子育てが始まると、睡眠、予定、体調、使える時間が大きく変わります。以前と同じ練習を続けようとしても、思うようにいかないのは自然なことです。
マウンテンランナーでスキーマウンテニアリング選手のエミリー・フォースベリも、母親になってから、トレーニングと回復のバランスを一から見直しました。この記事では、エミリーの経験をもとに、子育て中でも無理なくランニングを続ける7つの工夫を紹介します。
産後の回復には大きな個人差があります。運動を再開する時期や内容は、出産方法、経過、痛み、骨盤底の状態などによって異なるため、医師や助産師、理学療法士などの専門家へ相談してください。
子育て中は新しいバランスを探す
エミリーは、母親になった後もフルタイムのアスリートとして活動を続けました。しかし、それは出産前と同じ生活へ戻ることではありませんでした。子どもの予定、天候、家事などを基準に、毎日の過ごし方を組み直していったといいます。
大切なのは、理想のスケジュールを守り切ることではなく、今の生活に合う方法を探し続けることです。練習できない日があっても、長期的な継続が失敗したわけではありません。
1. 以前の練習をそのまま再現しない
エミリーが最初に見直したのは、出産前のトレーニングをそのまま再現しようとしたことでした。睡眠が途切れ、育児に多くのエネルギーを使う状態では、以前と同じ距離や強度でも身体への負担が異なります。
過去の記録ではなく、今の睡眠、体調、使える時間をスタート地点にします。最初はウォーキングと短いランニングを組み合わせ、痛みや違和感がないことを確認しながら段階的に増やします。
2. 回復時間を多めに確保する
ゆっくり走る「リカバリーラン」でも、身体と時間のエネルギーを使います。睡眠不足や疲労が強い日は、走るより完全休養を選ぶ方が、次の練習へつながることがあります。
エミリーも、子どもと過ごすためのエネルギーを残すため、長時間のトレーニングや回復目的のランニングを減らしました。トレーニング後だけでなく、育児を含めた一日全体から回復の必要性を考えます。
回復の基本は、トレーニングで強くなるための回復とは?でも紹介しています。
3. 週の予定を先に整理する
先にランニング予定を詰め込むのではなく、家族の予定、仕事、通院、保育、睡眠を確認してから、現実的に確保できる時間を探します。
パートナーや家族と予定を共有できる場合は、「どちらが子どもを見る時間か」まで決めます。予定が変わったときのために、30分のランを15分へ短縮する、屋外ランを室内運動へ変えるといった代替案も用意しておきましょう。
4. 家族の時間を予定に入れる
トレーニングと家事だけで一日を埋めると、家族でゆっくり過ごす時間が後回しになりがちです。エミリーとパートナーのキリアン・ジョルネは、朝食や犬との散歩など、毎日一緒に過ごす習慣を大切にしています。
特別な外出でなくても構いません。食事、散歩、寝る前の時間など、繰り返しやすい小さな習慣を予定へ組み込むことで、トレーニングとの境界を作りやすくなります。
5. 短時間でもできる方法を考える
まとまった時間が取れなくても、短いランニング、ウォーキング、自宅での筋力トレーニングなど、今できる方法があります。「予定していた1時間が取れないから何もしない」ではなく、10〜20分でできる選択肢を持っておきます。
子どもと一緒に身体を動かす場合は、年齢と発達段階に合った安全な方法を選びます。ランニング用ベビーカーを使う際は、製品メーカーが示す対象年齢、固定方法、路面条件を守り、医療専門家にも運動再開について確認してください。
6. 「やるべきこと」を減らす
ランニングに加えて、筋力トレーニング、ヨガ、家事、仕事、趣味をすべて以前と同じように続けようとすると、休む時間がなくなります。
エミリーは、自分にとって価値がある習慣でも、今は使うエネルギーの方が大きいと感じたものを減らしました。「今週、本当に必要なことは何か」を考え、回復を予定の余白として残します。
7. 身体と心の声を聞く
エミリーが最も大切だと語るのは、身体と心が伝えていることに耳を傾けることです。予定した距離や他人の記録より、今の痛み、疲労、気分、睡眠を優先します。
尿漏れ、骨盤の圧迫感や重さ、痛み、出血の増加、腹部の違和感、強い疲労などがある場合は、運動を中止・調整し、産後ケアに詳しい医療専門家へ相談してください。
休むこともトレーニングの一部です。計画を変更できることは、意志の弱さではなく、長く続けるための判断です。
無理なく続ける1週間の考え方
決まったメニューを全員へ当てはめるのではなく、まず週に1〜3回、無理なく確保できる時間から考えます。
- 優先する1回:体調が比較的よく、サポートを得やすい日に行う
- 短縮できる1回:10〜30分のウォーキングまたは楽なランにする
- 変更できる1回:睡眠や子どもの予定に応じて、休養や室内運動へ変える
距離を毎週必ず増やす必要はありません。同じ時間を楽に動けるようになった、翌日に疲れが残りにくくなったという変化も進歩です。
SUUNTOでランニングと回復を記録する
Suunto Runは、日々のランニング、心拍数、トレーニング負荷、睡眠などを記録できます。限られた時間で走るときも、終了後にSuuntoアプリで運動時間や強度を振り返れます。
データは「予定を守るため」ではなく、今の生活に負荷が合っているかを確認するために使います。睡眠不足や疲労感が強い日は、数値にかかわらず体調を優先してください。
よくある質問
産後はいつからランニングを再開できますか?
一律の時期は決められません。出産方法、回復状況、症状、産後健診の結果などによって異なります。自己判断で急いで再開せず、担当の医療専門家へ相談してください。
睡眠不足でも軽く走ればリフレッシュできますか?
気分転換になる場合もありますが、睡眠不足は回復と判断力に影響します。強い眠気や疲労がある日は、休養または短い散歩へ変更してください。
週に何回走れば効果がありますか?
必要な回数は目標と現在の状態によって異なります。まずは継続できる回数から始め、距離・時間・強度を同時に増やさないようにします。
まとめ
子育て中にランニングを続けるには、出産前の練習を再現するのではなく、現在の睡眠、体調、家族の予定に合わせて計画を作り直すことが大切です。
回復時間を増やし、家族と予定を共有し、短時間の選択肢を持ちます。そして、できなかった回数より、今の生活の中で続けられた一歩を大切にしましょう。