できます。
雪崩と斜度|30〜45度をどう考える?
雪崩地形を考えるうえで、まず知っておきたいのが斜度です。
多くの雪崩は、およそ30〜45度の斜面で発生します。
そのためSuuntoアプリのAvalanche terrainレイヤーでは、このような急斜面を地図上で把握しやすくしています。
ただし、これは「30度未満なら安全」「45度を超えたら危険」と単純に線引きできるものではありません。
雪崩の発生には、
- 積雪の状態
- 弱層
- 降雪
- 風
- 気温
- 斜面の向き
- 地形
など、さまざまな条件が関係します。
斜度は、その中の重要な判断材料のひとつです。
Suuntoアプリで雪崩地形マップを表示する方法
Avalanche terrainレイヤーは、Suuntoアプリのマップ画面から表示できます。
- Suuntoアプリを開く
- マップ画面を開く
- マップレイヤーのボタンをタップする
- Avalanche terrainを選択する
レイヤーを選択すると、斜面の傾斜に応じた色が地図上に表示されます。
この機能はルート作成時だけに限らず、地図を見ながら周辺の雪崩地形を確認するときにも利用できます。
色の濃さで斜面の傾斜を確認する
Avalanche terrainレイヤーでは、色が濃くなるほど斜面が急になるように表示されます。
ルートを計画するときは、線を引こうとしている場所だけを見るのではなく、周囲の斜面も広く確認します。
例えば、谷底を通るルート自体は緩やかでも、その両側に急斜面があれば、雪崩の影響を受ける地形になる場合があります。
「ルートの斜度」ではなく、「そのルートがどんな地形の中を通っているか」を見ることが重要です。
雪崩地形を見ながらルートを計画する
Suuntoアプリでは、Avalanche terrainレイヤーを表示した状態でルートを計画できます。
バックカントリーのルートを考えるときは、
- 急斜面をどこで通過するか
- 急斜面の下を通っていないか
- 谷や沢に入り込んでいないか
- より雪崩地形への露出が少ない選択肢がないか
などを確認します。
最短距離だけを優先するのではなく、できるだけ雪崩地形に入る時間や距離を減らせるルートを探すという考え方が重要です。
Suuntoアプリでの基本的なルート作成方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎ Suuntoアプリでルートを作る6つの方法|GPX・ヒートマップも解説
現在地だけでなく「上の斜面」を確認する
雪崩地形マップを使うとき、特に重要なのが自分がいる場所だけを見ないことです。
雪崩は急斜面で発生した後、斜面下部や緩斜面まで流れ出すことがあります。
つまり、自分が立っている場所の斜度が低くても、上部に雪崩が発生し得る急斜面があれば、その影響を受ける可能性があります。
また、スラブ雪崩では、離れた場所から弱層の破壊が伝わり、急斜面で雪崩が発生する場合もあります。
「ここは緩斜面だから大丈夫」と判断するのではなく、上部斜面を含めた地形全体を見ること。
これが雪崩地形マップを使ううえで非常に重要です。
他のマップレイヤーと切り替えて確認する
Suuntoアプリでは、ルートを計画しながら複数のマップ表示を切り替えることができます。
例えば、
- 通常のアウトドアマップ
- Avalanche terrain
- スキーツーリングのヒートマップ
などです。
Avalanche terrainだけを見てルートを決めるのではなく、通常地図で地形や道を確認し、ヒートマップなども参考にしながら、複数の情報を組み合わせます。
ひとつの地図レイヤーに答えを求めるのではなく、それぞれの情報から地形を立体的に理解することが大切です。
作成したルートをSuuntoウォッチへ同期する
Suuntoアプリでルートを作成したら、対応するSuuntoウォッチへ同期して、現地でルートナビゲーションに利用できます。
例えばSuunto Vertical 2では、オフラインマップとルートナビゲーションを使い、行動中に現在地と予定ルートを手元で確認できます。
ここで注意したいのは、アプリのAvalanche terrainレイヤーそのものをウォッチへ転送するわけではないということです。
基本的な流れは、
- Suuntoアプリで雪崩地形を確認する
- 地形を考慮してルートを作成する
- 作成したルートをウォッチへ同期する
- 現地ではウォッチでルートをナビゲーションする
となります。
ウォッチは、出発前に考えたルートを現地で確認するためのツールとして活用します。
雪崩地形マップだけで安全は判断できない
Avalanche terrainレイヤーは、雪崩の危険度そのものを表示するものではありません。
表示されているのは地形、特に斜面の傾斜に関する情報です。
実際にその日に雪崩が発生しやすいかどうかを判断するには、
- 最新の雪崩情報
- 積雪状態
- 降雪量
- 風
- 気温変化
- 現地での観察
- 雪崩に関する知識と経験
など、複数の情報が必要です。
また、バックカントリーではビーコン、プローブ、ショベルなどの装備と、それらを使うための訓練も重要です。
雪崩シーズン前に確認したい基本についてはこちら。
▶︎ バックカントリーに入る前に確認したい雪崩安全チェック8項目
バックカントリー全体の装備・ルート判断・行動についてはこちら。
▶︎ バックカントリースキーを安全に楽しむ14のポイント|装備・雪崩・ルート判断
Antti Auttiに学ぶ「雪崩地形への露出を減らす」考え方

Antti Autti studying the snowpack in Northern Norway. Images by Jaakko Posti.
バックカントリースノーボーダーでSuuntoアンバサダーのAntti Auttiは、ルートを計画するとき、できるだけ雪崩地形への露出を少なくすることを意識しています。
考え方はシンプルです。
雪崩地形に入らずに進める距離が長いほど、その選択肢を優先する。
これは「危険な場所を一度も通らない」という意味ではなく、複数のルート候補があるときに、雪崩地形へ入る時間や距離をできるだけ減らすという考え方です。
そしてAnttiが強調しているのは、アプリだけでは山での安全を確保できないということです。
雪や雪崩について学び続け、現地で自分自身がより良い判断をできるようにする。
Suuntoアプリの雪崩地形マップは、その判断をサポートするための情報のひとつです。
まとめ|雪崩地形を避けるルート計画のために
SuuntoアプリのAvalanche terrainレイヤーを使うと、斜面の傾斜を地図上で確認しながらバックカントリーのルートを計画できます。
活用するときのポイントは次の通りです。
- SuuntoアプリのマップからAvalanche terrainを表示する
- 色の濃さから急斜面の位置を把握する
- 30〜45度の斜面だけを単純に「危険地帯」と考えない
- 現在地だけでなく上部の斜面も確認する
- 雪崩が流れ込む可能性のある地形も考える
- 通常地図や他のマップレイヤーと組み合わせる
- できるだけ雪崩地形への露出が少ないルートを考える
- 作成したルートを対応するSuuntoウォッチへ同期する
そして最も重要なのは、雪崩地形マップが「安全なルート」を自動的に教えてくれるわけではないということです。
地形、雪、天候、雪崩情報、現地の状況を総合して判断し、必要であれば計画を変更したり引き返したりすることも含めて、バックカントリーのルート計画です。