トライアスロンのシーズンが終わったら、すぐ次のレースへ向けて練習を始めるべきでしょうか。それとも完全に休んだ方がいいのでしょうか。長いシーズンの後は、身体だけでなくメンタルも回復させながら、次のトレーニングサイクルへ向けて準備することが大切です。
長年トップレベルで活躍してきたトライアスリートConrad Stoltzは、オフシーズンを「何もしない期間」ではなく、競技から少し距離を置き、身体と気持ちをリセットする時間として大切にしてきました。
彼がすすめるのは、3〜6週間ほど構造化されたトレーニングから離れつつ、完全に動かなくなるのではなく、違うスポーツや遊びを楽しむこと。
そして、シーズン中には試しにくいフォーム、装備、ポジション、筋力トレーニングなどを見直し、復帰するときは3〜4週間かけて徐々に戻していくことです。
この記事では、トライアスロンのオフシーズンに取り入れたい7つのポイントを紹介します。
1. 3〜6週間は構造化トレーニングから離れる
Conradが最初にすすめるのは、シーズン終了後に3〜6週間ほど、真剣で構造化されたトレーニングから離れることです。
レースシーズン中は、
- 毎週のトレーニング計画
- ポイント練習
- ロングセッション
- レース遠征
- 睡眠や食事の管理
など、長期間にわたって競技中心の生活になりがちです。
身体だけでなく、頭の中もトライアスロンのことでいっぱいになっている人も多いでしょう。
そこで一度、
「何曜日だからこのメニューをやる」
という生活から離れてみます。
数週間トレーニング量を落としたからといって、積み上げたフィットネスがすべて失われるわけではありません。
むしろ、長いシーズンを終えた身体と気持ちをリセットし、次のサイクルへ進む準備をする時間と考えましょう。
2. 完全に動かなくなる必要はない
オフシーズンだからといって、3〜6週間ずっと何もしない必要はありません。
Conrad自身も、完全に運動を止めるのではなく、気分に合わせて身体を動かしていました。
例えば、
- 散歩
- 軽いジョギング
- ハイキング
- スイム
- ゆっくりしたサイクリング
などです。
ポイントは、トレーニングとして評価しないこと。
距離、速度、パワー、タイムを追いかけるのではなく、「今日はこれをやりたい」と思った活動を楽しみます。
ただし、オフだからといって突然慣れていないスポーツを何時間も行えば、別の疲労や故障につながることがあります。
自由に動くことと、無計画に追い込むことは別です。
3. シーズンを振り返る
少し競技から離れて頭が落ち着いたら、今シーズンを振り返ってみましょう。
レース結果だけではなく、トレーニング全体を見ることが大切です。
- 何がうまくいったか
- どの時期に調子が良かったか
- 疲労が蓄積したのはいつか
- 苦手だった種目はどれか
- 故障や違和感はなかったか
- レース前のテーパリングは合っていたか
- 競技を楽しめていたか
などを確認します。
「もっと練習しなければ」と考える前に、今年うまくいったことを残し、うまくいかなかった部分だけを変えるという視点を持つと、次のシーズンを組み立てやすくなります。
3種目のトレーニング全体をどう考えるかはこちら。
▶︎ トライアスロンのトレーニング方法|スイム・バイク・ランの負荷と回復をどう組み立てる?
4. フォーム・装備・ポジションを見直す
Conradがオフシーズンにすすめることのひとつが、大きな変更を試すことです。
レースシーズン中に、
- バイクポジションを大きく変更する
- シューズのタイプを変える
- ランニングフォームを大きく変える
- 新しい筋力トレーニングを始める
と、身体が適応する前に重要なレースが来てしまうことがあります。
オフシーズンなら、試して合わなければ戻す時間があります。
例えばバイクなら、
- サドル高
- クリート位置
- ハンドル位置
- エアロポジション
などを確認することができます。
ランニングなら、シューズ、筋力トレーニング、フォームドリルなど。
スイムなら、ストロークや呼吸の技術。
変化を試すなら、本番直前ではなく時間に余裕がある時期に。
それがオフシーズンの大きなメリットです。
5. 痛みやアンバランスを整える
レースシーズン中は、小さな違和感を抱えたまま練習を続けてしまうことがあります。
オフシーズンは、そうした問題を見直す良いタイミングです。
例えば、
- いつも同じ場所が痛む
- 左右差を感じる
- 可動域が狭くなっている
- ランニング後に繰り返し違和感が出る
場合は、必要に応じて医療機関や理学療法士などの専門家へ相談しましょう。
また、トレーニング量を落としている時期なら、
- 筋力トレーニング
- モビリティ
- フォーム確認
などにも取り組みやすくなります。
次のシーズンに走行量を増やしてから問題に気づくより、オフのうちに整えておく。
これも重要な準備です。
6. 別のスポーツを楽しむ
Conradはオフシーズンに、トライアスロンとは違う活動を楽しんでいました。
原文では、サーフィン、マウンテンバイク、ハイキング、チームスポーツなどが紹介されています。
日本なら、季節や環境に合わせて、
- クロスカントリースキー
- ハイキング
- トレイルランニング
- クライミング
- スノーシュー
- スイム
- 自転車
などを楽しむ方法があります。
別のスポーツを行うメリットは、心肺機能を使えることだけではありません。
いつもと違う動きをして、競技に対する気持ちをリフレッシュできることも大きなポイントです。
ただし、普段使わない筋肉や動作には身体が慣れていません。
「オフだから好きなだけやる」のではなく、最初は控えめに始めましょう。
冬のクロストレーニングについてはこちらの記事も参考になります。
▶︎ 冬のランニングトレーニング12選|オフシーズンに筋力・フォーム・持久力を鍛える方法
7. トレーニング再開は3〜4週間かけて徐々に
オフシーズンが終わると、久しぶりに本格的なトレーニングをしたくなるでしょう。
ここでConradが注意しているのが、最初の週から以前と同じ量・強度へ戻さないことです。
数週間トレーニング量を落としている間に、身体は高い負荷への適応を少し失っています。
本人は、3〜4週間ほどかけて徐々に通常トレーニングへ戻すことをすすめています。
例えば、
- まず低強度の頻度を戻す
- 次に運動時間を伸ばす
- ロングセッションを戻す
- 最後に高強度を追加する
という流れです。
頻度・時間・強度を同時に全部増やさないこと。
オフ明けに調子が良く感じても、最初から追い込まないようにしましょう。
オフシーズン1か月の過ごし方
Conradの考え方をもとに、日本版では例えば次のように組むことができます。
| 時期 | 過ごし方の例 |
|---|---|
| 1週目 | 完全休養を多めに。散歩や軽いスイム程度 |
| 2週目 | 気分に合わせてハイキング、自転車、軽いジョグなど |
| 3週目 | シーズンを振り返り、身体や装備を見直す |
| 4週目 | 低強度トレーニングを少しずつ再開 |
これは固定されたルールではありません。
長距離レースを終えた後と、短いレース中心のシーズンでは必要な回復期間も変わります。
また、強い疲労や痛みが残っている場合は、さらに長い休養が必要になることもあります。
HRV・睡眠・負荷をどう見る?
オフシーズンでは、トレーニング量が減るため、Suuntoアプリ上の負荷も下がっていきます。
それを見て「フィットネスが落ちている」と焦る必要はありません。
意図的に負荷を下げて回復している期間だからです。
また、トレーニング再開時には、
- HRV
- 睡眠
- 安静時の身体の感覚
- モチベーション
- 軽い運動後の疲労
などを確認する材料にできます。
HRVは1日の数字だけを見るのではなく、自分自身の通常範囲との変化を見ることが大切です。
▶︎ HRV(心拍変動)とは?正常値の見方と回復・トレーニングへの活かし方
次の質の高いトレーニングへ向けた休養の考え方はこちら。
▶︎ トレーニングの質を上げる回復方法|休養・補給・オフシーズンの考え方
Suuntoでシーズンを振り返る
オフシーズンは、次のトレーニング計画を立てる前に、過去数か月のデータを振り返る良いタイミングです。
SuuntoウォッチとSuuntoアプリでは、
- スイム
- バイク
- ラン
- トレーニング負荷
- 睡眠
- HRV
などを長期的に確認できます。
例えば、
「いつ負荷が急に増えたか」
「レース前に疲労が抜けていたか」
「どの時期に睡眠が乱れていたか」
などを振り返ることで、次のシーズンで変えたいポイントが見えてくることがあります。
トレーニング全体を振り返るならSuunto Race 2
Suunto Race 2は、スイム・バイク・ランを含むマルチスポーツの記録に加えて、トレーニング負荷や回復を長期的に振り返りたいアスリート向けの選択肢です。
オフシーズンでは、毎日の数値に振り回されるのではなく、シーズン全体を俯瞰して見ることに活用できます。
まとめ|オフシーズンは次のシーズンを作る時間
トライアスロンのオフシーズンは、何もしない時間でも、次のレースへ向けてすぐ追い込む時間でもありません。
Conrad Stoltzが大切にしているのは、一度競技から少し距離を置き、身体と気持ちを回復させることです。
- 3〜6週間は構造化トレーニングから離れる
- 気分に合わせて軽く身体を動かす
- シーズンを振り返る
- 装備やフォームの変更を試す
- 痛みや身体のアンバランスを整える
- 違うスポーツを楽しむ
- 復帰は3〜4週間かけて徐々に行う
そしてオフシーズンで最も大切なのは、次のシーズンへ向けて「またトレーニングしたい」と思える状態に戻ることかもしれません。
休んだことを焦るのではなく、休んだからこそ次のトレーニングを積める。
オフシーズンも、年間トレーニング計画の大切な一部です。