トレイルランニング大会へ申し込んだものの、「何を練習すればよいのか」「ロードの練習だけで大丈夫なのか」と迷っていませんか。
トレイルでは、距離だけでなく、登り・下り、路面、累積標高、補給、装備、ナビゲーションへの対応が必要です。本記事では、SUUNTOの原文に掲載された20週間のトレイルマラソンプランをアイデアの土台に、初心者が大会へ向けて準備する方法、週間メニュー例、負荷と回復の管理、ウォッチの活用方法を解説します。

トレイルランニングの練習がロードと違う理由
ロードランニングでは、距離やペースを比較的安定して管理できます。一方、トレイルでは同じ10kmでも、累積標高、路面、標高、天候によって所要時間と身体への負担が大きく変わります。
| 要素 | ロードランニング | トレイルランニング |
|---|---|---|
| 路面 | 舗装路が中心 | 土、岩、木の根、泥、階段などが変化する |
| ペース | 1kmあたりのペースを使いやすい | 勾配で大きく変わるため、心拍や主観強度も使う |
| 負荷 | 距離と時間で把握しやすい | 距離、時間、累積標高、下りの衝撃を合わせて考える |
| 技術 | 一定のフォームを保ちやすい | 登り、下り、足場に応じた動きと判断が必要 |
原文のコーチDenise Sauriolは、「トレイルのレースに出るなら、トレイルで練習する必要がある」と強調しています。ロードやトレッドミルも基礎づくりに使えますが、特にロング走は本番に近い路面とアップダウンで行うことが重要です。
練習計画を始める前の確認
最初に、大会の距離だけでなく、累積標高、制限時間、路面、必携装備、エイド間隔を確認します。20kmの初心者向け大会と、50km以上のロングレースでは必要な準備が異なります。
- 現在、週に何回・何km走っているか
- 無理なく動き続けられる時間と距離
- 最近の痛みや故障、体調上の不安がないか
- 本番まで何週間あるか
- 練習できるトレイルや坂が近くにあるか
- 大会の距離、累積標高、制限時間、必携装備
原文の20週間プランは、すでに週32〜40km程度を走り、12〜16kmのロング走を無理なく行える人を想定しています。
この基準に届かない場合は、まずウォーキングと短いランから基礎をつくり、計画期間を長くしてください。
鍛えたい6つの要素
1. 低強度で長く動く持久力
会話できる程度の強度で長く動く練習は、レース後半まで動き続ける土台になります。最初は距離より時間を基準にし、歩きを交えても構いません。ロング走・LSDトレーニングの方法も参考にしてください。
2. 登りを進み続ける力
急な登りでは、走るよりパワーハイクの方が効率的なことがあります。一定の呼吸を保ちながら、短い坂の反復、長い登り、階段などを段階的に取り入れます。
3. 下りに耐える脚と技術
下りでは、大腿部への衝撃と筋肉の伸張性収縮が繰り返されます。最初からスピードを上げず、短く安全な下りで、視線、接地、リズムを練習します。疲労時の急な下りは転倒リスクが高いため、技術練習は余裕のある状態で行いましょう。
4. トレイル特有の足運び
岩、木の根、ぬかるみ、段差では、歩幅と接地位置を素早く変える必要があります。実際のトレイルを走り、足元だけを見続けず、数歩先の進路を読む練習をします。
5. 筋力と安定性
スクワット、ランジ、ステップアップ、カーフレイズ、体幹などを、無理のない回数から週1〜2回取り入れます。新しい筋力トレーニングを高負荷で始めると走練習へ影響するため、フォームを優先してください。
6. 補給と装備を扱う力
長時間のレースでは、走力だけでなく、行動中に食べる・飲む・ウェアを調整する技術が必要です。ロング走で本番用のザック、シューズ、補給食を試し、胃腸や肌との相性を確認します。
初心者向け週間メニュー例
次の例は、週4回程度の運動を継続できる人向けの考え方です。現在の走力、仕事、睡眠、体調に合わせて回数と時間を減らしてください。
| 曜日例 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 月 | 休養または軽いモビリティ | 週末の疲労を回復する |
| 火 | 短いイージーラン | 低強度の持久力をつくる |
| 水 | 筋力トレーニングまたは休養 | 登り下りを支える筋力をつくる |
| 木 | 坂道走またはテンポ区間を含むラン | 登坂力と強度への対応を高める |
| 金 | 休養 | ロング走へ備える |
| 土 | トレイルでのロング走・ラン&ハイク | 時間、累積標高、補給、装備を練習する |
| 日 | 短い回復走、ウォーキング、または休養 | 疲労に合わせて回復を促す |
すべての練習を頑張る必要はありません。強度の高い練習とロング走の間には回復日を置き、疲労が強い週は練習を減らします。
20週間の組み立て方
原文のプランでは、3週間かけて走行量とロング走を少しずつ増やし、4週目に量を減らして回復するサイクルを採用しています。これを繰り返し、最後の3週間はテーパーとして練習量を落とします。
| 期間 | 重点 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1〜4週 | 基礎づくり | 低強度中心。4週目は量を減らす |
| 5〜8週 | 坂とトレイルへの適応 | 登り、下り、路面への対応を増やす |
| 9〜12週 | 時間と累積標高 | ロング走で補給と装備を試す |
| 13〜16週 | レース特異性 | 本番に近い地形と時間帯で練習する |
| 17週 | 最終的な長い練習 | 本番装備を確認し、故障につながる無理はしない |
| 18〜20週 | テーパー | 練習量を減らし、疲労を抜いて大会へ備える |
走行量を一律に増やすのではなく、痛み、睡眠、疲労、過去の練習量に合わせて調整します。病気や忙しい週の遅れを、翌週にまとめて取り戻そうとしないでください。
原文の20週間プランを作成したランニングコーチ、Denise Sauriol。
距離・時間・累積標高で負荷を考える
トレイルでは、距離だけで練習量を比較すると負荷を見誤ることがあります。平坦な15kmと、急な登り下りを含む15kmは同じではありません。
- 距離:移動した長さ
- 時間:どれだけ長く身体を動かしたか
- 累積標高:登りによる負荷の目安
- 主観強度:本人が感じたきつさ
- 心拍・トレーニング負荷:身体へかかった内的負荷の目安
大会が20km・累積標高1,000mなら、練習でも徐々にアップダウンへ慣れる必要があります。ただし、本番と同じ距離・累積標高を毎週再現する必要はありません。短い坂の反復、トレイルでのロング走、パワーハイクなどへ分けて準備できます。
SUUNTOで強度・負荷・回復を確認する
Suunto Race 2では、日々のランニング、心拍数、トレーニング負荷、回復、ルートを継続して記録できます。1回の数字だけで判断せず、数週間の傾向と体調を合わせて確認しましょう。
心拍ゾーンとZoneSense
登りではペースが遅くても運動強度が高くなるため、1kmあたりのペースだけでなく心拍数や呼吸の感覚を使います。対応する心拍ベルトとウォッチを使用する場合は、ZoneSenseで運動強度を確認する方法も活用できます。
トレーニング負荷
走行距離が少ない週でも、急な登りや長い下りによって負荷が高くなる場合があります。Suuntoアプリでトレーニング負荷を管理する方法を参考に、急激な増加が続いていないか確認してください。
回復・睡眠・HRV
予定したメニューよりも、体調に合わせて調整することが重要です。睡眠、安静時心拍数、HRV、脚の痛み、気分を確認し、回復が不十分なら休養や短い低強度運動へ変更します。
大会コースを想定して練習する
大会のGPXデータが公開されている場合は、Suuntoアプリへ取り込み、距離、累積標高、高度プロファイル、長い登りと下りの位置を確認します。可能なら一部区間を試走し、分岐、路面、補給、装備を確認してください。
長い山岳レースやオフラインマップを重視する場合は、Suunto Vertical 2を使って、ルートと地形を確認しながら試走できます。クライムガイダンスでは、ルート上の登り・下りを事前に把握し、区間ごとのペース配分を考えられます。
詳しい操作は、Suuntoクライムガイダンスの使い方と、GPXルートをSuuntoウォッチに入れる方法をご覧ください。

UTMB World Seriesを目標にするなら
トレイルランニングを続けるうちに、UTMB World Seriesのようなロングレースへ興味を持つ人もいるでしょう。SUUNTOは、UTMB World Seriesの公式GPSウォッチおよびテクニカルパートナーとして、世界各地のトレイルに挑戦するランナーをサポートしています。
UTMBは約170km・累積標高約10,000m規模のレースであり、初心者が短期間で目指す大会ではありません。短いトレイル大会から経験を積み、距離、累積標高、夜間行動、補給、装備への対応を段階的に身につける必要があります。
世界最高峰のトレイルランニングシリーズについては、UTMBとは?距離・魅力と日本で楽しむ方法で詳しく紹介しています。日本で開催されるKaga Spa Trail Endurance 100 by UTMB®についても、同記事から確認できます。
大会前のテーパーと最終確認
大会直前に不足分を取り戻そうとして長く走ると、疲労や痛みを残す可能性があります。原文のプランでは最後の3週間に練習量を減らすテーパーを設け、身体と気持ちを回復させています。
- 練習量を減らしながら、短い刺激で動きを保つ
- 新しいシューズ、補給食、装備を試さない
- 必携装備と大会規則を再確認する
- コース、関門、エイド、天候、交通手段を確認する
- ウォッチへルートを同期し、地図とバッテリー設定を確認する
- 睡眠と食事を整え、痛みや体調不良があれば無理をしない
安全に練習を続けるために
トレイルの練習は、交通のない自然の中を走れる一方、道迷い、転倒、天候変化、野生動物、通信圏外などのリスクがあります。
- 行き先、ルート、帰宅予定時刻を家族や知人へ共有する
- 水、補給食、防寒着、救急用品、ライトを距離と環境に合わせて携行する
- スマートフォンとウォッチだけに依存せず、地図や代替手段を用意する
- 悪天候、体調不良、痛み、日没に対する中止基準を決める
- 登山者や地域住民へ配慮し、追い越しでは声をかける
- 私有地、立入禁止、登山道の利用規則を守る
持病、長期間の運動習慣の中断、繰り返す痛みがある場合は、練習量を増やす前に医療従事者や資格を持つ専門家へ相談してください。
まとめ
トレイルランニング大会の準備では、ロードの走力に加えて、登り、下り、不整地、累積標高、補給、装備、ナビゲーションへの対応が必要です。
低強度の持久力を土台に、坂道練習、筋力トレーニング、トレイルでのロング走を段階的に取り入れます。3週間積み上げて1週間回復するサイクルと、大会前のテーパーを参考にしながら、自分の走力と体調に合わせて調整しましょう。
日々の練習からトレイルレース本番まで記録しよう
トレーニング負荷、回復、ルートナビゲーション、オフラインマップに対応するSUUNTOスポーツウォッチをチェックしてください。
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