インドネシア・西パプアのラジャアンパットは、色鮮やかなサンゴ礁と多様な海洋生物で知られる、世界有数のダイビングエリアです。
しかし、この海の豊かさは偶然に守られてきたわけではありません。ラジャアンパットのクリ島でダイビングリゾートを築いたマックス・アマーは、地域の人々の仕事と自然保護を結び付け、サンゴ礁を未来へ残す仕組みづくりに取り組んできました。
この記事では、沈没した戦時車両を探して島へ渡ったマックスが、なぜエコリゾートをつくり、地域の仲間と海を守るようになったのか、その歩みを紹介します。
映像:Janne Kasperi Suhonen

© Steve Woods Photography
ラジャアンパットとは
ラジャアンパットは、インドネシア東部の西パプアに広がる島々です。暖かい海、複雑な島の地形、マングローブや海草藻場、栄養豊富な潮流などが、多様な海洋生物を支えています。
サンゴ礁、マンタ、ウミガメ、魚の群れなどを目当てに世界中からダイバーが訪れますが、豊かな自然ほど繊細です。ダイビング観光、廃棄物、プラスチック、沿岸開発などの影響を抑えながら、地域の暮らしと自然保護を両立させることが重要になります。
ラジャアンパットは2023年にユネスコ世界ジオパークへ認定されました。これは美しい景観だけでなく、地域の地質、生態系、文化を守りながら持続可能な発展を目指す場所であることも示しています。
マックス・アマーと海との出会い
マックス・アマーは、動物の保護に取り組む両親のもと、ナイジェリアで自然に囲まれて育ちました。家族は傷ついた鳥、ワニ、チンパンジーなどを保護し、可能であれば野生へ戻していたといいます。
1982年、マックスは軍でダイビングを学びました。当時の訓練は楽しい経験ではありませんでしたが、そこで「諦めないこと」を学んだと振り返っています。
その後、第二次世界大戦後に海へ廃棄された航空機や車両の情報を手掛かりにインドネシアへ渡り、沈没物を探すようになりました。島々を訪ねるうちに、マックスは海だけでなく、地域の人々の温かさにも引かれていきます。

マックス・アマー。© Steve Woods Photography
2匹のウミガメから始まった物語
元記事には、マックスの考え方を象徴するエピソードが紹介されています。
ある日、海辺に立つ若い漁師のカヌーには、捕まえた2匹のウミガメが載っていました。マックスは漁師と話し、代金を支払うと、2匹を海へ逃がしました。驚く漁師へ伝えたのは、シンプルな言葉でした。
「私はウミガメが好きなんだ」
やがて、その漁師はマックスが運営するリゾートで最初のダイブガイドになりました。自然を守ることと、地域で安定した仕事をつくることがつながった瞬間です。
まだ存在しないリゾートを売る
マックスが考えたのは、地域の人々と働きながら、海を守ることを事業の中心に置くダイビングリゾートでした。
彼はまだ建物が完成していない段階でダイビングショーへ出展し、植物や地域の品々を使ったブースで構想を紹介しました。「3組の予約が入れば計画を進めよう」と考えていたところ、結果は2年分に相当する予約だったといいます。
マックスは急いで島へ戻り、地域の仲間へ建設を始める必要があると伝えました。最初のゲストが到着したとき、建設チームが裏口から出るのと入れ替わるほど、完成は直前だったそうです。

© Steve Woods Photography
地域の仕事が海を守る力になる
リゾートで働くようになった人々の中には、かつて伐採、漁業、サメのひれを目的とした漁、密猟などに関わっていた人もいました。教育や安定した仕事へアクセスしにくい、遠隔地ならではの事情が背景にありました。
ダイブガイド、ボートスタッフ、リゾート運営などの仕事が生まれることで、自然を消費する以外の収入が得られ、家族の生活と教育を支えられるようになります。そして、海の状態が地域の仕事へ直接つながるため、サンゴ礁や魚を守ることが自分たちの未来を守ることになります。
自然保護を外部から押し付けるのではなく、地域の人々が中心となって続けられる仕組みにする。この考え方が、マックスのプロジェクトを支えてきました。

© Steve Woods Photography
豊かなサンゴ礁を未来へ残す
マックスとチームは、事業の初期からサンゴ礁の保護を優先してきました。元記事では、研究者による調査でハウスリーフの魚種が記録され、その後の再調査で同じ海域の確認種数が増えていたことが紹介されています。
ただし、1回のダイビングで確認できる魚の数は、季節、潮流、観察方法、調査範囲などにも左右されます。重要なのは「世界一」という称号だけではなく、長期的な観察を続け、保護の結果を確かめながら管理を改善することです。
島の自然を守りながら観光を続けるには、廃棄物の管理、再生可能エネルギーの活用、自然への負荷を抑えた施設計画、地域や行政との協力、ゲストへの教育が欠かせません。
マックスは、環境への影響を完全にゼロにはできないからこそ、その影響を把握し、できることを積み重ねる姿勢が大切だと語っています。
ラジャアンパットの海を守るためにダイバーができること
遠くの海を訪れるダイバーも、その場所の未来に関わる一人です。ラジャアンパットに限らず、自然豊かなダイビングエリアでは次の行動を意識しましょう。
- サンゴへ触れたり、フィンで蹴ったりしないよう中性浮力を整える
- 野生生物を追い回さず、餌付けや接触をしない
- 地域のルール、海洋保護区、ダイビング事業者の指示を守る
- 使い捨てプラスチックを減らし、ごみを適切に持ち帰る
- 日焼け止めを含め、海へ持ち込む製品の成分と使用方法に配慮する
- 地域雇用と自然保護に取り組む事業者を選ぶ
- 自分の経験と体調に合わない海況では無理に潜らない
写真を撮ることやログを残すことも、その海への関心を長く保つきっかけになります。ただし、撮影や機器の操作へ集中しすぎず、浮力、残圧、深度、潜水時間、バディの状態を優先してください。

© Steve Woods Photography
Suuntoでダイビングを記録する
Suunto Oceanは、ダイビングと日常のスポーツを1台で記録したい人のためのダイブコンピュータ&GPSスポーツウォッチです。
Suunto Nauticは、大きなAMOLEDディスプレイと長時間のダイビングを重視する人に向けたダイブコンピュータです。
Suunto Nautic Sは、コンパクトなサイズで、ダイビングから日常まで使いたい人の選択肢です。
ダイブコンピュータは、安全なダイビングを支える重要な道具ですが、認定講習、適切な潜水計画、バディとの確認、現地ガイドの指示に代わるものではありません。使用前に対応するユーザーガイドを読み、表示と操作を理解してください。
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まとめ|豊かな海は、地域とダイバーが一緒に守る
ラジャアンパットの魅力は、魚やサンゴの多さだけではありません。自然を守ることが地域の仕事と教育につながり、海の豊かさが次の世代の暮らしを支える。その循環こそ、マックス・アマーと仲間たちが築いてきた価値です。
ダイバーは海を訪れるゲストです。美しい景色を記録するだけでなく、現地のルールを守り、自然への負荷を減らし、保全へ取り組む地域や事業者を選ぶことが、海を未来へ残す力になります。