ランニングやサイクリングでトレーニングを続けていると、「今日はどれくらいの強度で走ればいいのか」「イージーランのつもりなのに、実は頑張りすぎていないか」と感じることがあります。
トレーニングを改善するための基本は、頻度、時間、そして強度です。走る回数や時間はわかりやすい一方で、強度は少し判断しにくいものです。
その強度を把握するために役立つのが、心拍ゾーンです。
心拍ゾーンを設定しておくと、楽に走る日、持久力を高める日、しっかり負荷をかける日を分けやすくなります。Suuntoウォッチでは、心拍数、ペース、パワーをもとにした強度ゾーンを使って、トレーニング中の強度を確認できます。
この記事では、心拍ゾーンの基本、計算方法、ゾーン1〜5の役割、Suuntoウォッチでの設定方法、慣れてきた人向けのフィールドテストについて解説します。
心拍ゾーンとは?
心拍ゾーンとは、運動中の心拍数を強度別に分けたものです。
一般的には、ゾーン1からゾーン5までの5段階で表します。数字が大きくなるほど運動強度は高くなり、長時間維持することが難しくなります。
Suuntoの元記事でも、強度が変わると身体への負荷や得られるトレーニング効果が変わるため、自分のゾーンを知ることが大切だと説明されています。
簡単にまとめると、次のようになります。
| 心拍ゾーン | 強度の目安 | 主な目的 |
| ゾーン1 | とても楽 | 回復、ウォームアップ、クールダウン |
| ゾーン2 | 楽に続けられる | 持久力の土台づくり、ロング走 |
| ゾーン3 | ややきつい | テンポ走、一定ペースの維持 |
| ゾーン4 | きつい | 高強度インターバル、閾値付近の練習 |
| ゾーン5 | 非常にきつい | VO2max、短時間の最大努力 |
心拍ゾーンを使う目的は、毎回きつく走ることではありません。
むしろ、楽に走るべき日は楽に、追い込む日はしっかり強度を上げるための目安として使います。
心拍ゾーンの基本的な意味や、ゾーン1〜5をどのようにトレーニングで使い分けるかを先に知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶︎関連記事:「心拍ゾーンとは?トレーニング強度を使い分けて持久力を高める方法」
本記事では、心拍ゾーンの考え方をふまえたうえで、実際にどのように計算・設定し、Suuntoウォッチで使い始めるかを解説します。
心拍ゾーンを設定すると何ができる?
心拍ゾーンを設定すると、トレーニングの目的が明確になります。
たとえば、イージーランの日にゾーン3〜4まで上がっているなら、予定より強度が高くなっているかもしれません。反対に、高強度インターバルの日にゾーン4〜5へ入っていなければ、目的の刺激に届いていない可能性があります。
元記事では、ゾーンを理解していないと「楽な練習がきつくなり、きつい練習が十分にきつくならない」ことがあると説明されています。
心拍ゾーンを使うことで、次のような判断がしやすくなります。
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今日は本当に低強度で走れているか
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ロング走の強度が高くなりすぎていないか
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テンポ走やインターバルで目的の強度に入っているか
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疲れている日に無理をしていないか
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トレーニング全体の強度が偏っていないか
心拍ゾーンの計算方法
心拍ゾーンの設定には、いくつかの方法があります。
最初から完璧に設定する必要はありません。まずは最大心拍数をもとにした設定から始め、トレーニングを続けながら自分に合うように調整していくのがおすすめです。
最大心拍数を使って計算する
最もシンプルなのは、最大心拍数をもとに心拍ゾーンを設定する方法です。
最大心拍数とは、運動中に到達しうる最も高い心拍数の目安です。Suunto Race 2のユーザーガイドでも、心拍ゾーンは最大心拍数に基づく割合として定義され、最大心拍数がわからない場合は「220−年齢」の式で推定されると説明されています。
たとえば、40歳の場合は、
220 − 40 = 180bpm
が推定最大心拍数の目安になります。
ただし、この計算式はあくまで一般的な目安です。最大心拍数には個人差があり、同じ年齢でも実際の最大心拍数が大きく異なることがあります。
Suuntoウォッチでは、最大心拍数を自分で設定できます。実際のトレーニングやレースで、推定値より高い心拍数を何度も記録している場合は、設定を見直すことで、より実感に近いゾーンに近づけられます。
心拍ゾーンを設定するうえで、最大心拍数と安静時心拍数は基本となる数値です。最大心拍数は強度ゾーンの基準になり、安静時心拍数は日々のコンディションや回復状態を知る手がかりにもなります。
それぞれの意味や測り方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎関連記事:「安静時心拍数と最大心拍数とは?測り方とトレーニングへの活用」
安静時心拍数を使う方法
最大心拍数だけでなく、安静時心拍数も考慮する方法があります。
安静時心拍数とは、リラックスしている状態での心拍数のことです。最大心拍数と安静時心拍数の差をもとに、心拍予備量を使ってゾーンを設定する方法もあります。
Suunto Runでは、最大心拍数を使うゾーン、心拍予備量を使うゾーン、乳酸閾値心拍数を使うゾーンを選択できます。心拍予備量を使う設定は、乳酸閾値心拍数はわからないけれど、安静時心拍数を把握している場合の選択肢として紹介されています。
初心者はまず最大心拍数を使った設定で十分です。慣れてきたら、自分の安静時心拍数や過去のデータを参考に、より合う設定へ調整していきましょう。
乳酸閾値心拍数を使う方法
より正確に心拍ゾーンを設定したい場合は、乳酸閾値心拍数を使う方法があります。
乳酸閾値とは、運動強度が高くなり、身体がその負荷を長時間維持しにくくなる境目のひとつです。元記事では、強度が上がると乳酸がたまりやすくなり、有酸素性閾値や無酸素性閾値をもとにゾーンを考える方法が紹介されています。
Suunto Runでは、乳酸閾値心拍数を知っている場合に、その値をもとに心拍ゾーンを設定できます。
ただし、乳酸閾値心拍数を正確に知るには、ラボテストやフィールドテストが必要です。一般ランナーの場合は、最初からここまで細かく設定する必要はありません。
5つの心拍ゾーンの目安
ここでは、ゾーン1〜5の役割をもう少し具体的に見ていきます。
ゾーン1|回復・ウォームアップ
ゾーン1は、とても楽に感じる強度です。
ウォームアップ、クールダウン、リカバリーランに使いやすいゾーンです。呼吸に余裕があり、会話も問題なく続けられる程度が目安です。
疲労が残っている日や、高強度トレーニングの翌日は、ゾーン1を中心に身体を動かすことで、無理なく回復を促しやすくなります。
ゾーン2|持久力の土台づくり
心拍ゾーン2は、楽に続けられる有酸素運動の強度です。
長時間のランニングやサイクリング、ロング走、ベーストレーニングに使いやすいゾーンです。呼吸は安定していて、会話もできる程度ですが、完全に何もしていないほど楽ではありません。
「ゾーン2トレーニング」は、持久力の土台をつくる目的でよく使われます。
大切なのは、ゾーン2の日に頑張りすぎないことです。気持ちよく走っているうちにゾーン3へ上がってしまうこともあるため、ウォッチで心拍ゾーンを確認しながら走ると、強度を保ちやすくなります。
ゾーン3|テンポ走・一定ペースの維持
ゾーン3は、ややきついけれど一定時間維持できる強度です。
テンポ走、マラソンペース走、一定のペースを保つ練習に使われます。
このゾーンには明確な役割がありますが、すべての練習がゾーン3に集まりすぎると、疲労が抜けにくくなることがあります。
目的を持って使うことが大切です。
ゾーン4|高強度インターバル・閾値付近
ゾーン4は、きつい強度です。
短めのインターバル、坂道での反復走、閾値付近のトレーニングなどで使われます。
身体への刺激は大きく、スピードや高い強度を維持する力を鍛えるのに役立ちます。一方で、頻度が多すぎると疲労がたまりやすくなります。
ゾーン4の日の前後には、低強度の日や休養日を入れると、トレーニング全体のバランスを取りやすくなります。
ゾーン5|VO2max・短時間の最大努力
ゾーン5は、非常に高い強度です。
VO2maxを刺激するインターバルや、短時間の最大努力に近いトレーニングで使われます。長時間は維持できません。
経験の浅いランナーが頻繁に行う必要はありません。身体が十分に回復している日、目的がはっきりしている練習で使うのが基本です。
Suuntoウォッチで心拍ゾーンを設定する方法
Suuntoウォッチでは、心拍ゾーンを設定し、トレーニング中の強度管理に活用できます。モデルによって操作方法は異なりますが、多くのスポーツウォッチでは「強度ゾーン」から心拍ゾーン、ペースゾーン、パワーゾーンを確認・設定できます。
心拍ゾーンは最大心拍数などをもとに設定され、ゾーン1からゾーン5までの5段階で運動強度を確認できます。
また、ランニングやサイクリングなど、アクティビティ別の心拍ゾーンを設定することもできます。
Suunto Runでは、最大心拍数、心拍予備量、乳酸閾値心拍数をもとにしたゾーンタイプを選択できます。
最初はデフォルト設定から始めても問題ありません。トレーニングを続ける中で、体感とゾーンが大きくずれる場合は、最大心拍数やゾーン設定を見直してみましょう。
ランニングとサイクリングで心拍ゾーンは変わる?
同じ人でも、競技によって心拍数の反応は変わります。
元記事では、使う筋肉量や運動の特性によって、ランニング、サイクリング、スイミング、クロスカントリースキーなどで心拍ゾーンが少し異なることがあると説明されています。
たとえば、ランニングでは心拍数が上がりやすい一方で、サイクリングでは同じ体感でも心拍数がやや低く出る人もいます。スイムでは、さらに違う反応になることがあります。
ランニングとサイクリングの両方を行う人は、スポーツ別に心拍ゾーンを設定すると、より目的に合った強度管理がしやすくなります。
Suuntoウォッチでは、対応モデルでランニングやサイクリングのスポーツ別心拍ゾーンを設定できます。
心拍ゾーンが合っていないと感じたら?
心拍ゾーンは便利ですが、最初から完全に自分に合うとは限りません。
次のような場合は、設定を見直すサインかもしれません。
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イージーランなのにいつもゾーン4に入ってしまう
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かなりきついのにゾーン2〜3にしかならない
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実際の最大心拍数が設定値より明らかに高い
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ランニングとサイクリングで体感とゾーンがずれる
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トレーニングプランの強度と自分の体感が合わない
このようなときは、最大心拍数、安静時心拍数、競技別ゾーンの設定を見直してみましょう。
ただし、1回のトレーニングだけで判断する必要はありません。心拍数は、暑さ、疲労、睡眠、水分状態、ストレスなどの影響を受けます。
また、ウォッチの装着位置やフィット感、腕の動きなどによって、手首で測定する心拍数が体感とずれることもあります。心拍ゾーンが合っていないと感じる場合は、設定だけでなく、心拍計測の状態も確認してみましょう。
ランニングウォッチの心拍数が正確でないと感じる理由や、測定精度を高めるポイントはこちらで解説しています。
▶︎関連記事:「ランニングウォッチの心拍数が正確でないと感じる理由」
慣れてきたらフィールドテストも選択肢に

より正確に心拍ゾーンを設定したい場合は、フィールドテストを行う方法もあります。
フィールドテストの例
1. 十分にウォームアップする 2. 30分間、できるだけ一定のきついペースで走る 3. 開始10分後にラップボタンを押す 4. 残り20分の平均心拍数を確認する 5. その値を閾値心拍数の目安にする
このテストは高い強度で30分間走るため、ランニング経験があり、体調に不安がない人向けです。
初心者や体調に不安がある人は、無理に行う必要はありません。まずはウォッチの自動設定や最大心拍数の見直しから始めましょう。
心拍ゾーンは絶対ではなく、体感と合わせて見る
心拍ゾーンは、トレーニングを整理するための便利な目安です。
ただし、心拍数だけでその日の状態をすべて判断できるわけではありません。
同じペースでも、暑い日、寝不足の日、疲労が残っている日には心拍数が高く出ることがあります。反対に、短いインターバルでは強度が上がっていても、心拍数の反応が少し遅れて表示されることもあります。
心拍ゾーンに加えて、次の感覚も確認しましょう。
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呼吸のしやすさ
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脚の重さ
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会話できる余裕
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フォームの安定
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疲労感
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睡眠や回復状態
数字と体感を組み合わせることで、より自分に合った強度管理がしやすくなります。
心拍ゾーンはトレーニング中の強度を知るための便利な目安ですが、強度管理には回復状態も関わります。
たとえば、同じゾーン2のランニングでも、十分に回復している日と、疲労が残っている日では、身体への負担の感じ方が変わることがあります。HRVを継続して確認すると、睡眠中の身体の状態や回復傾向を把握する手がかりになります。
HRVと回復の関係については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎関連記事:「HRVとは?心拍変動を理解してトレーニングの回復を最適化する方法」
まとめ:心拍ゾーンは、トレーニングを使い分けるための地図
心拍ゾーンは、トレーニングの強度を整理するための便利な目安です。
ゾーン1は回復、ゾーン2は持久力の土台づくり、ゾーン3はテンポ走、ゾーン4は高強度インターバル、ゾーン5はVO2maxや最大努力のトレーニングに活用できます。
最初は最大心拍数をもとにした設定から始めて問題ありません。
トレーニングを続ける中で、体感とゾーンが合わないと感じたら、最大心拍数や競技別ゾーンを見直しましょう。さらに慣れてきたら、フィールドテストや乳酸閾値心拍数を使った設定も選択肢になります。
Suuntoウォッチを使えば、心拍ゾーン、ペースゾーン、パワーゾーンを確認しながら、目的に合った強度でトレーニングできます。
楽に走る日を本当に楽に。
負荷をかける日は、必要な強度まで。
心拍ゾーンを活用して、トレーニングにメリハリをつけていきましょう。
心拍ゾーンを使って、目的のあるトレーニングへ
Suuntoウォッチでは、心拍ゾーン、ペースゾーン、パワーゾーンを使って、トレーニング中の強度を確認できます。
イージーラン、ロング走、テンポ走、インターバル。
その日の目的に合った強度を手元で確認しながら、よりスマートにトレーニングを続けましょう。