フルマラソンでサブ3を達成するには、42.195kmを平均約4分17秒/kmで走り切る必要があります。しかし、マラソンペースだけを繰り返し練習すれば3時間を切れるわけではありません。10kmを速く走るスピード、有酸素持久力、ロング走、インターバル、回復、そしてレース当日のペース判断まで、複数の能力をバランスよく鍛える必要があります。
フィンランド・ヘルシンキを拠点とするランニングコーチAki Nummelaは、数多くの市民ランナーを競技レベルのランナーへと導いてきました。
彼が強調するのは、サブ3への近道として「とにかく走行距離を増やす」ことではありません。
自分の現在地を知り、スピードと持久力の両方を鍛え、トレーニングに変化をつけること。
この記事では、Akiのアドバイスをもとに、サブ3達成に必要なペースの目安、10kmの走力、ロング走、インターバル、低強度トレーニング、心拍管理、回復、レース当日の考え方まで詳しく解説します。
サブ3のペースは1km何分?
フルマラソンの距離は42.195km。
3時間ちょうどで走る場合、平均ペースは約4分16秒/kmです。実際に3時間を切るには、スタートロスや給水なども考慮し、平均でおよそ4分15〜17秒/km前後を維持する必要があります。
| 距離 | 4:16/kmでの通過目安 |
|---|---|
| 5km | 約21分20秒 |
| 10km | 約42分40秒 |
| ハーフ | 約1時間30分 |
| 30km | 約2時間08分 |
| フルマラソン | 約3時間 |
ただし、Akiは「4分17秒/kmだけを練習し続けないこと」を強調しています。
マラソンペースが自分にとってギリギリのスピードなら、そのペースを42km維持するのは難しいからです。
まず必要なのは、もっと速いペースで走れる能力を作り、4分17秒/kmに余裕を持たせることです。
まずは自分の現在地を知る
サブ3は、思いつきで設定してすぐ達成できる目標ではありません。
Akiが最初に重視するのは、今の自分がどのレベルにいるのかを把握することです。
例えば、
- 現在のフルマラソン自己ベスト
- 10kmやハーフマラソンのタイム
- 週あたりの走行距離
- これまでのランニング歴
- 高強度トレーニングの経験
- 故障歴や回復状態
などを確認します。
すでに長年トレーニングしているランナーと、これから体系的な練習を始めるランナーでは、同じサブ3を目標にしても必要なプロセスは異なります。
現在の走力から一段ずつ積み上げること。
サブ3には近道がありません。

サブ3を狙うなら10kmのスピードも必要
Akiがサブ3ランナーの走力を見るとき、ひとつの目安としているのが10kmのタイムです。
彼は、10kmを37分前後で走れるスピードがあれば、サブ3に必要な4分17秒/kmが相対的に楽に感じられると説明しています。
もちろん、「10kmを37分で走れれば必ずサブ3できる」という意味ではありません。
10kmを速く走れても、30km以降にペースを維持する持久力がなければフルマラソンでは失速します。
反対に、長い距離を走れる持久力があっても、10kmのスピードに余裕がなければ4分17秒/kmを長時間維持することは難しくなります。
サブ3には、スピードと持久力の両方が必要です。
走行距離だけ増やさない。低強度の土台を作る
マラソンの練習というと、月間走行距離を増やすことに意識が向きがちです。
しかしAkiは、走行距離を増やすことそのものが目的になってはいけないと考えています。
生活の中で無理に走行距離を増やし続けると、疲労が蓄積し、週の重要なポイント練習で十分なパフォーマンスを発揮できなくなることがあります。
一方、マラソンの土台として低強度の有酸素トレーニングは欠かせません。
イージーランやゾーン2ランニングでは、呼吸に余裕を持てる強度で走り、長時間動き続けるための有酸素能力を育てます。
▶︎ ゾーン2ランニングとは?心拍数の目安・効果・やり方を初心者向けに解説
重要なのは、走行距離を増やすことではなく、必要なトレーニングを継続できる身体を作ることです。
イージーランを速くしすぎない
サブ3を狙うランナーほど、普段のジョグも速くなりがちです。
しかし低強度の日まで頑張ると、疲労が抜けないままインターバルやロング走を迎えることになります。
「楽な日は楽に、高強度の日はしっかり高強度に」というメリハリを作りましょう。
▶︎ イージーランが速すぎる?ランニングの「トレーニング・ブラックホール」とは
サブ3に向けたロング走の考え方
Akiがマラソントレーニングの代表的なセッションとして挙げているのが、30〜35kmのプログレッシブロング走です。
最初からマラソンペースで走るのではなく、余裕のあるペースから入り、後半に向かって徐々にペースを上げ、最後を目標マラソンペース付近で終えます。
この練習では、
- 長時間走り続ける持久力
- 疲労した状態でペースを上げる能力
- マラソンペースの感覚
- 後半のフォーム維持
- 補給の練習
などをまとめて確認できます。
ただし、30〜35kmを後半まで速く走るセッションは非常に負荷が高く、Akiもレースに近いハードなトレーニングだと位置づけています。
毎週行うのではなく、十分な回復期間を確保することが重要です。
インターバルでスピードに余裕を作る
サブ3のためにロング走ばかり行うのも十分ではありません。
Akiは、マラソンランナーにも短いインターバルトレーニングを取り入れています。
代表的な例として、
- 1,000m × 6本:5km〜10kmレースペース
- 2〜3km × 4本:10km〜ハーフマラソンペース
などがあります。
こうしたトレーニングの目的は、毎回限界まで追い込むことではありません。
マラソンペースより速いスピードを経験し、4分17秒/kmに余裕を作ることです。
例えば10kmレースペースで1,000mを繰り返す能力が高まれば、マラソンペースは相対的に低い強度になります。
Suuntoウォッチでは、事前にインターバルワークアウトを作成して、距離や時間ごとの運動・回復区間を確認しながらトレーニングできます。
ハーフマラソンも実戦的なトレーニングになる
Akiは、サブ3を目指すランナーにハーフマラソンへの参加もすすめています。
ハーフマラソンは単なるタイムチェックではありません。
レース本番だからこそ、
- スタート時のペース判断
- 集団の中での走り方
- レース中の集中力
- 給水
- 後半のペース維持
などを実践できます。
フルマラソンより回復に必要な時間も短いため、トレーニング計画の中に組み込みやすいレースです。
10km、ハーフマラソン、フルマラソンの記録を比較すると、自分に足りないものが「スピード」なのか「持久力」なのかを考える材料にもなります。
ペース・心拍・体感を組み合わせる
サブ3を目指すと、「4分17秒/km」という数字に意識が集中しやすくなります。
しかしAkiは、ペースだけでなく心拍と自分の感覚も重要だと考えています。
心拍数を見ることで、トレーニング中に予定以上に強度が上がっていないか確認できます。
例えば同じ5分/kmでも、
- 気温が低く、十分回復している日
- 真夏の暑い日
- 睡眠不足の日
- 前日のトレーニング疲労が残っている日
では、身体への負荷が同じとは限りません。
一方で、スポーツウォッチの数字だけを見続けるのもおすすめできません。
ペース、心拍、呼吸、脚の感覚を組み合わせながら、自分の身体の状態を理解することが重要です。
サブ3を狙うほど回復が重要になる
サブ3を狙う練習では、ロング走やインターバルなど高い負荷がかかるセッションが増えます。
そこで重要になるのが回復です。
ハードなセッションを増やしても、その間に十分回復できなければ、次のポイント練習の質が下がります。
睡眠、栄養、ストレス、疲労感などを確認しながら、必要に応じて予定を調整しましょう。
HRV(心拍変動)を継続的に見ると、日々の回復状態を自分の通常範囲と比較する材料にもなります。
▶︎ HRV(心拍変動)とは?回復状態を確認してトレーニングに活かす方法
休養は、走らなかった日ではありません。次の質の高いトレーニングへつなげるための時間です。
レース当日は目標ペースに固執しない
十分なトレーニングを積んでも、マラソン当日のコンディションを完全にコントロールすることはできません。
特に影響が大きいのが、
- 気温
- 湿度
- 風
- 睡眠
- 当日の体調
です。
Akiは、極端に暑い日ならサブ3という目標を無理に守るより、ペースを落とす判断も必要だと話しています。
3時間という数字より、安全にレースを終えることの方が重要です。
真夏や高温多湿のレースでは、普段と同じペースでも心拍が高くなり、身体への負荷が増えることがあります。

© Graeme Murray / Red Bull Content Pool
前半から「時計上の4分17秒/km」だけを追うのではなく、心拍、呼吸、体感、気象条件を合わせて判断しましょう。
サブ3は前半で稼ぐものではない
スタート直後は身体も軽く、周囲のランナーにつられて目標ペースより速く走りやすくなります。
しかし前半の数十秒を稼ぐために強度を上げすぎると、その負荷が30km以降に返ってくることがあります。
サブ3のペース戦略では、序盤から速く走ることより、後半まで4分17秒/km前後を維持できる余裕を残すことが大切です。
Suuntoでサブ3トレーニングを管理する
サブ3を目指す過程では、ひとつの数字だけではなく、複数のデータを長期的に見ることが役立ちます。
例えば、
- イージーランの心拍とペース
- インターバルのラップタイム
- ロング走後半のペース変化
- トレーニング負荷
- 睡眠とHRV
- レースまでの長期的な走行量
などです。
Suunto Run|マラソンのペース管理をシンプルに
Suunto Runには、マラソントレーニングに活用できるランニング機能があります。
Interval Runでは、Suuntoアプリで作成したインターバルトレーニングをウォッチで確認しながら進められます。
Ghost Runnerでは目標ペースの仮想ランナーとの差を確認できるため、マラソンペース走やロング走でのペース管理にも活用できます。
さらにマラソンタイム予測を使えば、現在のペースからフルマラソンの予想到着時間を確認できます。
▶︎ Suunto Runの使い方|ランニングに役立つ機能を紹介
Suunto Race 2|トレーニング全体を振り返る
インターバル、ロング走、レース、回復まで含めてトレーニング全体を管理したいランナーには、Suunto Race 2も選択肢です。
Suuntoアプリと組み合わせることで、心拍、ペース、トレーニング負荷、回復などを長期的に振り返れます。
大切なのは、ウォッチの数字に従うことではなく、データを使って自分のトレーニングを理解することです。
Suunto Runを見る Suunto Race 2を見る
まとめ|サブ3は「速さ」と「持久力」の両方を作る
サブ3を達成するには、42.195kmを約4分17秒/kmで走り切る必要があります。
しかし、そのペースだけを練習していても十分ではありません。
- まず現在の走力を把握する
- 10kmなど短い距離のスピードを高める
- ゾーン2やイージーランで有酸素能力を作る
- 30〜35kmのロング走で持久力を鍛える
- インターバルでマラソンペース以上のスピードを経験する
- ペースだけでなく心拍と体感も確認する
- ハードなトレーニング後は十分に回復する
- レース当日は気象条件や体調に合わせて目標を調整する
サブ3は、1回の特別なトレーニングで達成するものではありません。
速く走る日。
ゆっくり走る日。
長く走る日。
そして休む日。
それぞれの目的を明確にしながら積み重ねることで、4分17秒/kmというペースが少しずつ「限界の速さ」から「維持できる速さ」へ変わっていきます。