トレイルランニングの練習では、走る距離だけでなく、累積標高、登りの長さ、下りの路面、テクニカル区間の割合によって負荷が大きく変わります。大会に向けて準備するなら、「長く走る日」と「登りを鍛える日」を分け、目的に合うコースを選ぶことが大切です。
この記事では、山岳アスリートのキリアン・ジョルネが紹介した5つのトレーニングルートをヒントに、トレイルランニングの練習コースを組み立てる方法を解説します。海外の高難度ルートをそのまま再現するのではなく、登り、下り、距離、路面、標高という要素を、日本での練習へどう取り入れるかを見ていきましょう。

トレイルランニングの練習コースを決める5つの要素
同じ10kmでも、平坦な林道と急峻な山道では、必要な時間も身体への負荷も異なります。コースを比較するときは、距離だけで判断せず、次の5項目を確認しましょう。
| 確認項目 | わかること | 練習への活かし方 |
|---|---|---|
| 距離 | 行動時間と持久力の目安 | 短時間走とロング走を分ける |
| 累積標高 | 登り下りの総量 | 目標レースに近い登坂量へ段階的に近づける |
| 勾配と登りの長さ | 走るか歩くか、筋力をどれほど使うか | 短い急坂と長い緩斜面を使い分ける |
| 路面と技術難度 | 足運び、バランス、下りの難しさ | 安全に反復できる区間から慣れる |
| 最高標高と環境 | 気温、風、酸素の薄さ、天候変化 | 高地は通常の練習と分け、無理に再現しない |
とくに累積標高は、コースの厳しさを考える重要な手がかりです。ただし、同じ累積標高でも、長い登りが1本あるコースと、短いアップダウンを何度も繰り返すコースでは疲労の出方が変わります。高度プロファイルを見て、標高差がどこに集中しているかまで確認してください。
キリアン・ジョルネが選んだ5つのトレーニングルート
原文で紹介された5ルートには、それぞれ異なる山岳能力が求められます。以下の距離、時間、累積上昇、最高地点は2015年の記事に掲載された当時の参考値です。現在のコース状況や所要時間を保証するものではありません。
| ルート | 距離 | 記録時間 | 累積上昇 | 最高地点 | 練習要素 |
|---|---|---|---|---|---|
| エルスフィヨルド・トラバース(ノルウェー) | 18.09km | 4時間49分 | 2,758m | 1,093m | 狭い稜線、スクランブリング、急な登り下り |
| エギーユ・ド・レム(フランス) | 17.10km | 3時間39分 | 1,782m | 2,844m | ランニングと登攀を組み合わせる高難度ルート |
| モンブラン(フランス) | 24.78km | 5時間57分 | 3,808m | 4,815m | 長い登り、高所、雪氷を伴うアルパイン環境 |
| ピック・カルリット(フランス・ピレネー) | 21.30km | 3時間12分 | 861m | 2,633m | 比較的走れる区間と持久力 |
| グランド・ティトン(アメリカ) | 19.27km | 2時間54分 | 2,264m | 4,197m | 岩場、急峻な地形、高所での長時間行動 |
重要:これらのルートには、一般的なトレイルランニングを超える登攀、露出した稜線、雪氷、高所などが含まれます。キリアンの記録時間を目標にしたり、古いルート情報だけを頼りに入山したりしないでください。挑戦する場合は、最新の現地規制、登山道、天候、必要装備を確認し、十分な技術と経験を持つガイドや現地機関の判断に従ってください。
エルスフィヨルド・トラバースから学ぶ:テクニカル区間
狭い稜線とスクランブリングが続くこのルートは、スピードよりも足場を選ぶ力と全身の安定性が重要です。国内で応用するなら、危険な岩稜を選ぶ必要はありません。足元を安全に確認できる短い不整地で、歩幅を小さく保ち、重心を安定させる練習から始めます。
エギーユ・ド・レムから学ぶ:登りと走れる区間の切り替え
走れるトレイルと登攀が組み合わさるコースでは、運動強度が何度も変化します。登りで無理に走り続けず、パワーハイクへ切り替え、傾斜が緩んだら再び走る練習が実践的です。
モンブランから学ぶ:長い登りへの持久力
モンブランのような高所・雪氷ルートは、通常のトレイルランコースではありません。ただし「長い登りで一定の出力を保つ」という要素は、国内の安全な登山道や登坂区間でも練習できます。最初は30~45分程度の連続した登りから始め、疲労を見ながら時間を延ばしましょう。
ピック・カルリットから学ぶ:走れる山道での持久走

比較的走りやすい区間が多いコースは、トレイルで一定のリズムを保つ練習に向いています。急登の多いコースだけでなく、緩やかな林道や起伏のあるトレイルも組み合わせると、長時間動き続ける力を養えます。
グランド・ティトンから学ぶ:岩場と長い下り

岩が多いコースでは、登る力だけでなく、下りで正確に足を置く技術が必要です。疲労した状態の急な下りは転倒リスクが高まるため、練習では短く安全な区間を使い、速度よりフォームとコントロールを優先してください。
目的別にトレイルランニングのコースを組み立てる方法
トップアスリートのルートから取り入れるべきなのは、距離やタイムそのものではなく、コースが持つ練習要素です。週ごとの目的をひとつに絞ると、負荷を管理しやすくなります。
登りを強化する日
一定時間登り続けられる坂、または同じ場所へ戻れる周回・往復コースを選びます。急坂の反復では筋力、長い緩斜面では持久力を意識します。登りの勾配、垂直速度、獲得標高をトレーニングに活かす方法は、トレイルランニングの登りを攻略する方法も参考にしてください。
下りの技術を磨く日
見通しがよく、短時間で反復できる安全な下りを選びます。視線を少し先へ向け、接地を身体の真下へ近づけ、減速しすぎない小さなステップを意識します。雨天や濡れた岩、混雑した登山道では練習を控えましょう。
レースに近い負荷を確認する日
目標大会の距離、累積標高、路面を確認し、その一部を再現できるコースを探します。最初から全距離を走るのではなく、距離または累積標高を抑えたコースから段階的に増やします。週間メニューや大会準備は、初心者向けトレイルランニングの練習方法で詳しく紹介しています。
疲労をためずに動く日
練習のすべてを山岳コースにする必要はありません。会話できる強度で走れる林道や緩やかなトレイルは、フォームを崩さず運動時間を確保する日に向いています。高負荷の日の間には、休養日や軽い運動日を設けてください。
Suuntoアプリでルートと標高を確認する
練習コースを決めるときは、Suuntoアプリのマップで距離と高度プロファイルを確認します。ヒートマップは、多くのユーザーが記録している道をスポーツ別に探す手がかりになります。路面情報も確認し、舗装路、未舗装路、トレイルを目的に合わせて組み合わせましょう。
- Suuntoアプリでマップを開き、トレイルランニングのヒートマップを表示します。
- スタート地点を決め、ルートを作成します。
- 距離、累積上昇・下降、高度プロファイルを確認します。
- 急な登りや下りの位置、折り返し地点、途中で離脱できる場所を確認します。
- 対応するSuuntoウォッチへルートを保存・同期します。
ルートの作成や取り込みは、GPXルートをSuuntoウォッチに入れる方法、人気ルートの探し方はSuuntoアプリのヒートマップの使い方をご覧ください。
長い山岳ルートやナビゲーションを重視する場合は、オフラインマップと長時間バッテリーを備えたSuunto Vertical 2が、ルートやこの先の登り下りを確認する助けになります。トレーニングとレースでの見やすさを重視するなら、Suunto Race 2も選択肢です。ウォッチ上の地図や案内表示は、SUUNTOの地図・ナビゲーション画面の見方で確認できます。
山岳ルートを走る前に確認したい安全ポイント
GPSウォッチやアプリのルートは便利ですが、通行可能であることや安全を保証するものではありません。出発前には、次の項目を別途確認してください。
- 登山道の通行止め、工事、季節規制
- 天気予報、雨量、風、気温、日没時刻
- 残雪、凍結、増水、落石などの状況
- 水分、補給食、防寒具、ライト、救急用品
- 携帯電話の圏外区間と緊急時の連絡方法
- 予定を短縮できる分岐やエスケープルート
- 家族や同行者への行程共有
ヒートマップ上で利用が多い道でも、現在通行できるとは限りません。また、登山者が多い道では、追い越しやすれ違いの際に速度を落とし、歩行者と自然環境へ配慮しましょう。初めての山域では、計画に余裕を持ち、単独行を避ける判断も重要です。
まとめ|距離ではなく、目的からコースを選ぼう
キリアン・ジョルネが選んだ5つのルートは、登坂力、テクニカルな足運び、長時間の持久力、高所への対応など、山岳ランニングに必要な要素の違いを示しています。ただし、トップアスリートの距離やタイムをそのまま追う必要はありません。
まずは「今日は登りを鍛える」「安全な下りで足運びを練習する」「走れるトレイルで長く動く」など目的をひとつ決め、現在の体力に合う距離と累積標高から始めましょう。Suuntoアプリで高度プロファイルを確認し、対応するGPSウォッチへルートを同期すれば、計画した登り下りと現在地を行動中にも確認できます。
次のトレイルに合うGPSウォッチを選ぶ
ルートナビゲーション、オフラインマップ、標高データ、長時間バッテリーを活用して、トレーニングとレースの準備を整えましょう。
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