「次のレースに出てみたいけれど、何を目標にすればいい?」「目標タイムを決めても、練習が続かない」。ランニングの目標は、高ければよいわけでも、タイムだけで決めればよいわけでもありません。大切なのは、今の自分に合うゴールを選び、そこへ向かう行動まで具体的にすることです。
この記事では、スポーツ心理学の専門家キャリー・ジャクソン・チードルによる元記事のアドバイスをもとに、次のレースへ向けた目標設定を3つのステップで紹介します。5kmへの初挑戦からフルマラソン、トレイルランニングまで応用できます。

目標を決める前に確認したいこと
レース名や目標タイムを決める前に、まず現在地を確認します。直近の走行距離、継続して走れる時間、ケガや体調、練習に使える曜日、仕事や家庭の予定を書き出してみましょう。
憧れだけでレースを選ぶと、準備期間や生活とのバランスが合わないことがあります。反対に、今の走力だけを基準にすると、挑戦する楽しさが小さくなるかもしれません。「少し背伸びすれば届く」と感じられ、準備する過程にも意味を見いだせる目標を選ぶことがポイントです。
- レースまでに十分な準備期間があるか
- 距離、路面、累積標高、制限時間が今の経験に合うか
- 週に何日、どのくらい練習できるか
- 目標達成のために睡眠や回復を確保できるか
- 結果だけでなく、準備の過程にも取り組みたいと思えるか
1. ゴールと達成までの計画を具体化する
「マラソンを頑張る」だけでは、今日何をすればよいかが分かりません。元記事が勧める1つ目のポイントは、何を達成したいのか、そのためにどう行動するのかを具体的にすることです。
目標は、次の3層に分けると計画しやすくなります。
| 種類 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 結果目標 | レース当日に達成したいこと | 初完走、自己ベスト更新、制限時間内完走 |
| 行動目標 | 自分で管理できる日々の行動 | 週3回走る、週1回ロング走を行う、休養日を守る |
| 確認指標 | 計画が進んでいるかを見る材料 | 継続率、走行時間、ペース、心拍数、疲労感 |
レース当日の天候やコース状況、周囲の選手の動きは完全にはコントロールできません。結果目標だけでなく、自分で選べる行動目標を持つと、途中の手応えを確認しやすくなります。
2. 目標を書き、周囲と共有する
2つ目は、目標を頭の中だけに置かず、書き出すことです。レース名、開催日、目標、挑戦する理由、毎週の行動を、ノートやカレンダーに残します。曖昧だった部分が見え、予定を立てやすくなります。
必要に応じて、家族、ランニング仲間、コーチにも共有しましょう。宣言して自分を追い込むためではなく、長い練習時間や遠征予定への理解を得たり、状況が変わったときに相談したりするためです。
ただし、公開すること自体がプレッシャーになる人もいます。その場合は、信頼できる一人に伝える、あるいは自分だけが見る記録に残す方法でも構いません。続けやすい形を選びましょう。
3. 「なぜ挑戦するのか」を言葉にする
3つ目は、「なぜ、この目標なのか」を明確にすることです。準備期間には、悪天候、疲労、仕事の繁忙など、予定どおり走れない日が必ず出てきます。そのとき、目標の理由が、自分に合う判断へ戻る手がかりになります。
- なぜ、このレースや距離に挑戦したいのか
- なぜ、今のタイミングなのか
- 達成までの過程で何を身につけたいのか
- 結果にかかわらず、どんな経験を持ち帰りたいのか
「友人と一緒に初めての10kmを完走したい」「以前リタイアしたコースへ、無理のない準備で再挑戦したい」など、自分の言葉で十分です。他人からよく見える目標ではなく、自分が取り組む意味を感じられる目標にします。
レース目標の設定例
たとえば、初めてハーフマラソンに挑戦する場合は、次のようにまとめられます。
レース:12週間後のハーフマラソン
結果目標:最後まで安全に走り切る
行動目標:週3回のランニングを基本とし、週末に少しずつ走行時間を延ばす
確認方法:毎週末に実施回数、疲労、痛み、睡眠を振り返る
挑戦する理由:一度は諦めた距離を、無理のない準備で完走したい
目標タイムを設定する場合も、「A:理想」「B:現実的」「C:安全に完走」のように複数の目標を用意すると、当日の気象条件や体調に合わせて判断しやすくなります。初めての距離やケガからの復帰時は、タイムより安全な完走や継続を優先してください。
Suuntoで進捗を振り返る

計画を立てたら、定期的に記録を振り返ります。軽量なランニングウォッチSuunto Runや、トレーニングとレースに対応するSuunto Race 2で運動を記録し、Suuntoアプリで走行時間、距離、ペース、心拍数などの傾向を確認できます。
大切なのは、1回の良し悪しに反応しすぎないことです。週単位、月単位で記録を見て、行動目標をどの程度実行できたか、疲労と回復のバランスが崩れていないかを確認します。負荷の見方はランニングのトレーニング負荷を管理する方法、具体的なメニュー作成はSuuntoアプリでインターバルトレーニングを作成する方法も参考にしてください。
目標を見直してもよいタイミング
目標を変更することは、失敗ではありません。痛みや体調不良が続く、練習できる時間が大きく変わった、レース条件が想定と異なったときは、期限、距離、目標タイム、行動目標を見直します。痛みや不調がある場合は、無理に継続せず医療専門家へ相談してください。
予定が崩れた後に、遅れを取り戻そうとして練習量を急に増やすのは避けましょう。計画開始後の調整については、予定どおり走れないときのトレーニング調整法で詳しく解説しています。走る意欲そのものが下がったときは、ランニングのモチベーションを維持する10の方法も役立ちます。
まとめ
次のレース目標を決めるときは、ゴールだけでなく、達成までの行動と挑戦する理由まで言葉にします。計画を書き、必要な人と共有し、記録を定期的に振り返ることで、遠いゴールを今日の一歩へ変えられます。
完璧な計画を守ることが目的ではありません。現在地や生活の変化に合わせて調整しながら、自分にとって意味のあるスタートラインを選びましょう。