「もっと強くなりたい」と思うほど、トレーニングを増やしたくなるもの。
しかし、パフォーマンスを高めるために必要なのは、身体を追い込むことだけではありません。いつ休み、どれだけ回復できているかを知ることも、トレーニングの一部です。
その重要性を、自らの経験を通して学んだアスリートがいます。
スウェーデン出身のマウンテンバイクライダー、エミル・ヨハンソン(Emil Johansson)です。
若くしてMTBスロープスタイルの世界トップレベルへ駆け上がったエミル。しかしその後、怪我と原因のわからない体調不良によって、思うようにトレーニングできない時期を経験します。
復活への長い道のりで彼が学んだのは、自分の感覚だけで身体を追い込むのではなく、睡眠やHRV、回復状態などにも目を向け、自分の身体を理解することでした。
若くして世界トップへ。エミル・ヨハンソンとは?
エミルが自転車に乗り始めたのは8歳の頃。
その後急速に才能を開花させ、18歳という若さでフリーライド・マウンテンバイクの世界トップレベルへと駆け上がりました。
彼が得意とする「スロープスタイル」は、ジャンプ台などが設置されたコースを走りながら、空中でさまざまなトリックを披露するMTB競技です。
バイクを自在に操る高度なテクニックはもちろん、大きなジャンプを成功させる身体能力、集中力、そして精神力も求められます。

突然立ちはだかった怪我と体調不良
順調に見えたエミルのキャリアに大きな壁が立ちはだかったのが、2018年から2019年にかけてのことでした。
怪我に加え、繰り返す体調不良に悩まされるようになります。
当初は原因もはっきりせず、「なぜ何度も体調を崩すのか」「なぜハードにトレーニングすると健康を維持できないのか」と悩んだとエミルは振り返っています。
プロアスリートにとって、練習できないことは身体だけでなく精神的にも大きな負担になります。
常に限界まで挑戦してきたエミルにとって、将来のために一度ペースを落とすことを受け入れるのは簡単ではありませんでした。
「もっと練習する」ことが正解ではなかった
専門家のサポートを受け、自分の身体について理解を深めていったエミル。
そこで見直すことになったのが、それまでのトレーニングとの向き合い方でした。
エミル自身、以前はバイクでの練習だけでなく、オフバイクのトレーニングも数多くこなし、身体を追い込みすぎてしまうことがあったと話しています。
トレーニングは、多ければ多いほどいいわけではありません。
身体に負荷をかければ疲労が生まれます。そして、その負荷から十分に回復する時間があってこそ、次のトレーニングにつなげることができます。
トレーニング負荷と疲労の考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
▶︎ トレーニング負荷とは?フィットネス・疲労・フォームで見る負荷管理の基本
回復もトレーニングの一部
エミルの復活への道のりで重要になったのが、「どれだけトレーニングしたか」だけではなく、「どれだけ回復できているか」を見ることでした。
トレーニングを続けていると、「今日は予定通り追い込むべきか」「少し負荷を落とすべきか」「思い切って休むべきか」という判断が必要になります。
そのとき参考になるのが、睡眠、HRV、トレーニング負荷、そして自分自身の感覚です。
どれかひとつの数値だけで判断するのではなく、複数のサインを組み合わせることで、自分のコンディションをより理解しやすくなります。
▶︎ トレーニング後の回復を確認する4つの方法|HRV・睡眠・負荷・感覚をSuuntoでチェック
感覚だけではなく、データから身体を知る
エミルはSuuntoウォッチを使い、睡眠、回復、心拍変動(HRV)などを確認するようになりました。
彼にとってウォッチは、単にトレーニングを記録するための道具ではありません。
自分では気づきにくい身体の状態を客観的に見るための、もうひとつの視点として活用していたのです。
例えば、「今日は調子がいい」と感じていても、睡眠不足が続いていたり、トレーニング負荷が急激に高まっていたりすることがあります。
反対に、十分に休み、身体が回復していることを確認できれば、自信を持って次のトレーニングに取り組みやすくなります。
HRVからわかること
身体の回復状態を考えるときに参考になる指標のひとつが、HRV(心拍変動)です。
HRVは、心拍と心拍の間隔に生じるわずかな変動を示すもので、トレーニングだけでなく、睡眠不足や日常生活のストレスなどさまざまな要因の影響を受けます。
重要なのは、1日の数値だけで「良い・悪い」と判断することではありません。自分自身の通常の傾向と比較しながら、睡眠や疲労感などと合わせて継続的に見ることです。
HRVの意味やSuuntoでの活用方法はこちらで詳しく解説しています。
▶︎ HRVとは?心拍変動を理解してトレーニングの回復を最適化する方法

Suuntoでトレーニングと回復を見える化する
エミルがこの経験をした当時に使っていたのはSuunto 9でしたが、現在のSuuntoウォッチでは、トレーニングと回復をさらに多角的に確認できます。
対応モデルでは、日々のアクティビティを記録するだけでなく、睡眠中のHRVなどを継続的に確認できます。
さらにSuuntoアプリを組み合わせることで、1回のワークアウトだけではなく、トレーニング負荷や長期的な進歩を振り返ることができます。
大切なのは、ウォッチに「今日は休むべき」と決めてもらうことではありません。
自分の感覚とデータの両方を見ながら、自分自身の身体を理解していくこと。
エミルがSuuntoを「もうひとつの視点」として使ったように、毎日のデータを積み重ねることで、自分にとってどのくらいの負荷と回復のバランスが合っているのかを考えやすくなります。
トレーニングと回復を管理したい方へ
トレーニング、レース、日々のコンディションをひとつのウォッチで記録したい方には、Suunto Race 2も選択肢のひとつです。
HRVなどの回復データとトレーニングの記録を組み合わせることで、「どれだけ頑張ったか」だけではなく、その後の身体の変化まで振り返ることができます。
ランニングを中心に、より軽量なウォッチで日々のトレーニングを記録したい方は、Suunto Runもチェックしてみてください。
まとめ|強くなるために、休む勇気を
トップアスリートほど、「もっと練習したい」「もっと強くなりたい」という気持ちは強いものです。
しかし、エミル・ヨハンソンの復活への道のりが教えてくれるのは、前に進むために、あえてペースを落とすことも必要だということです。
トレーニングする。
回復する。
そして、自分の身体を知る。
このサイクルは世界トップクラスのアスリートだけのものではありません。
ランニング、サイクリング、トレイルランニング、登山など、日々スポーツを楽しむ人にとっても、長くトレーニングを続けるための大切な考え方です。
頑張った時間だけではなく、回復した時間にも目を向ける。
Suuntoとともに、自分の身体の声とデータの両方に耳を傾けながら、次の一歩につながるトレーニングを続けていきましょう。
Photo: Niklas Wallner