心拍ゾーンとは、心拍数をもとに運動強度をゾーン1〜5などの段階に分けたものです。ランニングやサイクリングでは、「今日は楽な強度で走る」「今日は閾値付近まで負荷を上げる」といったトレーニングの目的に合わせて、心拍ゾーンを使い分けることができます。
ただし、心拍ゾーンは誰にでも同じ数値が当てはまるわけではありません。最大心拍数、安静時心拍数、乳酸閾値心拍数など、どの数値を基準に計算するかによってもゾーンは変わります。
この記事では、心拍ゾーン1〜5の意味、計算方法、自分の心拍ゾーンが合っているか確認する方法をわかりやすく解説します。さらに、手首心拍と心拍ベルトの違いや、Suunto ZoneSenseを使った運動強度の見方についても紹介します。
心拍ゾーンとは?
心拍ゾーンとは、1分間の心拍数(bpm)をもとに運動強度をいくつかの範囲へ分けたものです。
持久系スポーツでは、運動強度が低いゾーン1から、最大に近い強度となるゾーン5までの5ゾーンモデルが広く使われています。
運動強度が上がるにつれて、心拍数だけでなく呼吸の速さや身体への負荷も高まっていきます。
そのため心拍ゾーンを見ると、単に「心拍数が150bpmだった」と確認するだけでなく、その日のトレーニング目的に合った強度で運動できているかを判断しやすくなります。
例えばイージーランの日に心拍ゾーン4まで上がっていれば、予定より頑張りすぎている可能性があります。
逆に閾値トレーニングなのにゾーン2のままであれば、狙った負荷まで上げられていない可能性もあります。
心拍ゾーン1〜5の意味
5ゾーンモデルでは、運動強度をゾーン1〜5に分けます。
大まかな特徴を整理すると次のようになります。
| 心拍ゾーン | 強度の目安 | 主な目的 | 体感 |
|---|---|---|---|
| ゾーン1 | とても低い | 回復・ウォームアップ | 非常に楽 |
| ゾーン2 | 低い | 有酸素持久力 | 楽に続けられる |
| ゾーン3 | 中程度 | 持続的なテンポ走 | 少しきつい |
| ゾーン4 | 高い | 閾値トレーニング | かなりきつい |
| ゾーン5 | 非常に高い | VO2max・高強度インターバル | 長時間維持できない |

心拍ゾーンを使うと、トレーニング時間を強度別に確認できます。
ゾーン1|回復・低強度
ゾーン1は、ウォームアップ、クールダウン、リカバリーセッションなどで使われる低い運動強度です。
呼吸はとても楽で、身体への負担も比較的小さく、長時間動き続けやすい強度です。
例えば高強度インターバルの翌日に軽く身体を動かしたい場合や、ハードなセッション前後のウォームアップ・クールダウンなどに利用できます。
すべてのトレーニングを「頑張る時間」にする必要はありません。負荷を抑えて身体を動かす時間も、トレーニング全体を組み立てるうえで重要です。
ゾーン2|有酸素持久力
ゾーン2は、ランニングやサイクリングなどの持久系スポーツでよく使われる低強度のトレーニングゾーンです。
呼吸は安定していて、比較的楽に長時間続けられる強度が目安になります。
イージーラン、ロングラン、有酸素ベースをつくるトレーニングなどで利用されます。
継続して取り入れることで、長時間の有酸素運動へ適応するための土台をつくっていきます。
ただし、「ゾーン2なら必ずこの心拍数」という共通の数字があるわけではありません。最大心拍数や安静時心拍数などによって、一人ひとりの範囲は異なります。
ゾーン2だけを詳しく知りたい場合は、こちらの記事で心拍数の目安やトレーニング方法を解説しています。
▶︎ ゾーン2ランニングとは?心拍数の目安・効果・やり方を初心者向けに解説
ゾーン3|テンポ・中強度
ゾーン3は、ゾーン2よりも明らかに運動強度が高くなる領域です。
呼吸も速くなりますが、一定時間であれば安定したペースを維持できます。
持続走や中強度のランニング、一部のテンポ走などで利用されます。
ランナーにとっては、楽なジョギングより速いペースを一定時間維持する能力を養うトレーニングに使えます。
一方で、毎日のランニングが無意識にこの強度へ入り続けると、「楽な日としては強すぎるけれど、高強度トレーニングとしては十分ではない」という状態になりやすいこともあります。
トレーニングでは、速さだけでなくその日の目的に合った強度になっているかを見ることが大切です。
ゾーン4|乳酸閾値付近の高強度
ゾーン4は、高い運動強度にあたる領域です。
ゾーンモデルによって境界は異なりますが、乳酸閾値付近の強度を含むことがあります。
呼吸はかなり苦しくなり、ゾーン2のように長時間楽に維持することはできません。
主に、
- 閾値走
- 高強度のテンポ走
- 長めのインターバル
などで使われます。
この強度のトレーニングでは、高い運動強度を維持する能力を鍛えることが目的になります。
ゾーン5|VO2max・高強度
ゾーン5は、最大心拍数に近い非常に高い運動強度です。
呼吸は非常に激しくなり、長時間維持することは難しくなります。
VO2maxを刺激するインターバルトレーニングや、短い高強度の反復などで使われます。
高いトレーニング刺激を得られる一方で、身体への負荷も大きいため、低強度トレーニングや休養と組み合わせることが重要です。
また、心拍数は運動強度の変化に対して瞬時には反応しません。
非常に短いインターバルでは、すでに全力に近い強度で走っていても、心拍数がゾーン5へ到達する前にインターバルが終わる場合があります。
そのため短時間の高強度トレーニングでは、心拍数だけでなくペース、パワー、体感強度も合わせて判断しましょう。
心拍ゾーンの計算方法
心拍ゾーンの計算方法はひとつではありません。
代表的なのは、次の3つです。
- 最大心拍数(Max HR)を基準にする
- 心拍予備量(HRR)を基準にする
- 乳酸閾値心拍数(LTHR)を基準にする
同じ人でも計算方法が変われば、ゾーンの境界となる心拍数は変わります。
「別のウォッチやアプリに変えたらゾーンが違った」ということがあるのも、このためです。
最大心拍数を基準に計算する
もっともシンプルなのが、最大心拍数に対する割合で心拍ゾーンを設定する方法です。
一般的な5ゾーンモデルでは、次のような割合が目安として使われます。
| 心拍ゾーン | 最大心拍数に対する割合の目安 |
|---|---|
| ゾーン1 | 約50〜60% |
| ゾーン2 | 約60〜70% |
| ゾーン3 | 約70〜80% |
| ゾーン4 | 約80〜90% |
| ゾーン5 | 約90〜100% |
最大心拍数の簡易的な推定方法として、よく知られているのが、
最大心拍数 ≒ 220 − 年齢
という式です。
例えば40歳なら、
220 − 40 = 180bpm
となります。
ただし、これはあくまで年齢から推定する簡易式です。
実際の最大心拍数には大きな個人差があり、「220−年齢」が自分の本当の最大心拍数になるとは限りません。
より正確に設定したい場合は、適切なフィールドテストや運動負荷試験などで最大心拍数を確認する方法があります。
心拍予備量(HRR)から計算する
心拍予備量(HRR:Heart Rate Reserve)は、最大心拍数だけでなく安静時心拍数も考慮する方法です。
まず、最大心拍数から安静時心拍数を引きます。
心拍予備量 = 最大心拍数 − 安静時心拍数
例えば、
- 最大心拍数:190bpm
- 安静時心拍数:50bpm
なら、
190 − 50 = 140bpm
が心拍予備量です。
この心拍予備量を使うカルボーネン法では、目標心拍数を次のように計算します。
目標心拍数 = 安静時心拍数 +(運動強度 × 心拍予備量)
例えば70%の運動強度なら、
50 +(0.7 × 140)= 148bpm
となります。
最大心拍数だけを使う方法よりも、その人の安静時心拍数を考慮できるのが特徴です。
ただし、最大心拍数や安静時心拍数の設定そのものが実態と大きくずれていれば、そこから計算されるゾーンもずれてしまいます。
乳酸閾値心拍数(LTHR)から設定する
もうひとつの方法が、乳酸閾値心拍数(LTHR:Lactate Threshold Heart Rate)を基準に心拍ゾーンを設定する方法です。
乳酸閾値は、運動強度を上げていったときに、血中乳酸の蓄積がそれまでより速く増え始めるポイントのひとつです。
この付近での心拍数を基準にすることで、自分の持続的な高強度運動能力に合わせてゾーンを設定できます。
より厳密に測定するには、運動強度を段階的に上げながら血中乳酸を測定するラボテストなどが利用されます。
フィールドテストから推定する方法もありますが、使用するテストやトレーニングシステムによって計算方法やゾーン境界が異なります。
そのため、最大心拍数方式、HRR方式、LTHR方式の数値を単純に比較して「どれが正しい」と考えるのではなく、どの基準で設定されたゾーンなのかを理解して使うことが大切です。
デバイスによって心拍ゾーンが違うのはなぜ?
ウォッチ、アプリ、トレーニングサービスを比較したときに、「同じ自分のデータなのに心拍ゾーンが違う」と感じることがあります。
これは、必ずしもどちらかが間違っているという意味ではありません。
主な理由は3つあります。
1. 心拍ゾーンの計算方法が違う
最大心拍数を基準にするシステムもあれば、HRRや乳酸閾値心拍数を基準にするシステムもあります。
また、同じ5ゾーン方式でも境界となる割合が異なる場合があります。
3ゾーンや4ゾーンなど、そもそも異なるゾーンモデルを使う場合もあります。
2. 最大心拍数・安静時心拍数などの設定が違う
最大心拍数が実際より低く設定されていれば、すべてのゾーンが低い方向へずれます。
逆に最大心拍数が高すぎれば、ゾーンも高い方向へずれます。
HRR方式では、安静時心拍数の設定もゾーン計算へ影響します。
3. 心拍数の測定方法が違う
手首の光学式心拍計と胸に装着する心拍ベルトでは、心拍を測定する仕組みが異なります。
強度が急に変化する場面などでは、測定値の反応速度や安定性に違いが出ることがあります。
つまり、ゾーンの境界が違う場合と、そのゾーンへ当てはめる心拍測定値が違う場合の両方があるということです。
自分の心拍ゾーンが合っているか確認する方法
心拍ゾーンが自分に合っているかどうかは、ウォッチに表示される数字だけでは判断できません。
呼吸、体感強度、継続できる時間、ペースなども一緒に確認することが大切です。
呼吸と体感強度を確認する
例えばウォッチではゾーン2なのに、息が大きく乱れて長時間続けられないのであれば、設定しているゾーンが実際の強度と合っているか確認する価値があります。
逆に、高強度のゾーン4と表示されているにもかかわらず、最初から最後まで非常に楽に運動できる場合も、最大心拍数などの設定を見直してみましょう。
心拍ゾーンは数字だけでなく、「その強度を自分がどう感じているか」とセットで考えると理解しやすくなります。
どれくらいの時間維持できるかを見る
ゾーン1やゾーン2のような低強度は、一般的に長時間続けやすい領域です。
一方、ゾーン4やゾーン5になるほど、長時間維持することは難しくなります。
表示されているゾーンと、実際にその強度を維持できる時間が大きく食い違っている状態が続くなら、最大心拍数やゾーン設定を確認してみましょう。
心拍数とペースの変化を見る
心拍数だけでなく、ペースやパワーとの関係を長期的に見ることも役立ちます。
例えば、以前と同じペースをより低い心拍数で走れるようになったり、同じ心拍数でより速く走れるようになったりすれば、有酸素能力が向上している可能性があります。
1回のワークアウトだけで判断するのではなく、トレーニング履歴を継続して見ることがポイントです。
手首心拍と心拍ベルトはどう使い分ける?
多くのSuuntoスポーツウォッチには、手首で心拍数を測定する光学式心拍計が搭載されています。
日常のトレーニングではウォッチだけで心拍数を確認できるため、手軽に心拍ゾーンを利用できます。
一方、胸に装着する心拍ベルトは、心臓の電気信号を検出して心拍を測定します。
特に、
- インターバルトレーニングなど強度変化が大きい運動
- より安定した心拍データを取りたいとき
- ZoneSenseを使いたいとき
には、心拍ベルトを利用するメリットがあります。
どちらか一方だけが正解ということではありません。
普段のランニングでは手首心拍、より詳しく強度を分析したい日は心拍ベルトというように、目的に応じて使い分けられます。
心拍ゾーンとSuunto ZoneSenseの違い
ここで知っておきたいのが、通常の心拍ゾーンとSuunto ZoneSenseの違いです。
心拍ゾーンは、最大心拍数、安静時心拍数、乳酸閾値心拍数などを基準として、あらかじめ設定した心拍数の範囲に現在の心拍数を当てはめます。
言い換えると、心拍ゾーンは「設定した基準に対して、今の心拍数がどこにあるかを見る方法」です。
一方、Suunto ZoneSenseは、心拍ベルトから取得した一拍ごとのR-R間隔を解析し、運動中の身体の反応から強度の変化を捉えます。

例えば同じ150bpmで走っていても、身体の状態が毎日まったく同じとは限りません。
暑い日、疲労が残っている日、長時間運動した後などでは、同じ心拍数でも身体が受けている内部負荷が変化することがあります。
ZoneSenseでは、心拍ベルトから取得したデータをもとに、運動強度を主に次の3つの領域で確認します。
- 有酸素領域
- 無酸素領域
- VO2max領域
通常の心拍ゾーンとZoneSenseは、どちらか一方を選ぶものではありません。
まず心拍ゾーンを使ってトレーニングの基本的な強度を管理し、さらにその日の身体が実際にどのように反応しているか知りたい場合にZoneSenseを組み合わせる、と考えると分かりやすいでしょう。
ZoneSenseを利用するには、運動中の一拍ごとの心拍間隔を取得できる対応する胸部心拍ベルトが必要です。
詳しい仕組みや使い方はこちらの記事で解説しています。
▶︎ 心拍ベルトで運動強度がわかる?Suunto ZoneSenseの仕組みと使い方
▶︎ Suunto ZoneSenseと心拍ベルトの使い方|対応機種・仕組み・よくある質問
まとめ|心拍ゾーンは定期的に見直そう
心拍ゾーンを使うと、ウォッチに表示される心拍数を単なる数字ではなく、トレーニングの目的に合わせて使える運動強度の指標として活用できます。
基本となる5ゾーンモデルでは、
- ゾーン1:回復・低強度
- ゾーン2:有酸素持久力
- ゾーン3:テンポ・中強度
- ゾーン4:乳酸閾値付近の高強度
- ゾーン5:VO2max・最大に近い高強度
というように、それぞれ異なる役割があります。
ただし、心拍ゾーンは固定された絶対値ではありません。
最大心拍数、安静時心拍数、乳酸閾値、体力レベルなどによって変わり、設定方法によっても境界は異なります。
さらにトレーニングを続けて体力や身体の状態が変化すれば、以前設定したゾーンが今の自分に合わなくなることもあります。
心拍数だけを見るのではなく、呼吸、体感強度、ペース、パワー、トレーニング履歴などと合わせて確認しながら、必要に応じて心拍ゾーンを見直していきましょう。
そして、心拍数という数字だけでは捉えにくい「その日の身体の反応」まで知りたい場合は、心拍ベルトとSuunto ZoneSenseを組み合わせることで、運動強度をさらに深く分析できます。
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心拍ゾーンをもっと活用するならSuuntoの心拍計測デバイス
心拍ゾーンをトレーニングに活かすには、まず自分の心拍数を継続して記録することが大切です。
日常のランニングやサイクリングでは、対応するSuuntoウォッチの手首心拍で手軽に強度を確認できます。
さらに、インターバルトレーニングなど強度変化が大きい運動や、より安定した心拍データを取りたいとき、Suunto ZoneSenseを使いたいときは、胸部心拍ベルトを組み合わせるのがおすすめです。
ZoneSenseを使うなら心拍ベルト
Suunto ZoneSenseは、一拍ごとのR-R間隔データをもとに運動強度を分析するため、対応する胸部心拍ベルトが必要です。
通常の心拍ゾーンだけでなく、その日の身体が実際にどの強度で動いているかまで確認したい人に向いています。
手首心拍でトレーニングを管理するならSuuntoウォッチ
普段のランニングやサイクリングで、心拍ゾーン、トレーニング負荷、回復などをまとめて管理したい場合は、Suuntoのスポーツウォッチが便利です。
ランニング中心ならSuunto Run、トレーニングやレースまで幅広く使いたいならSuunto Race 2など、目的に合わせて選べます。