「練習量は増やしているのに、思うように走れない」「朝から疲れていて、ポイント練習に集中できない」。そんなとき、見直したいのが睡眠です。ランニングでは走る時間だけでなく、身体を休ませる時間まで含めてトレーニング。睡眠を削って練習を増やしても、十分に回復できなければ、狙った練習効果を得にくくなります。
この記事では、フィンランドの睡眠医ヘンリ・トゥオミレートのアドバイスをもとに、ランナーが睡眠を大切にしたい理由と、今日から取り入れられる6つの習慣を紹介します。

ランニングに睡眠が欠かせない理由
ランニングで身体に負荷をかけると、筋肉や神経系には疲労が生じます。身体がその刺激に適応していくためには、食事と休息が必要です。つまり、睡眠は「何もしない時間」ではなく、次のトレーニングへ向けてコンディションを整える時間です。
睡眠不足は、身体の疲れだけでなく、集中力、判断力、気分にも影響します。ペース配分や足元への注意が必要なランニングでは、眠気や集中力の低下を軽視できません。強い眠気や体調不良を感じる日は、予定したメニューをこなすことより、安全を優先しましょう。
睡眠医のヘンリ・トゥオミレートは、仕事やスポーツの負荷が高いときほど、休息と回復を尊重する必要があると話します。忙しい時期に最初に睡眠を削るのではなく、負荷が増えたからこそ睡眠を確保する。この考え方が、無理なく走り続ける土台になります。

ランナーに必要な睡眠時間の目安
必要な睡眠時間には個人差があり、年齢、生活リズム、日中の活動量、トレーニング負荷によっても変わります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保し、睡眠で休めた感覚である「睡眠休養感」を高めることが勧められています。
大切なのは、誰かの理想時間をそのまま当てはめることではありません。次のような状態が続いていないかを振り返り、自分に必要な睡眠を探しましょう。
- 朝、なかなか起きられない
- 日中に強い眠気がある
- 休日だけ睡眠時間が大幅に長くなる
- 同じペースでも普段よりきつく感じる
- 気分や集中力が安定しない
睡眠が足りていないと感じるなら、元記事でヘンリが勧めるように、まず就寝時刻を30分早めてみるのも一つの方法です。翌朝の感覚やランニング中の調子を観察しながら、自分に合う時間へ少しずつ調整してください。
睡眠と回復を整える6つの習慣
1. 睡眠をトレーニング計画に入れる
週間メニューを考えるときは、走る時間だけでなく、就寝時刻と起床時刻も確認します。仕事や家庭の予定で睡眠が短くなる日には、高強度トレーニングを置かないなど、生活全体で計画すると無理が減ります。
2. 起床時刻をできるだけ一定にする
平日と休日で生活リズムが大きく変わると、月曜日の朝に起きづらくなることがあります。毎日まったく同じにする必要はありませんが、起床時刻のずれを小さくし、朝は光を浴びて生活リズムを整えましょう。
3. 就寝前に心身を落ち着かせる
寝る直前まで仕事やスマートフォンを続けるのではなく、照明を落とす、入浴する、軽くストレッチするなど、自分なりの切り替えをつくります。夜の高強度トレーニングで寝つきにくいと感じる人は、実施時間や強度を調整してみてください。
4. カフェインとアルコールの取り方を見直す
カフェインへの反応には個人差があります。午後や夜のコーヒー、エナジードリンクが眠りに影響していないか確認しましょう。また、アルコールは寝つきをよく感じさせることがあっても、睡眠の質を損なう場合があります。夜の習慣を一つずつ見直すことが大切です。
5. 睡眠環境を整える
光、音、室温、寝具の快適さは、睡眠に影響します。夏は寝室が暑すぎないか、冬は乾燥していないかを確認し、通知音や明るい画面を遠ざけます。ウォッチの自動おやすみモードを使えば、設定した睡眠時間帯の通知を抑えられるモデルもあります。
6. 回復していない日は練習を変える
睡眠不足の朝に、予定どおりのインターバル走を無理に行う必要はありません。休養、短いイージーラン、ウォーキングなどへ変更する判断もトレーニングの一部です。睡眠だけでなく、安静時心拍、HRV、筋肉の張り、気分、主観的な疲労を合わせて判断しましょう。
覚えておきたいこと
一晩の数値だけで「好調」「不調」と決めつける必要はありません。同じ条件で記録を続け、自分の通常範囲と数日から数週間の傾向を見ることが大切です。
Suuntoで睡眠を記録する方法
睡眠を感覚だけでなく傾向として振り返りたいときは、スポーツウォッチが役立ちます。ランニング向けの軽量モデルSuunto Runや、トレーニングとレースに対応するSuunto Race 2では、睡眠時間や直近の睡眠傾向を確認できます。対応モデルでは、設定を有効にして夜間も装着すると、睡眠中の心拍数やHRVなども記録できます。
- ウォッチの睡眠ウィジェットを開く
- 睡眠トラッキングをオンにする
- 普段の就寝・起床時刻と睡眠目標を設定する
- 必要に応じて、夜間のHRVや血中酸素測定を有効にする
- 朝に睡眠サマリーを確認し、Suuntoアプリと同期する
操作名や表示項目は、モデルやソフトウェアのバージョンによって異なる場合があります。また、ウォッチの睡眠計測は主に身体の動きなどから推定した値であり、医療機器による診断ではありません。数値は日々のコンディションを振り返る参考として使いましょう。
睡眠データを練習に生かす
記録するだけで終わらせず、朝の判断に結びつけると睡眠データが役立ちます。おすすめは、次の3段階で確認することです。
- 睡眠を確認:睡眠時間、直近の傾向、目覚めたときの休養感を見る
- 回復を確認:HRVや安静時心拍の傾向、筋肉の張り、気分を確認する
- 練習を決める:予定どおり行う、強度を下げる、休むのいずれかを選ぶ
たとえば、睡眠時間が短く、HRVも自分の通常範囲より低く、脚が重いなら、高強度メニューを軽いジョグへ変更する余地があります。反対に、一つの数値が普段と違っても体調がよく、長期的な傾向に問題がなければ、過度に不安になる必要はありません。
HRVの意味や見方を詳しく知りたい方は、HRVとトレーニング回復の解説をご覧ください。週単位で負荷を調整したい場合は、Suuntoアプリとウォッチでトレーニング負荷を管理する方法も参考になります。

眠れない状態が続くときは
生活リズムや睡眠環境を整えても、寝つけない、夜中に何度も目が覚める、十分寝ても強い眠気があるといった状態が続く場合は、睡眠の問題や別の体調不良が隠れていることがあります。ウォッチの数値だけで自己判断せず、医療機関や睡眠の専門家へ相談してください。
睡眠については、厚生労働省の睡眠対策・Good Sleepガイドでも、年代別の目安と生活習慣を確認できます。
まとめ|よく眠ることもランニングの一部
ランニングのパフォーマンスを高めたいとき、練習を増やすことだけが答えではありません。必要な睡眠時間を確保し、起床時刻や就寝前の習慣を整え、回復していない日は練習を調整することが、長く走り続けるための土台になります。
まずは今夜、いつもより30分早く休むことから始めてみましょう。睡眠時間、朝の感覚、走ったときの調子を記録すると、自分に合った回復のリズムが見つかります。
睡眠・回復・トレーニングを一つの流れで記録
Suuntoのスポーツウォッチで、日々のランニングと睡眠の傾向を振り返り、自分に合ったトレーニングリズムを見つけましょう。
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