初めてのグラベルレースにエントリーしたものの、「何か月前から、どんな練習を始めればいい?」と迷っていませんか。舗装路と未舗装路が混ざるレースを長時間走り切るには、直前に距離を詰め込むより、有酸素能力の土台をつくり、レース特有の負荷を加え、最後に疲労を抜く流れが大切です。
この記事では、元プロロードレーサーでSuuntoアンバサダーのChristian Meier(クリスチャン・マイヤー)のアドバイスをもとに、初レースまで約5か月ある場合のトレーニング計画を紹介します。完走を目指す人も、目標タイムへ挑戦する人も、現在の体力や生活に合わせて調整してください。

最初にレースの目標を決める

グラベルレースの魅力は、順位を競うだけでなく、未舗装路の風景や仲間との時間、完走そのものを楽しめることです。計画を作る前に、今回の目標を一つ決めましょう。
- 安全に完走したい:低〜中強度の継続と、長時間バイクに乗ることへの慣れを優先する。
- 目標タイムを達成したい:持久力に加え、登りや一定時間の高めの出力を維持する練習を加える。
- 順位を狙いたい:十分な基礎体力を前提に、レース強度、集団走行、コース特性に合わせて計画する。
目標が変われば、必要な練習量と強度も変わります。「他の参加者と同じメニュー」ではなく、自分の現在地から無理なく積み上げられる計画にすることが出発点です。
5か月間のトレーニング計画
Meierが用いる基本構造は、ベース期、ビルド期、テーパリング期の3段階です。約5か月ある場合は、次の配分を目安にできます。
| 時期 | 段階 | 主な目的 | 練習の中心 |
|---|---|---|---|
| 5〜3か月前 | ベース期 | 有酸素能力と継続習慣をつくる | ゾーン2、週末のロングライド、基礎的な筋力トレーニング |
| 2〜1か月前 | ビルド期 | レース特有の負荷へ適応する | 登り、テンポ走、短い高強度、荒れた路面 |
| 3〜2週間前 | テーパリング期 | 体力を保ちながら疲労を抜く | 練習量を減らし、短い刺激と十分な回復を入れる |
開始時点で定期的に運動していない場合や、レースまでの期間が短い場合は、この通りに進める必要はありません。急に練習量を増やさず、完走目標や出場カテゴリーの見直しも含めて現実的に判断しましょう。
5〜3か月前:ベース期で持久力をつくる

ベース期の目的は、長時間動き続けるための「有酸素のエンジン」を育てることです。中心になるのは、会話を続けられる程度の低〜中強度、一般にゾーン2と呼ばれる範囲のライドです。グラベルロードが近くになければ、舗装路や室内トレーナーでも土台づくりはできます。
週末はロングライドを少しずつ延ばす
週末のライドは、翌週の生活や練習に大きな疲労を残さない範囲から始めます。毎週一気に距離を増やすのではなく、走行時間を段階的に延ばし、ときどき軽い週を設けましょう。本番が長時間になる場合も、毎回レース距離を走る必要はありません。
平日は短時間でも質をそろえる
平日に時間を取りにくい場合は、一定の負荷を維持するテンポ走を取り入れます。たとえば、十分にウォームアップした後、余力を残して終えられる強度で20分を2回、その間に軽い回復走を入れる方法があります。初めは時間や本数を減らし、フォームやペダリングが崩れない範囲で行ってください。
週1回を目安に筋力トレーニングを加える
体幹、臀部、脚を中心とした基礎的な筋力トレーニングは、長時間の姿勢維持を支えます。新しい種目や高重量を急に始めず、正しい動作を優先してください。痛みや持病がある場合は、医師や資格を持つ専門家へ相談しましょう。
2〜1か月前:ビルド期でレースに近づける
ベース期で継続して走れるようになったら、レースコースに近い刺激を加えます。登りが多い大会なら登坂、平坦で高速な大会なら一定出力、路面が荒れる大会なら安全な未舗装路での走行を増やします。
- 週末のロングライドの一部を本番に近い路面で走る
- 長い登り、または数分間の高めの強度を入れる
- 加速と減速を繰り返す場面を想定する
- 本番で使うシューズ、ウェア、補給方法を試す
- 疲労した状態でも安全に操作できるペースを確認する
高強度セッションを増やしすぎると、持久力を伸ばす前に疲労が蓄積します。負荷の高い日を連続させず、軽い日や休養日と組み合わせてください。未舗装路での操作、集団走行、補給、GPX確認については、グラベルレースの準備ガイドで詳しく紹介しています。
3〜2週間前:テーパリングで疲労を抜く
レース直前は、体力をさらに上積みしようとして走り込む時期ではありません。練習の頻度や短い刺激をある程度保ちながら、総走行時間を減らし、蓄積した疲労を抜きます。
- 長すぎるロングライドを避ける
- 短いテンポ走や加速で身体の動きを保つ
- 睡眠と食事を優先する
- 新しいトレーニング、ポジション、装備を試さない
- 脚が重い日は、計画より回復を優先する
適切な減らし方は、それまでの練習量、年齢、回復力、レース距離によって異なります。不安がある場合は、経験のあるコーチへ相談してください。
負荷と回復を記録して調整する
計画は、書いた通りに消化することより、身体の反応に応じて修正することが重要です。走行時間、心拍数、パワー、主観的な疲労、睡眠、脚の張りなどを記録し、同じ負荷への反応がどう変わるかを見ていきます。
Suunto Race 2などの対応スポーツウォッチとSuuntoアプリを使うと、日々のトレーニングと長期的な負荷を振り返れます。数値だけでなく、「いつもより同じ強度がつらい」「睡眠不足が続いている」といった感覚も合わせて判断しましょう。
体調に関する注意:胸の痛み、強い息苦しさ、めまい、異常な動悸、痛みの悪化などがある場合は運動を中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。ウォッチのデータは体調管理の参考情報であり、医療的な診断に代わるものではありません。
コースに合わせてギアとタイヤを考える
準備期間の早い段階で、コースの距離、累積標高、路面を確認しておくと、トレーニングと機材選びを結び付けられます。Meierは、登りの量と路面状況がギア比とタイヤ選択を考える重要な手掛かりになると説明しています。
平坦で速いコースと、急な登りが続くコースでは適したギア比が異なります。砂利の深さや泥の可能性によって、タイヤの幅、パターン、空気圧の考え方も変わります。メーカーの使用範囲と大会規則を確認し、ショップにも相談しながら、本番前のロングライドで実際に試してください。
大会からGPXが提供される場合は、距離だけでなく、登りが集中する位置や補給地点まで確認します。ルートの読み方、走行技術、補給、当日のチェックリストは、グラベルレースに向けた総合準備ガイドへ進んでください。
まとめ
初めてのグラベルレースに向けた5か月間は、低〜中強度で持久力をつくるベース期、レース特有の負荷へ近づけるビルド期、疲労を抜くテーパリング期に分けると整理しやすくなります。最初に目標を決め、仕事や家庭の予定も含めて、継続できる計画をつくりましょう。
Suuntoのスポーツウォッチとアプリを活用すれば、心拍ゾーン、トレーニング負荷、回復の傾向、ルートを一つの流れで確認できます。数値と自分の感覚を照らし合わせながら練習を調整し、レース当日に余力を持ってスタートラインへ立てる準備を進めてください。
