フルマラソンでは、序盤に余裕があっても、後半になって急にペースを維持できなくなることがあります。難しいのは、走っている最中に「今どれくらい力を使っているのか」「最後まで走り切る余力が残っているのか」を判断することです。
Suunto Run 2に新搭載された「EnergySense(エナジーセンス)」は、現在の運動負荷と残りの余力の目安をリアルタイムに表示し、マラソンやロングランのペース配分をサポートします。
この記事では、EnergySenseで分かることや画面の見方、設定方法、ランニング中の活用方法について詳しく解説します。

EnergySenseとは?

EnergySenseは、Suunto Run 2に搭載された、ランニング中のスタミナ配分を支える機能です。現在の運動状況をもとに、身体への負荷と残りの余力の目安をリアルタイムに表示します。
利用に心拍ベルトは必要ありません。対応するウォッチのみで使えるため、日々のロングランやレースで、特別なアクセサリーを追加せずに活用できます。
ペースや心拍数だけでは、「このままの強度で最後まで走れるか」を判断しにくいことがあります。EnergySenseは、走っている最中の状態を別の視点から可視化し、次のような判断をサポートします。
- 現在のペースを維持する
- 余力を残すためにペースを抑える
- まだ余裕があると判断し、ペースを上げる
感覚を置き換えるものではなく、自分の呼吸や脚の状態と照らし合わせながら使える、もう一つの判断材料です。
マラソンのペース配分が難しい理由
レース序盤は周囲のランナーにつられたり、身体が軽く感じられたりして、予定より速いペースになりがちです。しかし、前半に作ったタイムの「貯金」が、後半には体力の消耗として表れることもあります。
さらに、同じペースでも身体への負担は一定ではありません。気温や湿度、アップダウン、向かい風、その日の体調などによって、実際の運動負荷は変化します。そのため、1kmあたりのペースだけを見ていると、身体の状態とのずれに気づきにくい場合があります。
EnergySenseで残りの余力の目安を確認すれば、「予定どおりのペースだから走り続ける」だけでなく、「今日は負荷が高そうなので早めに調整する」といった判断につなげやすくなります。
EnergySenseの設定方法
EnergySenseを利用するときは、スポーツモードの「マラソン」で目標距離を設定し、EnergySenseをオンにします。
- スポーツモードから「マラソン」を選択する
- レースやトレーニングの目標距離を設定する
- 画面を下へスクロールし、「EnergySense(Beta)」をオンにする
目標距離の選択画面から、そのままEnergySenseを有効にすることもできます。画面名や設定手順は、ソフトウェアのバージョンによって変更される場合があります。
EnergySenseでより適切なペース配分を予測するには、事前に屋外で一定のペースのランニングを少なくとも3回行う必要があります。これらのランニングデータをもとに、ユーザーの持久力や走力を推定します。初めて使用する場合は、あらかじめ数回ランニングを記録してから活用しましょう。
EnergySenseの表示の見方

EnergySenseの画面では、現在のペースと心拍数に加えて、現在の体力で走行できると予測される距離、残りの持久力、目標地点までの残り距離などを確認できます。
- 現在のペース:現在走っているペース
- 現在の心拍数:運動中に計測されている心拍数
- 走行可能な推定距離:現在のペースと体力から予測される、走り続けられる距離の目安
- 残りの持久力:現在のスタミナの目安をパーセントで表示
- 目標地点までの残り距離:設定した目標距離まで、あとどれくらいあるかを表示
グリーン表示
現在の体力で走行できると予測された距離が、レースの残り距離を上回っている状態です。現在のペースを維持できる可能性があることを示します。
オレンジ表示

現在の体力で走行できると予測された距離が、レースの残り距離を下回っている状態です。ペースを抑える、給水やエネルギー補給を行うなど、早めの調整を検討する目安になります。
表示色は、完走やペース維持を保証するものではありません。コース、天候、補給状況や体調も踏まえて判断してください。
EnergySenseをどう使う?
EnergySenseは、レース本番だけでなく、ロングランやレースペース走でも活用できます。事前のトレーニングで表示の変化と自分の体感を照らし合わせておくと、本番で判断材料として使いやすくなります。
序盤:オーバーペースを避ける
スタート直後は、ペースが上がっていても疲労を感じにくい時間帯です。予定よりも余力の減りが早い場合は、混雑が落ち着いた段階でペースを見直します。
中盤:維持できる強度かを確認する
中盤では、現在の負荷と残り距離のバランスを確認します。数値の一時的な変化だけで判断せず、一定区間の傾向、自分の呼吸、脚の感覚と合わせて見るのがポイントです。
終盤:余力を使うタイミングを判断する
終盤に余力が残っていれば、残り距離やコース状況を見ながらペースアップを検討できます。反対に余力が少ない場合は、無理にペースを上げず、フォームや補給を立て直す判断にもつながります。
Marathon Timeとの組み合わせ
Suunto Run 2には、現在のペースなどから予想完走タイムを算出し、走行中も更新する「Marathon Time(マラソンタイム)」も搭載されています。
EnergySenseが「身体にどのくらい余力が残っているか」の目安を示すのに対し、Marathon Timeは「現在の走りを続けると、どのくらいのタイムでフィニッシュする見込みか」を示します。2つを組み合わせることで、目標タイムだけを追って無理をするのではなく、現在の負荷とのバランスを見ながらペースを調整できます。
EnergySenseとZoneSenseの違い
名前は似ていますが、EnergySenseとSuunto ZoneSenseは、目的だけでなく利用に必要な機器も異なります。
| 機能 | 必要な機器 | 主に分かること | 活用シーン |
|---|---|---|---|
| EnergySense | 対応するSuuntoウォッチ(現時点ではSuunto Run 2) | 現在の運動負荷と残りの余力の目安 | マラソンやロングランのスタミナ・ペース配分 |
| ZoneSense | 対応するSuuntoウォッチ+心拍ベルト | HRV(心拍変動)に基づく、その日の身体の反応に応じた運動強度 | 有酸素・無酸素・VO₂max領域を確認しながら行う強度管理 |
簡単にいえば、EnergySenseは「ゴールまで力をどう配分するか」、ZoneSenseは「今どの強度領域で運動しているか」を判断するための機能です。
EnergySenseは対応するウォッチのみで利用できますが、ZoneSenseは一拍ごとのR-R間隔データを取得するため、対応する心拍ベルトの装着が必要です。目的と必要な機器を理解して使い分けることで、レース戦略と日々のトレーニング強度の両方を管理しやすくなります。
利用時に知っておきたいこと
EnergySenseが示す負荷や余力は、ペース判断を助けるための目安です。実際のパフォーマンスは、天候、コースの高低差、給水・補給、睡眠、体調などにも左右されます。数値だけに頼らず、呼吸の乱れ、痛み、めまいなど身体からのサインを優先してください。体調に異変を感じた場合は、運動を中止してください。
また、EnergySenseはベータ版として提供されます。表示されるデータが安定しない場合があるため、数値は参考情報として扱ってください。提供時期、対応機種、表示内容や機能は、今後変更される場合があります。使用前にSuuntoアプリとウォッチのソフトウェアを最新の状態にし、実際の画面表示を確認してください。
まとめ
マラソンのペース配分では、目標ペースを守ることと同じくらい、その日の身体の状態に合わせて調整することが重要です。EnergySenseは、現在の運動負荷と残りの余力の目安をリアルタイムに表示し、「維持する・抑える・上げる」というレース中の判断をサポートします。

35gの軽量ボディにEnergySenseやMarathon Timeを搭載したSuunto Run 2なら、日々のトレーニングからマラソン本番まで、一つの流れとして走りを管理できます。